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2000年代~'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.298】YAMAHA EOS BX ~インターネットとリンクする“ネットワークEOS” [2001年]

2018/08/12

 今回ご紹介するシンセサイザーは、YAMAHA EOS(イオス)シリーズの「BX(ビー・テン)」です。発売は2001年秋。定価は110,000円でした。80年代末~90年代にかけて初心者向けシンセとして一世を風靡したEOSシリーズの現時点で最後のモデルといったところですね。唯一21世紀に発売されたEOSでもあります。

 

YAMAHA EOS BX

 

 それまでのEOSシリーズのトレードマークとも言えるスピーカーを省略しデザインも一新。当時一般家庭に急速に広まっていったパソコン(インターネット)とのリンクを全面に打ち出したコンセプトとなっていて、数あるEOSファミリーの中でも異彩を放つモデルとなっています。浅倉大介氏が開発に関わったというのも有名なエピソードですね。
 
 
 

概要

 本体内のハードウェアで音源部を鳴らし、MIDI(およびオーディオ)シーケンサー部はパソコンのソフトウェアで行うという、機能の分割化を明確にした新コンセプトEOS。なお筐体は同社のシンセ「S03」を流用したものとなっており、本体の低価格化にも一役買っているようです。
 
 関連記事:「YAMAHA S03 ~S80のサウンドを継承した “ハイコスパシンセ” [2001年]
 
 
 

外観について

 前述したようにS03のボディを流用しているとのことで、トップパネルのデザインはS03とほぼ全く同じ感じです。ただしカラーリングは独特で、ホワイトボディ+オレンジのロゴ&文字という組み合わせ(ちなみにLCDもオレンジ)。この白ボディは若干スケルトンっぽく仕上がっていて、当時流行したiBook(あるいはiMac)を意識したかのような作りですね。
 
 
 

内蔵音色について

 音源方式として同社のPCM路線である「AWM2音源」を採用。プリセットとGM/XG、インターナル(→ユーザー領域)を含め、合計736音色+22ドラムボイスを内蔵しています。浅倉氏プロデュースということで、その音色の中のいくつかは浅倉氏自身が手掛けているそうですよ。
 
 
 内蔵音は多彩で、ピアノ、ギター、ベースなどなど楽曲制作に必要な音色は一通り網羅しているといった感じ。その頃の時代のトレンドなのか、若干トランスというかデジタルロック寄りのサウンドが目立つという印象です。各楽器音のカテゴリーも使いやすくまとめられていて、ダイヤルやスイッチによる素早い音色選択が可能となっています。シンセならではのフィルターやエンベロープ、LFOなども搭載しており、音作りに関する一通りのパラメーターも網羅していると言っていいでしょう。
 
 
 また音色という意味ではちょっと脱線しますが、本機にはリバーブ(×11種)、コーラス(×11種)の他、バリエーション(×42種)という様々な効果が得られるエフェクターも内蔵しており、多彩な音作りに対応します。
 
 
 

コンピューター(ネットワーク)とのリンク

 本機には、同社の代表的なソフトである「XGWorks」を本機向けにカスタマイズした『DAWorks』というシーケンスソフトが同梱していました。これはWindowsでもMacintoshでもUSBケーブル1本でデータのやり取りができるというお手軽さ(ソフト自体もWin/Macハイブリッド)でもって、本機の目玉と言ってもいい仕様ですね。
 
 
 なおこの『DAWorks』ではオーディオ・トラックもMIDIトラックと同様に扱えるようになっています。現代の感覚だとごく普通といった感じなのですが、当時としてはハードディスク・レコーディング環境が低価格で実現するということで、総合的な音楽制作という面からも時代のニーズに合わせた仕様といった感じになっています。
 
 
 また、本機とコンピューターとのつながりは音楽データのみにとどまらず、『EOS専用サイト』にてネットレッスンやデータ・ダウンロード(音色、曲データ等)、あるいは作品発表などが行えるユーザーサポート的なソフト面も充実していました。

 

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内蔵シーケンサーについて

 本機のみでのシーケンサー操作は限られていて、基本的にプレイバック(再生)のみです。
 
 なお本機では外部メディアとしてスマートメディアを採用しており、そのスマートメディアにソング・データ(SMF0フォーマットでのファイルデータ)を保存しておけば、本機のみでのソング再生も可能。これはシーケンスパターンは事前にPCの方で作り込んでおいて、ライブでは(PCを使わず)本機のみで再生ということができたのであって、(本体内蔵の音色と併せ)パフォーマンス用シンセとしても使える懐の深さを備えていました。
 
 
 

各種インターフェイスについて

 本機ではMIDI(IN/OUT/THRU)はもちろん、各種コンピューターとダイレクトに接続できるUSB端子や「To Host端子」を標準装備。さらにデジタルのオプティカル・アウトプット端子も装備しています。これは、この頃で言うと(録音機能付き)MDに音質劣化なく録音ができたということですね。
 

YAMAHA EOS BX(advertisement)
EOS BX/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

個人的つぶやき

 前モデルのB2000(定価248,000円)はある意味「全てを備えた究極のEOS」みたいな感じだったし、このまま順当に機能を盛り込んでいけばEOSなのに25万超えなんてことになりかねなかったわけで、そこはうまく初心者向けモデルの仕様に引き戻してくれたといったところ。やっぱりEOSは初心者でも手に入れやすい価格帯じゃないとEOSっぽくないですよね。。
 
 
 まあ当時インターネットも一般家庭に急速に広まってたし、インターネットの発展性と機能の分割化に目を付けた本機は、時代を映し出す一台として印象に残っているという感じです。逆に、PC(およびネット)環境が整っていないユーザーにとってはあまり恩恵が受けられなかったシンセと言えるかもしれません。
 
 
 ちなみにヤマハさんはいまだにUSB-MIDIドライバー(本機も含めた当時のMIDI機器用)を更新してくれているんですよね。WindowsだったらWin7 SP1/8/8.1/10など現代のOSにまで対応可能となっています。やるねヤマハさん!
 
 
 

余談

 本機は「ビー・エックス」ではなく「ビー・テン」というのが正式な呼び名。これは “10代目EOS”という意味を込めて名付けられたのではと推測されます。歴代EOSを挙げてみましょう。

 ①YS200(1988年)
 ②YS100(1988年)
 ③B200(1988年)
 ④DS55(1988年)
 ⑤B500(1990年)
 ⑥B700(1993年)
 ⑦B900(1995年)
 ⑧B900EX(1996年)
 ⑨B2000(/B2000W)(1998年)
 ⑩BX(2001年)
 
なるほどね、YS200/YS100、あるいはB900/B900EXは分けてカウントしたのね。。
 
 
 
 関連記事(EOSシリーズ):
 「YAMAHA EOS YS200/YS100 ~EOS初号機、現る![1988年]
 「YAMAHA EOS B200 ~EOSにスピーカーが付いたよ![1988年]
 「YAMAHA EOS B500 ~【前半】“小室プロデュース&浅倉マニュピレート”、…
 

仕様
■鍵盤:61鍵(イニシャルタッチ付き)
■音源方式:AWM2音源
■最大同時発音数:64音
■マルチティンバー数:16パート
■音色数:
 [プリセット] 128音色+8ドラムキット
 [インターナル] 128音色+2ドラムキット
 【XG音源】480音色+12ドラムキット
■内蔵エフェクト:リバーブ×11、コーラス×11、バリエーション×42
■シーケンサー部:8トラック+1リズムトラック、容量約12,400音
 録音方法:ノーマル(リアルタイム)、ステップ/本体鍵盤および外部MIDI
■外形寸法:976(W)×87(H)×285(D)mm
■重量:6.0kg
■発売当時の価格:110,000円(税抜)
■発売年:2001年

 

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