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1990年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.407】YAMAHA SY99 ~高音質・高機能を誇ったヤマハ渾身のハイスペック・シンセ[1991年]

 今回取り上げるシンセサイザーは、1991年にヤマハから発売された「SY99」です。シーケンサーやエフェクターも内蔵したいわゆるオールインワン・シンセであり、鍵盤数は76鍵。メーカー希望小売価格は420,000円でした。

 

YAMAHA SY99

 

 うーん、これも懐かしいですね。完全プロ仕様とも言えるハイスペックなシンセで、当時のシンセ愛好家にとって垂涎の一台といったところでしょうか。80年代末~90年代前半にかけて発売された同社のシンセサイザー「SYシリーズ」の最高峰でもありますね。
 
 
 SY77からのバージョンアップ・モデルと見ることもできるので、SY77との比較をちょいちょい挟みつつ記事を進めてみたいと思います。
 
 
 関連記事:「YAMAHA SY77 ~2つの音源を持つオールインワン・シンセ[1989年]
 
 
 

より充実した音源部

 音源部は、先行発売されたSY77のそれを踏襲したRCMシステム方式を採用。AWM2音源部の容量は、SY77の2倍である8MバイトのウェーブROM(ウェーブ・データにして267波形)を搭載しています。
 
 
 SY99のサンプリング系内蔵音色といえば、非常に品の良いハイファイな音、というイメージですね。ピアノなどの生楽器系のサウンド・クオリティは明らかにSY77よりも向上しています。当時としては大容量のメモリーを搭載し、おそらくマルチ・サンプリングも細かくポイントを取っていたのでしょう。
 
 
 なお『そもそもRCMって何じゃい?』という方には、以前のSY77の記事で詳しく触れていますのでこちらでは割愛させて頂きます(必要に応じて上記SY77のリンクからご参照ください)。まあ要するにPCM系とFM系のデュアル音源みたいなシステムです。
 
 
 

サンプル・ダンプ・スタンダード(SDS)に対応

 SY99では、外部からMIDIサンプル・ダンプ・スタンダードに対応しています。これで何ができたかというと、サンプラー(同社のTX16Wなど)やPCといった外部機器から、サンプル・データ(オリジナル波形)をSY99に読み込ませることができるといったところです。要するにプリセット・サンプラー的な使い方もできたという感じですね。
 
 
 このメモリー(ウェーブRAM)領域は元々0.5Mバイトなのですが、オプションのエクスパンション・ボード「SYEMB05」により最大3Mバイトまで増設することができました(バッテリー・バックアップが付いていたので電源をOFFってもデータは消えない)
 
 
 

デジタル・フィルターも搭載

 これはSY77からの機能であり、2つの音源セクション(AWM2、AFM)にそれぞれデジタル・フィルターを掛けられるというものです。SY99のフィルターは1エレメント(→音色の最小単位)につき2基用意されており、フィルター1はハイパスとローパスの選択が可能となっています(フィルター2はローパス専用)。
 
 
 またSY99では、AFMのオペレータをAWM2の波形によって変調させて音を作り出すことも行うことができました。この辺りは詳しく記述すると複雑&マニアックになってしまうので割愛しますが、本来のウェーブ・データには含まれない倍音を生成し、予想外の音色をクリエイトすることもできたといった感じですね。これはPCM方式のみのシンセでは得られない本機の強みといったところ。

 

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シーケンサー部について

 入力はリアルタイムおよびステップ入力が可能。MIDIシーケンサーは、16トラック、約27,000音、10ソングとなっています。SY77と比較して特筆すべき点はメモリーソング数であり、SY77の1ソングから一気に10ソングに増えてます。チェイン・プレイ時には、各ソングごとのマルチ設定を次々と呼び出しながらの再生も可能となっています。
 
 
 また外部からSMF(スタンダードMIDIファイル)データを直接ロードすることができました(もちろんセーブも可能)。当時で言えば、PC-98、IBM-PC、MacintoshなどのPCで作ったシーケンス・データを、フロッピーディスク経由でSY99に取り込んで編集/再生などが可能だったという感じです。
 
 
 

内蔵エフェクターについて

 使えるエフェクトは全63種類。SY99では完全独立の2系統のステレオ・マルチ・エフェクターを内包しており、シリアル/パラレルの接続ができるようになっています。種類も定番のディレイ、リバーブなどから、リング・モジュレーター、エキサイター、ロータリー・スピーカーなどまで押さえ、幅広い音作りに対応します。
 
 
 SY77では、モジュレーション系+リバーブ系×2という構成であり、エフェクターだけ取ってもSY99ではかなりの進化点が見られます。どうやらDSPエンジン自体も改良されているみたいですね。当時の同社のエフェクト専用機・SPX1000(あるいは900)とほぼ同クラスと見てよい、かなり本格的なものと言えるでしょう。
 

YAMAHA SY99(advertisement)
SY99/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

そしてつぶやき

 新機軸だった「RCM方式」を採用したSY77に、様々な部分における付加スペックを足し合わせ、操作性・信頼性を高めプロでも安心して使用できるようにした本格派デジタル・シンセサイザーといったところですね。
 
 
 90年代におけるSY99の威光(笑)たるやかなりのもので、1998年に直系の後継機であるEXシリーズ(ハイブリッド音源を搭載したオールインワン・シンセ。MOTIFシリーズの前身)が出てSYが生産終了になった後も、市場に一定の影響力を持っていたと記憶しています。ミュージシャン(キーボーディスト)の中でも、これまでで最も印象に残っているシンセとしてSY99を挙げる人も少なくないでしょう。
 
 
 個人的には、、うーんあんまり縁がなかったかな。。勤めていた楽器屋で中古として入荷してもちろん操作したことはあるのですが、当時の僕はRoland寄りだったので(汗)。。
 
 
 
 関連記事(ヤマハSY/TGシリーズ):
 「YAMAHA SY77 ~2つの音源を持つオールインワン・シンセ[1989年]
 「YAMAHA SY22 ~ベクター・コントローラー搭載シンセ![1990年]
 「YAMAHA TG55 ~新音源AWM2を搭載したモジュール版SY55 [1989年]
 「YAMAHA TG77 ~SY77の音源モジュール版[1990年]
 

仕様
■鍵盤:76鍵(イニシャル・タッチ、ゾーンド・アフター・タッチ付き)
■最大同時発音数:32(AWM2:16音/AFM:16音)
■音源:RCMシステム方式
     AWM2音源部:ウェーブROM=8Mバイト(267ウェーブ・データ)、ウェーブRAM=0.5Mバイト(最大拡張時3Mバイト)
     AFM音源部:6オペレータ/45アルゴリズム/3系統フィードバック/16オシレータ波形
■プリセット音色数:プリセット128ボイス、インターナル64、カード64
■マルチティンバー数:最大16(DVA付)
■シーケンサー部
 トラック数:16(含むパターントラック1)、 データ容量:約27,000ノート、10ソング、99パターン
■効果(エフェクト):63プログラム×2基
■LCDディスプレイ:240×64ドット
■外形寸法:1254(W)×120(H)×407(D)mm
■重量:19.6kg
■価格:420,000円
■発売開始年:1991年

 

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