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1970~80年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.252】Roland MC-202 モノシンセ内蔵の2chデジタル・コンポーザー[1983年]

2018/11/26

 

 

 今回ご紹介する機材は、ローランドが1983年にリリースした「MC-202」です。同社のMCシリーズといえば【Micro Composer】の略で、本機は黎明期のシーケンサーMC-8、MC-4を経て発売された、音源・鍵盤スイッチ付きの廉価版デジタル・シーケンサーといった感じの一台になっています。当時の定価は69,500円。

 

Roland MC-202

 

 外観は、のちに同社から発売されヒットしたMC-303とちょっとだけ雰囲気が似ていますね。またカラーリングやスライダー/ノブのデザインは、同年に発売されたシンセ「SH-101」と非常に近い印象を持ちます。さてその内容はどのようなものだったのでしょう。
 
 
 

MC-202概要

 MC-4の機能性を受け継ぎつつも、同社のSH-101同等のモノフォニック・シンセサイザー(1系統)を搭載した、2チャンネル仕様のデジタル・シーケンサー。本機の内蔵音源以外にも、さらに1台外部音源を接続できる仕様になっています。
 
 
 

マイクロ・コンポーザー部(シーケンサー部)

記憶容量について

 記憶音数は約2,600音。これは1チャンネルあたり一小節8音とすると、だいたい160小節前後までOKということになります。同社のCSQ-600と比較すると約4倍もの容量であり、ある程度長い曲でも大丈夫といった印象です。
 
 
 本体内にメモリーは備えていませんが、テープ・インターフェイスは装備しているため、作った曲は(データとして)カセット・テープに保存していくことができます。
 
 
 

入力方法について

 本機には鍵盤配列のスイッチを3オクターブ弱(33鍵)装備。このキーボード・スイッチをリアルタイムに押していくことで「ステップ・キー書き込み方式」を実現しています。ガイド用のメトロノームも内蔵されていますね。また、アクセントやポルタメントなどの要素もデータとして書き込むことができます。
 
 
 上記の他にも、MC-4同様にテンキー(→数値入力)による書き込みもできます。あと液晶ディスプレイはさほど大きくないのですが、書き込んだ様々な情報を一通り視認できるのはふつうに便利だと思います。
 
 
 

シンセサイザー部

 1V/Oct.方式のアナログ・シンセサイザー。構成は1VCO、サブオシレーター、1VCF、1VCA、1ENV(ADSR形式)、1LFO、MIXERといった感じです。そう、シーケンサー部はデジタルですがシンセ・セクションはアナログなのです。シンプルな構成なのですが、SH-101譲りの分かりやすい操作パネルで、特に初心者にはとっつきやすかったのではないでしょうか。なおフィルターはキレのよい24dBのローパスを採用しています。
 
 
 回路的にはSH-101とほぼ同じですが、ノイズジェネレーターやLFOシェイプの選択は省略されています。またピッチベンド/モジュレーションホイール等もありませんね。音質はSH-101よりも若干チープという話は聞きます。
 
 
 とはいえTB-303のようにグライド入力ができたり、アクセントの要素もデータとして書き込むことができるので、ちょっとしたアシッドなトラックを作るのに便利だったと思います。トランスポーズの切り替えにより、9オクターブまでの音域をカバーします。

 

 

 

接続端子について

 この頃のローランドに見られた、同期演奏用DIN端子を3つ(SYNC IN×1、OUT×2)搭載しています。同社のTB-303、TR-606、あるいはもう一台のMC-202などと接続し、同期演奏を楽しむといった感じでした。
 
 
 さらにCV/GATE端子も3つ(IN×1、OUT×2)装備。外部キーボードを接続してデータ入力をしたり、また逆に外部のキーボード(シンセサイザー)を鳴らすこともできます。
 
なお本機にMIDIはありません。
 
 
 

つぶやき的な

 鍵盤配列のスイッチやモノシンセ音源を内蔵しちゃった辺りは、MC-4からの系譜と考えたらかなり違和感のある仕様ですね(乾電池でも駆動するし)。。でもこれはこれで『Groove Boxシリーズ』としてのちのMC-303やMC-505などに発展していくことになります。
 
 
 何よりこの低価格で、音源+一通りのコンポーズ機能が搭載されているということで、当時高嶺の花だったMC-4に憧れていたアマチュア・ミュージシャンにとっては、かなり魅力的な一台だったのではないかと思います。
 
 
 90年代中~後半にはMC-303がこのカテゴリーのスマッシュヒットを記録したため、前身とも言える本機MC-202にも注目が集まり、テクノ方面のクリエイターからリバイバル的人気を得た時代もありました。
 
 
 
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仕様
■チャンネル数:2
■記憶音数:約2,600音(1チャンネルあたり一小節8音で約160小節)
■テンポ:♩=40~300
■入力方法:ステップ・キー入力/リアルタイム入力
■シンセ部構成:1VCO、サブオシレーター、1VCF、1VCA、1ENV、1LFO、MIXER
■外形寸法:343(W)×55(H)×204(D)mm
■重量:1.35kg
■発売当時の価格:69,500円
■発売開始年:1983年

 

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