キーボーディスト、脱初心者を目指す

ピアノ、シンセサイザー、オルガンとか鍵盤楽器もろもろ。関係ない記事もたまにあるよ

1990年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.102】Roland FP-8 ~ローランド・デジタルピアノ「FP」の元祖[1991年]

2018/11/25

 

 

 今回取り上げるキーボードは、ローランドが1991年夏頃に発売したデジタル・ピアノ「FP-8」です。価格は200,000円でした。現在でも続く、同社のデジタル・ピアノ・ラインナップ「FPシリーズ」の元祖ですね。

 

Roland FP-8


 
 ちなみに2017年1月現在のFPシリーズのラインナップは、「FP-50」「FP-30」「FP-90」の3機種となっています。
 
 
 

FPシリーズ共通の設計思想

 鍵盤は全シリーズ通して88鍵(ハンマーアクション搭載)です。スピーカー内蔵なのですが、家庭用電子ピアノに見られるような「おおげさな脚部」は標準で付属しておらず、本体+スタンド(別売)というスタイルで販売されています。もちろんペダルは本体側に標準で付いてきます。
 
 
 本体形状は横幅・奥行ともにスリムで、全体的にスタイリッシュな印象を受けます(ピッチベンド、ホイール等は実装していない)。そのためスピーカー付きの割には軽量ですね。内蔵音色はピアノ中心ですが、エレピ、ストリングス、オルガン等の音色もある程度搭載しています。
 
 
 

FP-8の基本仕様

音方面

 音源部には「アドバンストSA方式」を採用。内蔵音色は、ピアノ系、エレピ系、マレット系、ストリングス系の4つのグループに分かれ、それぞれのバリエーションから音を選択することができます(4カテゴリー×4=16音色)。なお同時発音数は28音です。
 
 

鍵盤タッチ

 バネを使わず鍵盤の自然なウェイトだけでバランスを取った新開発(当時)のハンマー・アクション鍵盤機構を搭載しています。
 
 

その他機能

 リバーブやコーラス等、8種類のデジタル・エフェクトを装備。また約4,500音を記録するレコーダー機能も搭載しています。MIDIも装備。なお専用スタンド「FPS-8」(定価15,000円)はオプションとなっています。

 

 

 

ボディカラーは3色展開!

 発売当初から「スウェード・グレイ」、「パール・ホワイト」、「メタリック・レッド」の3色が用意されていました。「白/黒」の2色展開は珍しくないですが、限定カラーでもなく3色同等扱いでリリースされたのは、電子ピアノとしてはちょっと珍しいかもしれません。
 
 
 本機のレッドは、今見てもかなり目を引きますねー。パネルトップに白マジックで「nord piano」とか書いておいても案外バレないかもしれません。。

 

Roland FP-8(advertisement)
FP-8/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 余談ですが、本機の広告のイメージアーティストには「クライズラー&カンパニー」が起用されていました。ちなみに上画像の一番左のバイオリン弾きの御仁は葉加瀬太郎さんです。
 
 
 

Roland「RDシリーズ」との違い

 同社のデジタル・ピアノといえば「RDシリーズ」も代表的なのですが、FPシリーズではスピーカーを内蔵していたり、自動伴奏が機能が付いているモデルもあり、家庭向けとしての使用も想定されていることが伺い知れます。
 
 
 RDシリーズはイコライザーや本格的なエフェクターなどを備え、バンド・サウンドに混ぜた時に抜けてくる(埋もれない)音を出すことを意識して設計されています。
 
 
 とはいえ最近のFPシリーズ(特に高級モデル)では、基本機能・ライブ向け機能の大きな向上が見られ、RDシリーズとの明確な境界線があまりなくなってきていると個人的には思います。
 
 
 関連記事(ローランドRDシリーズ):
 「Roland RD-1000 ~ローランドのデジタルピアノ・RDの源流[1986年]
 「Roland RD-300(/RD-300S) ~MIDIコントローラーが充実した80年代製・RD
 「Roland RD-500 ~1994年発売のステージ向けデジタル・ピアノ
 
 
 

おまけ・FPシリーズ、ナンバリングの謎

 FPシリーズは本機FP-8から始まり、様々な数字が割り振られてきました。発売開始年と併せて一通り追ってみましょう。

FP-8(1991年)
→FP-1(1994年)→FP-9(1998年)→FP-3(2000年)
→FP-5(2002年)→FP-2(2003年)→FP-7/FP-4(2007年)
→FP-7F(2010年)→FP-4F(2011年)

→FP-50/FP-80(2013年)→FP-30(2016年春)→FP-90(2016年末)

 
 ナンバリングの1ケタは、時代によって「8→1→9→3→5→2→7(4)」と遷移しています。自分なりに解読しようと試みましたが、さっぱり規則性が見当たりませんでした。何らかのメッセージが隠されているのでしょうか(笑)
 
 
 しかも日本人が嫌いがちな「4」を採用し、「6」だけが外れています。そして近年は2ケタに突入してしまいました。。幻の「FP-6」はローランド社内のプロトタイプとして、日の目を見ることなく長い眠りについているのかもしれません。。
 
 
 
 関連記事(ローランドFPシリーズ):
 「Roland FP-1 ~1994年発売の “2代目”FPデジタル・ピアノ
 「Roland FP-9 ~64ボイスに対応! 90年代末のFPデジタル・ピアノ [1998年]
 「Roland FP-3 ~ローランドのスタイリッシュ・本格デジピ[2001年]
  

仕様
■鍵盤:88鍵(ハンマーアクション搭載)
■最大同時発音数:28
■音源:アドバンストSA方式
■内蔵音色数:16
■外形寸法:1343(W)×120(H)×383(D)mm
■重量:26kg
■価格:200,000円
■発売開始年:1991年

 

関連記事および広告

関連記事および広告


-1990年代', Roland, 楽器・機材【Vol.〇〇】