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1990年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.323】YAMAHA QR10 ~QはQでもQR [1993年]

2018/07/01

 今回ご紹介する機材はヤマハの「QR10」というバッキング・マシンです。発売は1993年、当時の定価は39,000円。
 
 これは何かというと、簡単に言えばお手頃なファミリーキーボードなどに搭載されている自動伴奏機能を単品に仕立てたような製品ですね。本機にはさらにシーケンサー機能やサンプリング機能までも搭載しており、“子供向け伴奏用おもちゃ”と決めつけるには若干抵抗がある、ちょっと侮れない一台となっています。

 

YAMAHA QR10

 

 型名の頭に「Q」が付くことから勘のいい人は気付いているかもしれませんが、本機は同社のベストセラー・ハンディシーケンサーである「QY」シリーズの派生モデルとして誕生したのです。以下、仕様に若干の共通点が見られるQY20と比較しつつ進めてみましょう。
 
 
 

概要

 前年に発売されたQY20をベースにしつつも、さらに親しみやすく遊び心を加えた自動伴奏マシン。従来のQYシリーズ同様に電池駆動(単3×6本)を実現し、QYシリーズには見られなかった(モノラル)スピーカーも搭載。さらに最長約3秒のサンプリングも可能。
 
 
 本機リリースのタイミングとしてはQY20(1992年)のQY22(1995年)の間ですね。QYの機能を若干簡略化した代わりに上記のようなサンプリング機能を搭載したりと、個性的な設計となっています。MIDI IN/OUT端子は備えていますがGM音源は非搭載です。
 
 
 

音源部

 サンプリング方式である「AWM音源」による通常音色の69プリセットに加え、1リズムセット音色を搭載。最大同時発音数は28音であり、音源部はほぼQY20を踏襲していると言ってよいでしょう(ただしプリセット数はQY20の方が多い)。
 
 
 音色は初期のQYシリーズ譲りのチープ感(笑)が若干漂いますが、ピアノ、ストリングス、ギター、ベース等の一通りの音色は押さえてあるので、とりあえずラフなパターンを組み立てる分にはさほど問題ないと思います。
 
 
 

バッキング・トラック(アカンパニメント・トラック)について

 バッキングのパターンは、ロック、ジャズなど様々な音楽ジャンルを網羅した100パターンを搭載(50プリセット+10ユーザー+40コンビネーション)。なおパターンの各セクションである「イントロ」「ノーマル」「バリエーション」「フィル1/フィル2/エンディング」はQY20と同様の構成ですね。

 

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メロディ・トラックについて

 2つのパッドにそれぞれ50のフレーズ(いわばリフ)が用意されていて、それらパッドをリアルタイムに押すことにより、バッキングのコードやテンポに合わせて鳴ってくれます。自動演奏中にフレーズ・パッドを押すだけで、選択している曲調に適した合計100種類(2×50)のフレーズを演奏できるといった感じですね。本体に備え付けられたスピーカーにより即座に発音させることができます。
 
 
 コード指定は、(ルートを指定して)パネル上のボタンを押すだけで24種類のコードから選択可能。ちょっとコードに詳しいキーボーディストさんだったら、MIDIでつないだ外部キーボードからでも演奏コードを指定することができますね。なお入力はリアルタイムのみで、ステップは行えません。
 
 
 これらを1コーラス分のパートに仕上げた「プリセット・ソング」は本機には50種類内蔵。メモリー可能な「ユーザー・ソング」も50まで記憶可能。
 
 
 なお作ったメロディを記憶できるメロディ・トラック(→シーケンス・トラック)は1つのみ。4トラックだったQY20と比較するとここはちょっと寂しい部分ではありますが、まあ価格を考えると妥当なスペックなのかなという感じ。。
 

YAMAHA QR10(advertisement)
QR10/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

サンプリング機能について

 最大約3秒のポリフォニック・サンプラーを搭載(→つまり2音色録音可能)。録音したものに音階を付けてオリジナルの音色(効果音)を気軽に楽しめるといったところですね。本体にはマイクが内蔵されており、マイク/ライン入力の使い分けも可能。バッテリー・バックアップ機能により本体内に保存もできます。
 
 
 サンプリング時間の「3秒」は、フレーズ・サンプリングとしては若干窮屈な秒数と個人的には感じるのですが、ワンショット(犬の鳴き声とか)だったら全く問題ないでしょう。CASIO SK-1(Max1.4秒)より長い!
 
 関連記事:「CASIO サンプルトーン SK-1 ~爆発的ヒットを記録したサンプリング・キーボード[1985年]
 
 
 

個人的かんそう

 とまあQYシリーズとは若干異なるコンセプトで、「気軽に遊べる一台」として面白く使える可能性を秘めた機種ですね。ちょっと複雑なコードなんかにも対応してくれるので、歌本などに書かれているコード進行をそのまま入力することにより “インスタント・カラオケ”として使えて便利かも。
 
 
 練習用/作曲用として自室で伴奏を流して使ってもいいけど、外に持ち出して仲間とわいわいしながらリア充ぽく楽しむというスタイルもありですね(笑)。乾電池駆動OKというのもナイス設計。惜しむらくは、(運ぶことを考えれば)やや大柄なところでしょうか。。
 
 
 
 関連記事(ヤマハQYシリーズ):
 「YAMAHA QY10 ~ベストセラー・ハンディ作曲マシン[1990年頃]
 「YAMAHA QY20 ~大型グラフィック液晶採用のポケット・シーケンサー[1992年]
 「YAMAHA QY22 ~クイック・コンポーザーQY20がGMフル対応に![1995年]
 「YAMAHA QY100 ~ギタリスト向けに作られた最後のQY [2000~2014年]
 

仕様
■音源方式:AWM音源
■最大同時発音数:28音
■マルチ・ティンバー数:16(DVA付き)
■プリセット音色:69ノーマルボイス69+1ドラムボイス(リズムセット音色)
■サンプリング(録音)トラック数:2

■外形寸法:242.6(W)×45.7(H)×245.4(D)mm
■重量:0.9kg
■発売当時の価格:39,000円
■発売開始年:1993年

 

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