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WALDORF 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.423】WALDORF THE WAVE ~ウェーブテーブル方式採用、90年代半ばの “モンスターシンセ” [1993年]

2019/01/03

 ども!今日は2019年1月1日です。今年もマイペースで記事を上げていきたいと思いますのでマイペースでよろしくお願いします。
 
 今回取り上げるシンセサイザーは、1993年にWALDORF(ウォルドルフ)から発売された「THE WAVE」です。WALDORF初の鍵盤付きシンセであり、当時一般的なシンセの値段が20~30万円だった時代に120万円という定価で発売され、一般人?の度肝を抜いたわけです。

 

WALDORF THE WAVE

 

 シンセサイザーの歴史において “モンスター”と冠されるモデルは時代ごとに散見されますが、本機THE WAVEはまさに90年代(中盤)における「モンスターシンセ」の代表格と言ってもいいんじゃないかという感じですね。前モデル・Microwaveも引き合いに出しつつ記事を進めてみたいと思います。
 
 
 関連記事:「WALDORF MicroWave ~WALDORF初のシンセサイザー・90年代の“PPG” [1989年]
 
 
 

外観について

 minimoogのように傾斜のついた操作パネルが特徴的。今でこそ本機のようなツマミ/スライダーだらけのシンセサイザーは珍しくありませんが、当時としては非常に多くの操作子を備えていたことも特筆点でした。それらを効率よくオペレーションするためにこの傾斜は有効だったと思います。ちなみにこの傾斜は固定ではなく、同じくminimoogのようにパネルを手で起こしてから固定させます。
 
 
 鍵盤数は61ですが、オプションにより76鍵もオーダー可能だったそう。また本体カラーは灰色がかった深い青で、こちらもオプションによりブラック、レッド、オレンジが選択可能だったそうです。
 
 
 あと、初期WALDORF製品のトレードマークとも言える “赤いダイヤル”も備えていますね。ノブは金属的なソリッドさはなく、どことなくチープな質感という印象を抱かなくもないです(この頃のWALDORFらしいといえばらしい)。
 
 
 

THE WAVEの音源方式

 あらかじめ作成した様々なウェーブ(波形)を64個まで自由に並べることができるテーブルがあり、これを順番に発音していくことでサウンドに変化をもたらすもの。例えばサイン波を元にしたものとすると、微妙に倍音の異なるサイン波をテーブルに並べていき順にプレイバックさせていくと、単純なフィルター操作・LFOなどでは得られない時間的音色変化を得ることができるといった感じ。要するにアニメーションの音版みたいなたとえが近いでしょうか。
 
 
 これをざっくり「ウェーブテーブル方式」と呼び、この音源方式はPPG2.3 → Microwave、そして本機THE WAVEでも継承されているといったところです。オシレーターからの出力波形はある特定の波でなく、時間と共に変化していくのが特徴であり、これにより従来のシンセサイザーでは不可能だったサウンドを創り出せるといったところです。
 
 
 

サウンド作り(波形)

 THE WAVEでは、最初にオシレーターにより基本となる波形を生成します(本機では最高64の倍音を自由な量で加えることが可能。いわゆる倍音加算方式)。この部分、本機では「ハーモニック・エディット」と呼びます。なおここでの波形はサンプル音から任意に抽出するといったことも可能(付属の3.5'FDDから各種波形ファイルを読み込める)。
 
 
 次に「ウェーブ・ブレンダー」なるページにて、波形をブレンド(足したり引いたり掛けたり割ったり)することができます。そして前述した「ウェーブテーブル」に各波形を並べていくといった感じですね。
 
 
 

サウンド作り(フィルター)

 そしてシンセサイザーの音作りのキモとも言えるフィルター・セクションへ。本機ではローパス、ハイバス、バンドパス、デュアルという4タイプ(2系統)のフィルターを搭載しています。なおデュアルというのはハイパスとローパスが組み合わさったものであり、それぞれカットするハイとローのポイントを設定できるようになっています。
 
 
 フィルターの出来はというと、好評だった前モデルのmicrowaveのそれをさらに強化しているらしいですね。フィルターとは関係ありませんが、出音に関係してくるD/A回路もブラッシュアップされているそうです。

 

 

 

操作系

 パネル上に数多く配されたノブにより、ほぼ全ての機能は階層に入っていかずとも操作することが可能。鍵盤部はチャンネル・アフタータッチ対応となっており、コントローラーは3ホイール(ピッチベンド、モジュレーション、フリー)、パネル中央には8フェーダーを備えています。
 
 
 また各種パラメーターを表示するディスプレイ部は、決して面積的には大きくないものの、480×64ピクセルという当時としては破格の情報量を扱えるものを採用。フィルターやエンベロープの効き具合をグラフで視覚的に把握できます。
 
 
 

拡張性

 本機の音源はデフォルトで128パフォーマンス/128サウンドですが、オプションのメモリーカード増設により、音色数を3倍まで増やすことが可能。また同時発音数も最大48ボイスまで拡張可能となっています(標準では16ボイス)。ソフト的にもシステムのバージョンアップが行えたらしく、機能も上がっていったらしいですよ。
 
 
 

余談

 THE WAVEのデザインを手掛けたのはアクセル・ハートマン(Axel Hartmann)というドイツ人工業デザイナー。このアクセル氏は他にも、「ALESIS Andromeda A6」や「MOOG Little Phatty」、「ACCESS Virus TI」など個性的で斬新なデザインのシンセを長年手がけていることでその筋では非常に有名な方です。
 
 
 “シンセのデザイナー”なんてずいぶんマニアックな切り口ですが、シンセマニアだったらとりあえず覚えておいて損はない名前かもです(汗)
 
 
 

個人的つぶやき

 僕自身は店頭で本機を試したことはおろか実際の生音を聴いたこともなく、発売から25年が経った今でも “幻のシンセ”のイメージが強いですね。出荷量は少なく、国内ではプロを中心におそらく数台~数十台程度しか出回らなかったものと思われます。小室先生がTMN後期のライブで使用していたり、浅倉大介氏がごく近年まで愛用していたというイメージでしょうか。いずれにせよプロ向けのドリームシンセという感じですね。。
 
 
 当時まだ弱小だったWALDORFというシンセサイザー・メーカーの名前を世界に広めた同社の出世モデルでもありますが、個人的には、当時のキーボード専門誌の本機のショップ広告で『男の120回払い!』のコピーがやたら鮮烈だったことが印象深いです。。
 
 
 
 関連記事(MicroWaveシリーズ):
 「WALDORF MicroWave ~WALDORF初のシンセサイザー・90年代の“PPG”
 「WALDORF MicroWave II ~フルデジタル化したMicroWave [1997年]
 「WALDORF MicroWave XT ~PPGの伝統を受け継ぐシンセサイザー[1998年]
 「WALDORF MicroWave XTk ~キーボードが付いたMicroWave XT [1999年]
 

仕様
■音源方式:ダイナミック・ウェーブテーブル・シンセシス方式
■最大同時発音数:16音(最大48音まで拡張可能)
■鍵盤数:61鍵(オプションにより76鍵も選択可)

■パート数:最大8パート・マルチティンバー
■音色メモリ:128パフォーマンス、128サウンド
■LCDディスプレイ:480×64ピクセル
■外形寸法:482(W)×88(H)×225(D)mm
■重量:5.5kg
■価格:1,200,000円
■発売開始年:1993年

 

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