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1970~80年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.208】Roland MT-32 ~DTMパック『ミュージくん』でも同梱された音源モジュール[1987年]

2018/07/01

 今回ご紹介する音源機材は、ローランドの「MT-32」です。発売は1987年。発売当初の定価は69,000円でした。今日広く使われている「DTM」という言葉の元祖とも言うべきローランドのパック商品・『ミュージくん』で、同梱されていた音源モジュール(ハード音源)として名を残しています。

 

Roland MT-32

 

 とはいえMT-32は、当初は単体の音源モジュールとして市場に投入されました(→ミュージくんの発売は翌1988年)。登場時のセールス・コンセプトも、のちのデスクトップ・コンピューター・ミュージックを全面的に意識したものとはあまり見受けられません。どういった機種としてリリースされたのでしょうか。
 
 
 

MT-32概要

 名機・D-50の数か月後に登場した音源モジュール。D-50同様、MT-32もLA音源を採用しています(ただしリズム・サウンドはPCM方式を採用)。横幅のサイズ的は1Uラックの2/3(→約30cm)となっていて、意外と大柄な印象です。ラックマウントは想定されていません。
 
 
 本機は元々、同社(ローランド)の家庭用電子ピアノ・シリーズと組み合わせることにより、ピアノ音以外の幅広い音色を扱えるという “拡張音源”として開発がスタートしました
 

Roland MT-32(advertisement)
MT-32/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

音源部&マルチティンバーについて

 シンセ・パートは128音色を内蔵しており、D-50譲りの音源方式・LA音源(Linear Arithmetic)を採用。またリズム音源は別途PCM方式を採用し、こちらは30種類を揃えています。
 
 
 シーケンサーやコンピューターからの自動演奏用音源として使用する場合、MT-32は最大で「シンセサイザー8パート+リズムパート」、同時発音数32音というマルチティンバー音源として機能します。これはピアノやギター、ドラムなど複数の音色を1台で同時に出せるといった機能のことですね。
 
 
 また、他パートで使っていない「パーシャル」(→波形単位)があればそれを、多くのパーシャルが必要なパートに動的に割り当てることができ、無駄のない同時発音数の割り当ても可能となります。同時に発音するパーシャルが合計32音を超えなければ、各パートごとにどのようなパーシャル構成であろうと全て発音してくれるといった感じですね。
 
 
 1台で複数のパートが発音可能な “マルチティンバー機能”は本機以前にもありましたが、こういった辺りの自由度の高いマルチティンバーはMT-32ならではの使いやすさと言えるでしょう。
 
 
 

パーシャル・リザーブ機能について

 複数のパーシャルを使った音色が増えれば同時発音数(→Max32音)も減っていきます。そこで「パーシャル・リザーブ機能」を使うことにより、パートごとに優先的に使えるパーシャル数を指定(予約)しておくことができます。
 
 
 『このパートのメロディ音色が(発音数オーバーにより)発音されないと、この曲は成立しなくなる!』などといったケースを回避するために有効な機能ですね。

 

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音色エディットについて

 MT-32は本体内にサウンド・エディット機能は持っていませんが、同社のシーケンサー「MC-500」などからMIDIエクスクルーシブ・データを受信して、内蔵音色のエディットや本体内への記憶が(64種類まで)可能になります。
 
 
 関連記事:「Roland MC-500 ~ソフトウェアで機能が変わるMIDIシーケンサー否、コンピューター[1986年]
 
 
 

専用シーケンサー・「PR-100」について

Roland PR-100

 

 ローランド・ピアノ用のシーケンサー(ミュージック・レコーダー)として登場。当時の定価は59,800円。MT-32との組み合わせ使用も想定された単体ハード・シーケンサーといった趣きの一台になっています。外部メディア・ドライブとして「クイック・ディスク・ドライブ」を搭載。内部メモリーは最大17,000音で、2.8インチQD(クイック・ディスク)を使用すれば最大17,000音をメモリーします。
 
 
 2つの録音/再生トラックに加えて、再生専用のトラックも2つ搭載。要するに「MT-32」+「PR-100」で自動演奏のオーケストレーションを組んで、それをバックに「ローランド電子ピアノ」でピアノ演奏を楽しんでくださいね! というような戦略だったのだと思われます。
 
 
 類似コンセプトの他社製品としては、以前本ブログでも紹介した「YAMAHA TQ5」が概ね該当するでしょうか。まあTQ5は後発ということもあり、シーケンサー+音源を統合したマシンではあったのですが。。(※1)
 
 
 

つぶやき的な

 MT-32は、当時 “DTM”という言葉がまだ生まれる前の時代に、“DTM用音源モジュールとして必須の機能”を既に備えていたと考えることもできますね。まあ現在ではDAWベースで複数のソフトシンセなどを当たり前に使えるのであまり意識することはないと思いますが、当時としては非常に画期的な一台だったと捉えることもできます。
 
 
 当時、ローランド・ピアノの拡張音源として本機を使っていた人がどれだけ居たかは定かでないですが。。
 
 
 

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※1 …なおのちにローランドも、「MT-32」+「PR-100」を合体させたMT-100という音源内蔵シーケンサーを発売している。

仕様
■音源方式:LA方式
■最大同時発音数:32音
■プリセット音色:シンセ128音色+リズム30音色
■内蔵エフェクト:デジタル・リバーブ(10種類)
■ディスプレイ:10文字×1行LCD(バック・ライト付)
■外形寸法:305(W)×45(H)×220(D)mm
■重量:1.5kg
■発売時の価格:69,000円
■発売年:1987年

 

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