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1970~80年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.408】Roland MC-300 ~名機MC-500の機能をそっくり受け継いだ低価格モデル[1988年]

2018/11/28

 

 

 今回は、かつてローランドから発売されたシーケンサー・「MicroComposer MC-300」を取り上げてみたいと思いますよ。発売は1988年、本体定価は98,000円でした。これは以前本ブログでも記事にした同社のシーケンサー・MC-500の、廉価版とも言えるハードウェアMIDIシーケンサーですね。

 

Roland MC-300(advertisement)
MC-300/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

 今どき “シーケンサー”というと、Cubaseなどに代表されるいわゆるPC向けシーケンスソフトを連想する人も多いと思いますが、昔はこの “シーケンサー”だけのハードウェア製品が存在したのです。もちろん本機だけでは音は出ないんですよ~
 
 
 関連記事:「Roland MC-500 ~ソフトウェアで機能が変わるMIDIシーケンサー否、コンピューター[1986年]
 
 
 

はじめに

 付属のソフト(フロッピー・ディスク)によってシステムを起動するという設計のハード・シーケンサー。MC-500と同様、シーケンサーと言いつつも別売りの様々なディスクによって、それぞれのディスク・ソフトに規定された機能を発揮するといった感じです。MC-300には「MRC-300」という専用のシーケンサー・ソフトが付属していました(3.5インチFDにて供給)。
 
 
 実は今回のMC-300、2年前に発売された「MC-500」と内容(スペック)はほぼ同じなのです。なので概要はMC-500の方の記事を読んで頂けるとよいかと思います。本記事ではMC-500とMC-300の違いについてメインに記してみたいと思いますよ(とはいえほとんど違いがないんだよね。。)
 
 
 

付属ソフト・MRC-300について

 まず初めに触れておくべきなのが専用ソフト(システム)である「MRC-300」でしょう。これを読み込ませることにより、初めてMC-300という箱は以下のスペックを持つシーケンサーとして使用することができます。ざっくり記してみましょう。
 

■トラック
 演奏データ用トラック: 4
 リズムデータ用トラック: 1
 テンポ管理用トラック

■エディット(小節単位)
 イレース、デリート、インサート、マージ、エクストラクト、トランスポーズ、
 チェンジ・ベロシティ、MIDIチャンネル変更、クォンタイズ、コピー

■メモリー
 内部記憶容量: 約25,000音
 外部ディスク記憶容量: 約100,000音

■データ入力方式
 リアルタイム/ステップ レコーディング
 

 
うーん、、こんな感じでしょうか。
 
 
くどいようですが、MC-300とシーケンサーとして使う際は、初めにこのMRC-300を読み込ませる必要があります。そして上記スペックはMC-500(※MRC-500使用時)と全く同等となっています
 
 
 3.5インチFDD(2DD)を内蔵し、20文字×4行の液晶ディスプレイ(バックライト付き)を備えてある辺りなんかも同じ。当然両シーケンサーの互換性は完全コンパチブルであり、MC-500(MRC-500)で作ったデータはMC-300(MRC-300)で問題なく読み込ませることができます。逆も然りですね。
 
 
 

で何が変わったのか?

 ずばり、価格ですね。もうそれに尽きます(笑)。155,000円→98,000円と、30%以上の値下げ率となっています。
 
 
 あとスイッチ類のデザインが、以前の角ばったものから、小さく押し込みの浅いタイプに変更されました。まあこれはこれで時代の流行りみたいなものだったのかもしれません。
 
 
 筐体デザインはMC-500とほぼ同じですが、高さが約1cmほど低くなっており、『言われてみれば若干コンパクトかも・・・』という程度の変化ですね。重さもほとんど変わっていません。
 
 
 あと、ダイヤルの回転感度(※加速度を検知するという意味)が向上していたり、ディスク・ドライブの読み込み速度が上がっているなんて話も聞いたことはありましたが、実際に自分で確認したわけではないのでご参考までに。。

 

 

 

オプションのソフトたち

 以下はMC-500向けにリリースされた(末尾が-500となっている)ソフトたちですが、これらのソフトもMC-300で問題なく使うことができます。以前MC-500の記事でも触れたのですが、念のため再記述してみたいと思います。 
 
 

MRB-500 "BULK LIBRARIAN"

 各種MIDI機器のバルク・データの保存、送信などを可能にするシステム・ソフト。他社のエクスクルーシブ・データにも対応していたため、さまざまな音色データやシーケンス・データをMC側で集中管理することが可能になるというもの。
 
 

MRD-500 "RHYTHM BANK"

 MC内蔵のリズム・パターンとリズム・トラックを使ったリズム・データ集。様々なパターンを約800種類収めている。
 
 

MRP-500 "PERFORMANCE PACKAGE"

 作成した演奏データを、ステージなどで速やかに演奏できるように編集するためのパッケージ・ソフト。連続演奏させる曲の順序や曲間の待ち時間を設定したりといったことが行える。
 
 
 

つぶやきとして

 前モデルのMC-500は(主にプロ向けシーケンサーとして)そこそこヒットしたのですが、発売から2年も経ったとのことで一旦ディスコン(生産終了)にして、商品としての目新しさを与えるべく “MC-300”に改名して生まれ変わったという印象でしょうか。電子楽器の世界では価格改定は珍しくなかったのですが、あえて「お求めやすい価格になりました!」じゃなくて、名前そのものを変えちゃったといったところでしょう。
 
 
 あと、今でこそ『電子楽器系ハード機器が2年でモデルチェンジは早いだろ!』という(個人的)感覚なのですが、80年代後半頃のハード・シーケンサー市場は非常に活発だったわけで、そんな賑わってた時代もあったなーとしみじみしちゃいますね。。
 
 
 ちなみにMC-300発売のほぼ同時期に、「MC-500MKII」なる “実質上のMC-500の後継機”のリリースがアナウンスされています。こちらの価格は180,000円ということで、プロ仕様とはいえ結構なプライスなんですよね。。また機会があれば取り上げてみたいと思います。
 
 
 
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仕様
■記憶容量:256Kバイト
■メモリー容量:本体約25,000音、ディスク約100,000音
■レコード・トラック:演奏トラック×4 + リズムトラック×1、テンポ管理用トラック
■ディスプレイ:20文字×4行液晶(バックライト付き)
■MIDI端子構成:IN、OUT×2、THRU
■外形寸法:305(W)×91(H)×280(D)mm
■重量:3.5kg
■発売当時の価格:98,000円
■発売開始年:1988年

 

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