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1970~80年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.62】YAMAHA EOS YS200/YS100 ~EOS初号機、現る![1988年]

2019/07/07

 

 

 今回ご紹介するシンセサイザーは、YAMAHAのEOS(イオス)シリーズの初号機ともいえる「YS200」「YS100」です。発売されたのは1988年7月。のちに続く同社の “EOSシリーズ”の礎となった機種です。

 

YAMAHA EOS YS200

YAMAHA EOS YS200

 
 ちなみに浅倉大介氏が、昔ヤマハの技術者(開発担当)だったのは有名な話で、本機・YS200/100の開発にも携わっていたとのことですよ。
 
 
 

そもそもEOSとは

Entertainment Operating System」の頭文字を取ったものらしいです。80年代後半当時、まだまだ専門知識が必要だったシンセサイザーを、誰でも簡単に “楽しんで”操作できるようにする、という意味を込めて開発が進められました。
 
 
 操作の分かりやすさへの取り組みは元より、当時は珍しかったTVCM放映、使い方ハウツー本の発行、EOSコンテストの開催など、ユーザーに寄り添ったメディア展開をして、シンセサイザー人口の拡大に貢献しました。
 
 
 

ではYS200/YS100は?

 YS200(当時の定価:129,000円)とYS100(当時の定価:110,000円)の違いは、「シーケンサーが付いている方がYS200、付いていない方がYS100」であり、音源部は全く同じでした。外観もほぼ全く同じといっていいですね(→共に61鍵)
 
 
 

音源部は?

 ベストセラー機・DX7の流れを組む、「4オペレーター/8アルゴリズムのFM音源」を搭載していました(→同社のV2やTX81Zと互換)。本機のプリセット音色は全100種類あり、FM音源ならではのエレビや金属的な音をはじめ、5種類のストリングス、12種類のブラスサウンド、8種類のベース音なども搭載しています。
 
 これは、各オペレーターにサイン波以外の波形を割り当てることによって、金属的な音だけではない、線の太い音色も作り出しているためです。
 
 
 関連記事:「YAMAHA V2 ~DXの冠を外したヤマハのFM音源シンセ [1987年]
 
 
 

デザインは?

 まず、パネル上の巨大なボリューム・ダイヤルが目を引きますね。大きくすることにより微妙な音量設定ができるようになる、とのことですよ(笑)
 
 
 また液晶の下には三角形のボタンがあったり、パネル右部には操作分岐のための溝があしらわれていたりして、デザインがとても斬新です。これは当時の “お堅い”シンセサイザーのイメージを、少しでもポップにしようとした取り組みなのでしょう。

 

 

 

エディット性は?

 「4オペレーター/8アルゴリズム」はFM音源としては比較的シンプルな設計といえますね。特にトーン・エディットの場合、「Brilliance」(→モジュレータのアウトプット・レベルを変えるもの)、「Wave」(→モジュレータのフリケンシー・コースの変更)、「Input-4Nos!」の3つのパラメーターしか出てきません。Brillianceの数値を変更すると、(EOS内で判断し)FMモジュレータのアウトプット・レベルのみを変更して音の明るさが変わるなど、初心者でも簡単に扱えるような設計になっています。
 
 
 

シーケンサー部は?

 前述したようにYS200のみの機能となります。内蔵シーケンサーは8トラック、8ソング、記憶容量は約10,000音と、当時の初心者向け機種としてはなかなか本格的な内容だったと思います。
 
 
 

余談・小室さんとの関わりは?

 「EOSといえば小室哲哉」と即座に連想される昔ながらのシンセファンは多いと思います。とはいえYS200/YS100では、小室氏は実機のプロデュースや監修にはまだ直接的に関わっておらず、TM NETWORKのメンバーとしての “イメージ・キャラクター”として起用されたにとどまりました。
 
 
 なおYS200/YS100の購入者には、小室哲哉氏作曲による『EOSのテーマ』他を収めたミュージック・メモリー・カードがプレゼントされていました。期間限定(1988.7.1~8.31)、数量限定の品だったので、今持っていたら相当レアかもしれません。
 
 
 
 関連記事(ヤマハEOSシリーズ):
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仕様
■鍵盤:61鍵(YS200はイニシャル/アフター・タッチ対応、YS100はイニシャルのみ)
■音源方式:FM音源(4オペレータ・8アルゴリズム)
■最大同時発音数:8音
■音色メモリー容量:プリセット100音色+ユーザー100音色
■内蔵エフェクト:リバーブ(ホール、ルーム、プレート)、ディレイ、ステレオ・エコー、ディストーション+リバーブ、ディストーション+エコー、ゲート・リバーブ、リバース・ゲート
■ディスプレイ:40文字×2行LCD(バック・ライト付)
■外形寸法:990(W)×105(H)×320.5(D)mm
■重量:6.9kg(YS200)
■発売当時の価格:129,000円(YS200)、110,000円(YS100)
■発売年:1988年7月

 

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