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2000年代~'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.395】YAMAHA S03 ~S80のサウンドを継承した “ハイコスパシンセ” [2001年]

2018/08/25

 今回取り上げるシンセサイザーはヤマハが2001年に発売した「S03」という機種です。発売当初の定価は69,800円(のちオープンプライス)でした。

 

YAMAHA S03

 

 主に2000年代を中心に展開されたヤマハの “Sシリーズ”の一機種ですね、同シリーズのコンセプトとしては “ピアノサウンドに特化したシンセ”という位置付けでした。本ブログでもいくつかSシリーズを記事にしてます(記事末尾にリンクあり)。
 
 
 S03は同社のXGフォーマットに準拠した64音ポリフォニックの音源を搭載し、DTM向けとしても使えた一台といったところでしょうか。音源のクオリティが高く、比較的安価ということもありセールス的にもよかったそうです。
 
 
 

本体の基本スペック

 最大同時発音数64音、マルチティンバー数16のシーケンサーレス・シンセサイザー。61鍵鍵盤部はイニシャルタッチ対応(アフタータッチはなし)。音源方式は同社のPCM路線である「AWM2音源」を採用しています。
 
 
 

内蔵音色(個人的所感入り)

 同社の上位機S80やEX5、あるいは音源ボードPLG150-PFなどから高品位の音色波形が多く移植されています。以下は本機のボイスメモリー内訳。

【ノーマルボイス】 128プリセット+128ユーザー+480XG対応音色
【ドラムボイス】 2ユーザー+20XG対応音色

 
 各波形のクオリティはS80/S30とほぼ同等と言っていいでしょう。もちろん内蔵音色も多彩で、ライブで使用頻度の高いピアノを始め、楽曲制作に便利なギター、ベース、管楽器、弦楽器など必要な音色は必要十分に網羅しているといった印象です。個人的にはヤマハシンセに入っているブラス音って好きなんですよね~
 
 
 とはいえやはり本機の音色面での強みはピアノ系と言えるでしょう。(当時のこのクラスとしては)クオリティが高く、アコースティック・ピアノだけで13種のプリセットを備えています。Rhodes、Wurlitzer、CP70/80、DX系などのエレピもいい感じ。
 
 
 一方、オルガン系はちょっと使いにくいかなという感じです。本機には内蔵エフェクターの一つとしてロータリー・エフェクトも収められているのだけど、あまり積極的に鳴らしたくないかもという個人的印象。。
 
 
 なおこれら音色たちは、「カテゴリーサーチ機能」により、多くの中から目的のものを素早く探し出すことができます。
 
 
 

付属ソフトについて

 本機にシーケンサーやアルペジエーターは搭載していませんが、当初のバージョンには『XGworks lite V3.0A』というPC向けシーケンス・ソフトがバンドルされていました(→CD-ROM。Win/Mac対応)
 
 
 このソフトは、市販の『XGworks 3.0』から一部の機能(楽譜表示、オートアレンジ、オーディオのMIDIデータ化機能など)を省略したライト版。基本と言えるピアノロール画面やミキサー画面は備えていたので、シーケンサーソフトとしてはさほど問題なかったと思われます。
 
 
 そしてもう一つ、『S03 Voice Editor』というソフトもバンドルされていました。これはPC画面上でグラフィカルにS03本体の音色エディットができるようになるというソフトですね。S03からMIDIバルク受信でPCに音色データを吸い上げるといった感じでした。逆にPCでエディットした音色をS03にバルク送信すれば、S03のメモリーに記録されるようになっています。
 
 
 

内蔵エフェクターについて

 リバーブ(×11種)、コーラス(×11種)の他、バリエーション(×42種)という様々な効果が得られるエフェクターを内蔵。まあこの辺りはEOS BXと同様ですね(後述します)。なおエフェクト操作は、前述したバンドルソフト『S03 Voice Editor』にて、広いPC画面上で細かく行うこともできます。

 

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外観について

 筐体は同社のEOS BX(イオス ビー・テン)に流用されており、そのため本機とEOS BXのデザインはほぼ同じです(色は異なる)。ちなみに本体重量は6.0kgと、これは当時このクラスの音源を積んだシンセとしてはなかなかの軽量さを誇っていました。
 
 関連記事:「YAMAHA EOS BX ~インターネットとリンクする“ネットワークEOS” [2001年]
 
 
 パネルデザインは、いくつかの操作ボタン(テンキー含む)とボリューム・スライダー、そしてヤマハシンセではおなじみのピッチホイール/モジュレーションホイールといったところ。パラメーター調整に便利なコントロール・スライダーやダイヤルは省略されており、本体自体はいたってシンプルな操作系といった印象です。まあシンプルにした分、コストカットや軽量化につながっているのでよしとしましょう。
 
 
 

【補足】派生バージョンについて

S03s

 2002年リリース。『Hello!Music』(→ヤマハのDTMパッケージ商品)の同梱用キーボードとして、筐体の色をシルバーに変更されたモデル。内部仕様はS03と全く同じ。
 
 
 
S03 SL

 2004年頃リリース。SLは “シルバー”の意味であり、内部仕様はS03と同様。上記のS03sを単体モデルとして発売したもの。
 
 
 
S03 BL

 2004年頃リリース。BLは “ブラック”の意味。上記のS03SLが独立して発売されたのに伴い、無印S03も「S03 BL」と名称変更。またS03 SL/BLの価格はオープンプライスとなった(発売当初の市場実勢価格は50,000円前後)
 
 

YAMAHA S03(advertisement)
S03/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

個人的つぶやき

 いたってシンプルな本体設計ながら、プロの使用にも耐えうる音質およびスペックの高さでいてこの低価格というから、非常にコストパフォーマンスに優れた一台といったところでしょう。運びやすい軽さも魅力的!
 
 
 まあそうはいっても本機の鍵盤部の出来はあまり良くなかったという印象はありますね。“演奏するモチベーションとしての鍵盤”という意味では、以前本ブログでも散々こきおろした(汗)、同社の「CS1x」(の鍵盤部)とどっこいどっこい位かという感じです。
 
 
 あとどうでもいいですが、本機は前年に出された「S30」と同じく61鍵仕様であり、型番からしてちょっと紛らわしいなーと思うのは僕だけでしょうか。
 
 
 
 関連記事(ヤマハシンセ Sシリーズ他):
 「YAMAHA S80 ~ピアノプレイヤーのためのシンセサイザー[1999年]
 「YAMAHA S30 ~「S80」の61鍵版と捉えて概ねよいと思います[2000年]
 
 「YAMAHA CS1x  ~グルーヴィにつまみを回せ![1996年]
 

仕様
■鍵盤:61鍵(イニシャルタッチ付き)
■音源方式:AWM2音源
■最大同時発音数:64音
■マルチティンバー数:16パート
■ボイスメモリー:
 [ノーマルボイス] 128プリセット+128ユーザー+480XG対応音色
 [ドラムボイス] 2ユーザー+20XG対応音色

■内蔵エフェクト:リバーブ×11、コーラス×11、バリエーション×42
■外形寸法:976(W)×87(H)×285(D)mm
■重量:6.0kg
■発売当時の価格:69,800円(のちオープンプライス)
■発売年:2001年

 

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