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E-mu 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.188】E-mu Planet Earth ~世界中の民族楽器を収めた音源モジュール[2000年頃]

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介する機材は、E-muの1U音源モジュール・「Planet Earth(プラネットアース)」です。日本での発売は2000年末頃で、定価は当時99,800円。様々な民族の伝統的な楽器の音色(あるいはその地域特有のリズムなど)を収録しており、当時のダンストラック・クリエイター向けに作られた「エスニック専用音源」といった趣きの一台になっています。

 

E-mu Planet Earth

 
 
 
 90年代末から怒涛のようにリリースされた、E-muの1Uラック・シリーズの一つですね。同時期に発売された製品としては「Xtreme Lead-1」「MO'PHATT」などがあり、これらは基本仕様(設計)はほぼ共通となっています。
 
 
 

Planet Earth概要

 かつての同社の「Proteus /3 World」の流れを汲む、様々な民族楽器の音色を収めた音源モジュール。高品質な非圧縮サウンドを大容量収録し、それらサウンドはE-mu独自のフィルターやLFOなどで音作りも可能。
 
 
 当時のダンスミュージック・シーンはワールド・ミュージックのエッセンスを取り入れることが流行していたこともあり、本機はProteus /3 Worldの単なる後継機種にとどまらない、時代を反映したモデルと言えます。
 
 
 また、同社のOrbitに搭載されていたBeats Modeを進化させた「SuperBEATs Mode」を搭載し、外部キーボードやシーケンサーなどからもビート(BPM)を自在に操ることができます。
 
 
 

仕様(音源)

 同時発音数は64音。内蔵ROMには当時大容量だったと言える32MBの波形メモリーを搭載し、800を超えるインストゥルメント(ただしいくつかは重複あり)を備えています。
 
 
 収録楽器はアジア、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパ、(および国籍不明)のものなど多岐にわたりますが、パーカッション系のラインナップが比較的充実している印象です。またインドネシアのガムランやスティール・ドラム、カリンバなど、いわゆる音階打楽器のカテゴリーも収められていますね。
 
 
 

シンセサイズ部

 エンベロープ×3、LFO×2、および50種類の12ポール「Z-Plane」フォルマント・フィルターなどにより、単なるプレイバックにとどまらない音作りもできるようになっています。
 
 
 パネル上にある “リアルタイム・コントロール・ノブ”には、様々なパラメーターが割り当てられており、簡単な操作で直感的な音色変化が可能になっています。例えばアンプ・エンベロープ方面では「ATTACK」「DECAY/RLS.」、フィルター方面では「カットオフ」「レゾナンス」、LFO方面では「RATE」などですね。

 

 

 

SuperBeats Modeについて

 鍵盤ごとに異なるリズム・ループを割り当てて、自由に重ねて演奏できる機能のこと。ループは本体に内蔵されているプレイバック・シーケンサーによるものであり、フレーズを任意に差し替えることにより新たなトラックを生成することも可能。
 
 
 またこれらの演奏は、外部からのクロック(BPM)に完全に同期して動くため、MIDIキーボードで演奏しながら、ダンス・トラックをリアルタイムでコントロールするといったことも可能にしているとのこと。特に意識しなくてもフレーズ頭もきっちり合わせてくれるため、ライブ・パフォーマンスでも使えるという触れ込みでした。
 
 
 

外部出力について

 標準でMIDIは1系統(IN/OUT/THRU)、オーディオはMAIN L/Rのみ。ただしオプションにより、さらにMIDI×1系統、デジタルアウトプット(S/PDIF)、6パラアウトが追加可能でした。
 
 
 

つぶやき的な

 本機はもともと同社のProteus 2000の拡張ROMとして開発が始まったらしく、そのサウンドの完成度が高かったため、単体のハードウェア音源として発売に至ったとのことです。
 
 
 当時はジャミロクワイらが積極的に民族楽器を取り入れており、それまで若干マニアックな存在だったワールド・ミュージックのサウンドがメジャーな音楽シーンでも注目されていた時期でした。メーカーとしてもそういった流行を無視できなかったのでしょう。
 
 
 当時のトレンドによって生まれたような本機ではありますが、ありきたりなオケにちょっとしたスパイスを与えたいケースにおいて、本機のような専門音源が一台あれば重宝するかもしれません。
 
 
 
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 「E-mu PROTEUS/MPS ~PROTEUSに鍵盤が付いた!」  ※本機のみ鍵盤付きモデル
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 【後期シリーズ】:
 「E-mu B-3 ~E-muが作ったジョン・ノヴェロ仕様オルガン[2000年]
 

仕様
■最大同時発音数:64音 ※最大拡張時:128音
■プリセット数:512ユーザープリセット、512ROMプリセット
■サウンドメモリー:32MB ※最大拡張時64MB
■フィルター特性:最大12ポール(50種類)

■外形寸法:482(W)×44(H)×216(D)mm
■重量:3.1kg
■発売当時の価格:99,800円
■発売開始年:2000年末~2001年初頭頃

 

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