キーボーディスト、脱初心者を目指す

ピアノ、シンセサイザー、オルガンとか鍵盤楽器もろもろ。関係ない記事もたまにあるよ

1990年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.364】Roland FP-9 ~64ボイスに対応! 90年代末のFPデジタル・ピアノ [1998年]

2018/11/28

 

 

 今回ご紹介するキーボードは、ローランドが1998年末頃に発売したデジタル・ピアノ「FP-9」です。本体価格は発売当時220,000円(税抜)。以前本ブログでも紹介した「Roland FP-8」「FP-1」に続く、同社のデジタルピアノ・FPシリーズの3代目です。

 

Roland FP-9

 

 FPシリーズといえば、共通の製品コンセプトとしてスタイリッシュなデザインを提示しており、本機FP-9でも木製サイドパネルを採用するなど、当時としてはちょっとしたオシャレ感が見られますね。
 
 
 

FP-9概要

 88鍵ハンマー・アクション機構を搭載したデジタル・ピアノ。同時発音数は幅広い曲にも余裕で対応する64音。アンプおよびスピーカーは内蔵されており、電源ケーブルをつなげるだけですぐに演奏が可能(ペダル・DP-6も標準付属)。
 
 
 なお専用スタンド(FPS-9・定価15,000円)は別売りとなっており、本体だけをライブ会場などに持っていくことも可能でした。ライブ向けも意識しているのか、コーラス(8タイプ)やリバーブ(8タイプ)なども内蔵しています。
 
 
 

内蔵音色について

以下8つのボタンがパネル上に並んでいて、ボタンを押すことにより音色を選択します。

●Piano1 ●Piano2 ●E.Piano ●Harpsi ●Vibes ●Bass ●Strings ●Voice

 
 上記音色カテゴリーはさらに×3のバリエーションの選択ができるため、実質8×3=24音色が使えたという感じです。ちょっと補足してみましょう。
 
 
ピアノ系 …フルグランド、クラシックピアノをはじめ、ホンキートンク、ポップ/ロックピアノなど、メロウなサウンドからメリハリのあるブライトな音色もフォローしているという印象です。当時のデジピとしてはバリエーション豊富で、色々な曲にも対応できたといったところ。
 
 
エレピ系 …いわゆるRhodes系をはじめ、ローランドならではのSA Rhodes、さらにFMエレピも備えています。
 
 
ボイス系 …これの一番目には「Jazz Scat」というものが収められていて、これはベロシティによって、“Doo”、“Dat”、“Bat”、“Daw”という4種のスキャット・ボイスを弾き分けられるというもの。本機のウラ目玉?とも言うべき面白い音色です。
 
 これには元ネタがあって、同社のXP/JVシリーズ向けエキスパンション・ボード『SR-JV80-13 Vocal Collection』で好評だったスキャット・サウンドを移植したといった感じですね。ピアノのお稽古に疲れた時に使ってみましょう(笑)
 
 
 またこれらの音色は、2つのボタンを同時押しすることで音色をミックスする「デュアル機能」や、鍵域を左右で分ける「スプリット機能」も備えています。
 
 
 ちなみに音源は、同社のステージ・ピアノRD-600と同様のステレオ・ピアノ・ウェーブを搭載しているそうですよ。
 

Roland FP-9(advertisement)
FP-9/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

内蔵エフェクトについて

 前述したようにコーラスとリバーブを備えているほか、弦の共鳴をシミュレートする「シンパセティック・レゾナンス【Sympathetic Resonance】」なるエフェクトも搭載。
 
 
 このシンパセティックとは “共鳴する”という意味だそうで、文字通り、グランドピアノのハンマーアクション時に発生する、弦の共鳴による音の広がりをシミュレートできるみたいですよ。なおこれらエフェクターはかかり具合が調節可能となっています。

 

 

 

豊富な入出力端子

 本機にはステレオ(L/R)インプット端子も装備しています。これにより他の音源機器の音声信号をFP-1のアウトプット(ラインアウト、スピーカーアウト、ヘッドフォン)に乗せることができるので、ちょっとしたミキサー替わりになりますね。
 
 
 MIDI端子はIN/OUTを搭載。またデジタルピアノでありながら、PCと直接接続が可能なシリアル端子も備えています(MacintoshおよびPC/AT互換機)。PC種は本体背面のスイッチにより切り替えができます。
 
 
 

個人的かんそう

 コンパクトでスタイリッシュな外観は前モデルを継承しつつ、音色数が増え、同時発売数も64ボイス(→FP-9では28ボイスだった)に大幅アップしてたりして、基本性能は順当に上がっているという印象ですね。特に64ボイスは、ダンパーを多用した演奏などでも音切れの心配がなく響きを残せるということで、この頃のデジタルピアノとしては評価できるポイントだと思います。
 
 
 また上記ではあまり触れませんでしたが、MIDI周辺の機能も向上しておりマスターキーボードとして使ってもOK。
 
 
 空間系エフェクトによる細かなカスタマイズができたりと、いわゆる家庭向け電子ピアノと比較すると一歩抜きんでた仕様と見ることができそうです。
 
 
 
 関連記事(ローランドFPシリーズ):
 「Roland FP-8 ~ローランド・デジタルピアノ「FP」の元祖[1991年]
 「Roland FP-1 ~1994年発売の “2代目”FPデジタル・ピアノ
 「Roland FP-3 ~ローランドのスタイリッシュ・本格デジピ[2001年]
 

仕様
■鍵盤:88鍵(ハンマーアクション機構)
■最大同時発音数:64
■内蔵音色:24種類(以下8タイプ×各3バリエーション)
 Piano1、Piano2、E.Piano、Harpsi、Vibes、Bass、Strings、Voice 
■内蔵エフェクト:コーラス(8タイプ)、リバーブ(8タイプ)、シンパセティック・レゾナンス
■付属品:電源コード、ペダル(DP-6)、譜面立て、カバー等
■外形寸法:
 【本体】1321(W)×117(H)×390(D)mm
 【専用スタンド】1258(W)×639(H)×390(D)mm
■重量:26.1kg(本体)、9.1kg(専用スタンド)
■価格:220,000円(本体)、15,000円(専用スタンド)
■発売開始年:1998年

 

関連記事および広告

関連記事および広告


-1990年代', Roland, 楽器・機材【Vol.〇〇】