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2000年代~'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.442】YAMAHA DJX-II ~キーボード?否、オールインワン・デジタルDJマシン[2000年]

 ほい今回ご紹介するキーボードは2000年に発売されたYAMAHAの「DJX-II」です。当時の定価は49,800円(税別)

 

 

 これは、普通のキーボードとは全く異なるコンセプトで開発されたいわゆるDJ向けギアの一種ですね。数か月前に発売された “DJX”(PSR-D1)の2代目ということで「DJX-II」というネーミングみたい。
 
 
 90年代末~2000年代初頭といえば音楽ジャンルを問わずDJが注目されつつあった時代であり、キーボードマガジン誌でも特集(機材およびプレイ)が組まれる号があったほど。その頃は低価格サンプラーがすっかり普及しており、デジタルの強みを生かしてヤマハやローランドなどもこのDJ市場にちょっとだけ参入しちゃったというところでしょうか。ではDJX-IIの詳細を見てみましょう。
 
 
 

商品コンセプト

 内蔵されたダンスミュージック向けリズムやパターンを組み合わせ、初心者でも簡単にDJプレイやリミックス・プレイが楽しめるように設計されたキーボード・タイプのデジタルDJマシン。アンプ/スピーカーも内蔵。
 
 
 内蔵パターンのみにとどまらず、マイク/CDからの外部音声を簡単にサンプリングできるサンプラー機能も装備。さらにフロアで映える過激なエフェクターや、スクラッチサウンドが得られるリボンコントローラーを搭載した、オールインワンDJギアといった趣きの一台。
 
 
 

2つのモード

 本機は61シンセ鍵盤を備えており、[VOICE/KEYBOARD]モード(いわゆるキーボードモード)にすれば、内蔵音源を使いキーボードとして普通にプレイすることが可能です。
 
 
 しかし何といってもDJX-IIの売りは、もう一つの[PATTERN/ENTER]モード(いわゆるパターンモード。これは鍵盤をスイッチとして扱い、プリセットパートの出し入れを行うことで言ってみればリミックスを行うことができるモードのこと。この場合は鍵盤はパターンを鳴らすボタンのようなものだと思えばよいですね。
 
 
で、簡単に図に描いてみました。

 

 白鍵域はオクターブをひとまとまりにグレー/白に塗り分けられていて、[PATTERN/ENTER]モードに入った時に各オクターブごとに異なる機能が割り当てられます。以下超簡単に説明してみましょう(数字は便宜的に当方で振ったもの)。
 

1…キーシフター【KEY SHIFTER】
  音程をシフト(移調)させる。

2…パートセレクター【PART SELECTOR】
  パートコントローラーノブの効果のかかるパートを決める。

3…パートミキサー【PART MIXER】
  パターンの各パートのON/OFFを設定する。

4…パターンプレイヤー【PATTERN PLAYER】
  パターンをスタートさせたりパターンのバリエーションを選択する。白鍵部(実際にはグレー)にはメインパターンが、黒鍵部にはフィルインパターンが割り当てられている。
 
 
5…アクティベーター【ACTIVATOR】
  DJパフォーマンスにアクセントをつけるフレーズ/リズムを搭載。上記パターンプレイヤーとは別に用意された、いわば “DJ的音ネタ”となるループ/ワンショットが全52種類が収められている。

 

 なるほどね。この “ゼブラ鍵盤”は、各機能を区別しやすくするために意図的にデザインされているのですね。
 
 
 上図で言うところの「4」の “パターンプレイヤー”が本機の心臓部と言えるでしょう。パターンは大きく70種類あり、それぞれが10のバリエーションで用意されているため全700パターンとなっており、これはなかなかの品ぞろえ。また、本機発売当初はインターネットのDJXサイトから追加パターンをダウンロードすることもできたそうです。
 
 
 ちなみにこのパターンは、PCやシーケンサーなど外部で作りこんだものをMIDIで取り込むことにより、オリジナルのものを作ることもできました。

 

 

 

「ライブエフェクター」について

 本機には全10タイプのエフェクター(本機ではライブエフェクターという)が内蔵されており、サウンドを過激に変形させることができます。DJ向けエフェクトといえば変化をもたらすための超重要な要素といえるので、全て挙げてみましょう。

●ディストーション ●オートパン ●リングモジュレーター ●フランジャー ●フェイザー ●スライス ●ディレイ ●エコー ●ローファイ ●ワウ

 
 これらエフェクトは、内蔵のパターン/アクティベーターだけではなく、外部から取り込んだサンプラー音源にも掛けることができます。ただし複数のエフェクトを同時にかけることはできないみたいですね。
 
 
 各エフェクトは、ON/OFFスイッチ、コントロールノブ(→エフェクトの効果を変える)、バランスノブ(→効果のかかり具合を変える)により変化を加えます。
 
 
 これらライブエフェクター向けのコントローラーですが、パネル中央やや左側にコンパクトに収められています。右手でパターン(鍵盤)を押さえつつ、左手のエフェクト操作は指ごとに複数同時に行うと上級者っぽい、みたいなことがマニュアルにも書かれていますね(笑)
 
 
 なお、上記エフェクト群とは別に、独立した「アイソレーター・ノブ」もパネルに配されています。周波数帯域ごとの音量をノブで調節することにより、サウンドの印象を劇的に変えることができるというところですね。
 
 
 

サンプリングもできる

 本機ではサンプリング(マイク/オーディオ)ができて、もちろんそれをパターンとして鍵盤に割り当てることも可能。8ビット/モノラル22kHzの固定となっており、約6秒間の録音ができるそうです。
 
 
 

おまけ・DJX-IIBについて

 DJX-IIから鍵盤を取り除いた箱型バージョン。定価は29,800円(税別)でした。筐体のデザインおよびサイズ感は、いかにもDJブースにマッチするような感じに仕上がってます。
 

 
 DJX-IIBの最大の特徴は、右下部に大きなスクラッチ・パッドが設置されているところ。DJX-II(鍵盤バージョン)にも疑似スクラッチができるリボンコントローラーが搭載されていましたが、それをより本格的にした感じですね。
 
 
 

つぶやき

 初心者でも気軽にDJプレイを楽しめるという触れ込みで生み出された、まさに当時の電子楽器業界における “DJ流行の兆し”を象徴するような一台といったところでしょうか。
 
 
 機能を絞って低価格だったし、DJに興味を持っていた中高生が最初の一台として選ぶギアとしては悪くなかったのではないかと。その頃で言えば、一式(ターンテーブル×2台、ミキサー、ヘッドフォン他)揃えるとなると軽く15万円~とかの世界でしたし。。
 
 
 個人的にはこのえげつないデザインは、ヤマハさんの歴代キーボードの中でも一、二を争うえげつなさという印象が強いですね(笑)。オクターブごとに白鍵を塗り分けちゃうとか、現代でもそうそう目にしませんよね。斬新でした。
 
 
 
 関連記事:「Roland DJ-70 ~キーボード付きサンプラー for DJ [1992年]
 

仕様
■鍵盤:61鍵
■最大同時発音数:32
■パターン:700(70パターン×10バリエーション)
■ACTIVATOR:50(プリセット)、13(バリエーション)
■音色数:203(プリセット)、1(サンプリング・ボイス)
■内蔵エフェクト:ライブエフェクター10種、リバーブ11種、コーラス7種
■サンプラー部:8ビット/モノラル22kHz
 メモリー128KB(サンプリングタイム 約6秒)
■PERFORMANCE RECORDER:メモリー18KB
■内蔵アンプ:6W×6W  ■内蔵スピーカー:12cm×2
■外形寸法:933(W)×129(H)×370(D)mm
■重量:6.7kg
■発売当時の価格:49,800円(税抜)
■発売年:2000年

 

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