キーボーディスト、脱初心者を目指す

ピアノ、シンセサイザー、オルガンとか鍵盤楽器もろもろ。関係ない記事もたまにあるよ

KURZWEIL 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.144】YOUNG CHANG(KURZWEIL) PC88 ~音源内蔵マスター・キーボード[1994年]

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介する機材は、YOUNG CHANG(ヤンチャン)が1994年に発売した、高品位な音源を内蔵したMIDIマスター・キーボード「PC88」になります。価格は248,000円でした。88鍵の割に(当時としては)軽量の22kgであり、ライブで弾き倒すいわゆるプレイヤー指向の方の人気が高かった鍵盤ですね。

 

KURZWEIL PC88

 
 ちなみに名前は往年の有名国産パソコンの型名に似ていますが、本機の場合のPCとは【Perfomance Controller】の頭文字です。
 
 
 

【そもそも論】“KURZWEIL(カーツウェル)” PC88じゃないの?

 以前「MP-1」の記事でも説明させて頂きましたが、この頃のYOUNG CHANGとKURZWEILの製品については基本的に型名および中身は同じです。なお両社については、以下関連記事の末尾に注釈としてまとめておきましたので、興味のある方は読んでみてください。
 
 関連記事:「YOUNG CHANG(KURZWEIL) MP-1 ~高品位ハーフラック・ピアノ音源モジュール[1994年]
 
 
 

PC88 概要

 88鍵のウェイテッド・アクション・ピアノ鍵盤を採用したマスターキーボード。でありながら、ピアノ/ストリングス系など高品位な64個の音色も内蔵した、ステージピアノとしても使える一台となっています。
 
 なお本体の同時発音数は32音ですが、後述するVGM音源ボードによって64音同時発音が可能になります。

 

KURZWEIL PC88(advertisement)
KURZWEIL PC88/(株)ハーモニックス 雑誌広告より画像引用

 
 
 

タッチについて

 一般的なピアノタッチ鍵盤と比べると、幾分か重めの調整になっています。ただしレスポンスは悪くなく、8分で刻むテンポ速めのロック・ピアノでもちゃんと追従してきてくれる感じですね。
 
 
 

音について

 ピアノ系、エレピ系、ストリングス系、ハープシコード、アコースティックギター、シンセパッドなどなど、64の音色を内蔵しています。
 
 
 なお、上記にてちょっと触れた「MP-1」(ピアノ音源モジュール)からも、その音源部を一部踏襲しているみたいですね。よってPC88のピアノ音色もなかなかよく出来ていると思います。
 
 
 

マスター・キーボードとしての機能について

 本機は16パートマルチ・ティンバーであり、4つの独立したMIDIチャンネル上のデータをそれぞれ「ゾーン」として、同時に送信することが可能となっています。
 
 
 外部用端子も充実しており、2つのフット・スイッチ端子(Switch Pedals)、4つのコントロール・ペダル端子(Continuous Control Pedals)を本体リアパネルに装備しています。
 
 
 パネル上に配された4つのスライダーをはじめ、ピッチホイール、モジュレーションホイール、各種ペダル情報などを統括し、4チャンネルのMIDI機器を制御することができます。

 

 

 

「拡張VGM音源ボード」について

 PC88専用に用意された、205プログラム(GMサウンドセット含む)のGM対応音源ボードです。価格は55,000円でした(※取付料別)。本ボードはPC88本体とは別のステレオ・エフェクト・プロセッサを内蔵しており、拡張VGM音源のスプリット/レイヤーに対して個々にエフェクトの設定が可能となっています。
 
 
 なお本ボードのみの同時発音数は32音となっていて、PC88に組み込んだ際には合算・64(32+32)ポリフォニックが実現します。
 
 ちなみに、本ボードを最初から搭載して販売されたPC88は「PC88MX」という型名になっていますね。
 
 
 

つぶやき的な

 PC88といえば、90年代に「ナイアシン」というバンドのジョン・ノヴェロさんが、本機をハモンド・オルガンの上に置いてピアノパートを弾いていた光景が目に浮かびます。
 
 
 僕も何度か実機を試奏したことがあるのですが、やはり鍵盤タッチが非常に重い(硬い)という感想ですね。当時の僕はヤワなシンセ鍵盤ばかり弾いていたというのもあるのかもしれませんが、本機は「男性向けピアノタッチ鍵盤」という印象といいましょうか(いや僕も男なんですけどね)。。デザインのゴツさも相まって、非常に “男臭い”鍵盤という印象が個人的には強いです。
 
 
 マスター・キーボードの機能に加え、ウェイト・アクション付きの88鍵盤、高品位な音源部も搭載した、非常にバランスの取れた機種だったと思います。
 
 

仕様
■鍵盤数:88鍵(ウェイテッド・アクション)
■最大同時発音数:32音(VGMボード装着時64音)
■パート数:16
■本体メモリー:プリセット64、ユーザー48
■エフェクト:48コンビネーション
■ディスプレイ:20×2行、バックライト付LCD(コントラスト調整機能付き)
■外形寸法:1370(W)×115(H)×350(D)mm
■重量:22kg
■発売当時の価格:248,000円
■発売開始年:1994年

 

関連記事および広告

関連記事および広告


-KURZWEIL, 楽器・機材【Vol.〇〇】