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2000年代~ KORG 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.376】KORG KARMA(カーマ) ~【後編】音源部、Ver2.0などの補足

2018/11/28

 

 

 前回の記事「KORG KARMA ~【前編】革新的なフレーズ生成機能を備えたワークステーション[2001年]」に引き続き、今回もコルグのシンセサイザー・「KARMA(カーマ)MUSIC WORKSTATION」についての記述を展開してみたいと思います。

 

KORG KARMA

 

 前半記事では、このシンセの肝とも言えるフレーズ生成機能(KARMA機能)について簡単に説明してみたのですが、今回は他のセクションなどについても補足的に触れてみたいと思います。
 
 
 

音源部について

 KARMAの音源部は、TRITON直系の「HI(Hyper Integrated)シンセシス・システム」というPCM路線の音源を搭載。
 
 
 425種のマルチサンプリング・サウンド+413種のドラム・サウンドをROMで内蔵しており、ピアノ、エレピ、オルガン、ストリングス、ブラス、シンセベースなどなど一通りの音色を備えているといったところ。「KARMA機能」を生かすための音源マシンとしてはもとより、通常のキーボードとしての使用にも十分耐えうる性能を備えていると言えるでしょう。ちなみに本機では、TRITONシリーズと同様に1個単位の音色は「プログラム」、それらをマルチティンバーで組み合わせたものを「コンビネーション」と呼びます。
 
 
 またオプションで、TRITONで使用されているPCMエクスパンション・ボード(EXB-PCMシリーズ)も2枚まで搭載することができます。ちなみにEXB-PCM用のソケット部は、本体左上にあるパネルを開けるだけで出現するので装着は非常に楽ですね。初代TRITONでは筐体底面のビスを外す必要があったためちょっと面倒でした。
 
 
 さらにはTrinityやTRITONでも見られたMOSS音源ボードも増設可能となっていますね(→こちらはボディ底面から増設)
 
 
 

内蔵エフェクターについて

 102種類5系統のインサート・エフェクト、および89種類2系統のマスター・エフェクト、ステレオ3バンドのマスターEQを同時に使用することができます。

 

 

 

内蔵シーケンサーについて

 16トラック構成で最大記憶容量は約200,000音。分解能は♩=192。これは当時のシンセ内蔵シーケンサーとしては結構本格的なスペックだったと言えるでしょう。KARMA機能を使って生成したフレーズを、内部で簡単にレコーディングすることができます。
 
 
 またコルグのワークステーションではおなじみの、一つの鍵盤を押さえるだけでフレーズを演奏させることができる「RPPR(リアルタイム・パターン・プレイ/レコーディング)機能」も備えられています。
 
 
 

KARMA System Version 2.0について

 2002年にリリースされたシステム・バージョン2.0では、様々な新機能が追加されました。
 
 
 バージョン2.0での追加機能は全19項目ほどありましたが、GEにユーザーメモリー領域が用意されたことが大きなポイントだったと記憶しています。それまでプリセットのみだったGE(KARMA機能が生み出すフレーズ/パターンの元となるデータ)に、書き換え可能なユーザー・メモリーが追加ということで、320個(32×10バンク)のユーザーGEをメモリーすることができたということですね。なお『GEって何じゃい?』という方については前回の記事をご参照ください。
 
 
 従来のユーザーならば、KORGのサイトからデータをダウンロードし(無償)、フロッピーディスク経由でKARMAにデータを読み込ませればアップデートが完了するという簡単オペレーションでした(フロッピーディスクドライブはTRITONなどと同様、本体左手前に備えられている)。
 
 
 ちなみに、現在でもアップデート・プログラムはダウンロードできるのだろうかとKORGのサイトを覗いてみたのですが、(プログラムの有無は)確認できませんでした。もし興味のある方は、直接コルグお客様相談窓口に問い合わせてみてください。
 

KORG KARMA(advertisement)
KARMA/(株)コルグ 雑誌広告より画像引用
 
 
 

かんそう的な

 従来のアレンジャー・キーボード(あるいはグルーブマシン)だと、用意されたフレーズやパターンを組み合わせるだけなど操作は簡単な反面、生み出されるフレーズ/パターンはマンネリで飽きてくるといったこともあったと思います。一方、ゼロから楽曲を作るといった本格的なワークステーションシンセだと、多機能であるがゆえに使いこなしには相当な慣れが必要になるなどの壁がありました。
 
 
 今回のKARMAは、両者のおいしいとこ取りみたいな、画期的なワークステーションとして新時代の楽曲制作スタイルを提示したという点で記念碑的なシンセだったと言えるでしょう。単体シンセにおいて、つまみをグリグリするだけでフレーズまでリアルタイム変化するなんて、今考えても相当面白いと思います。
 
 
 なおこのKARMAの直系の後継キーボードは出ませんでしたが、のちの同社の「OASYS」「KRONOS」などの高級シンセサイザー・モデルにもこのKARMA機能は(一機能として)受け継がれています。
 
 

仕様
■鍵盤:61鍵(ベロシティ、アフタータッチ対応)
■音源方式:HI(Hyper Integrated)・シンセシス・システム
■音源部:32MB ROM、425マルチサンプル+413ドラム・サンプル
 ※PCM ROMオプションによる拡張可(EXB-PCMシリーズ対応、最大2枚)
■最大同時発音数:62音(シングル・モード時)、31音(ダブル・モード時)
■プログラム数:
 640ユーザー・プログラム(384プリロード)
 GM Level2準拠256プログラム+9ドラムROMプログラム
 786ユーザー・コンビネーション(384プリロード)
■内蔵エフェクト:ステレオ・デジタル・マルチエフェクター
■シーケンサー部:16トラック+1マスタートラック、最大記憶容量200,000ノート
■ディスプレイ:240×64ドットLCD
■外形寸法:1100(W)×119(H)×320(D)mm
■重量:10.0kg
■発売当時の価格:198,000円(税別)
■発売開始年:2001年

 

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