キーボーディスト、脱初心者を目指す

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【書籍】『地獄のメカニカル・トレーニング・フレーズ ~己の十指を自由自在に操れ!』(小川文明著)

2019/01/03

 

 

 ども! 今回ご紹介する本は、『地獄のメカニカル・トレーニング・フレーズ ~己の十指を自由自在に操れ!』(リットーミュージック)です。著者は小川文明氏。本書籍の初版は2009年で、現在は絶版となっています。

 

 
 これはキーボード・マガジン誌でおなじみのリットーミュージックがかつて出した、これまたおなじみのキーボーディストだった小川文明氏による教則本の一つですね。僕はごく最近手に入れました。
 
 
 
2000年代末、この “地獄のメカニカル・トレーニング・フレーズ”は各楽器パートごとにシリーズ化され、ギターやベース、ドラムは複数巻刊行されるヒットシリーズとなりました。その表紙からして当時目にしたバンドマンも多いのではないでしょうか。そしてそれのキーボード版であるこれは1冊のみとなっています(涙)。。
 
 
まあさておき、内容をざっくり記してみましょう。
 
 
 

本書の概要

 プログレ、ヘビメタ、ハードロック系キーボーディスト向けに書かれた、十指を自在に操るための鍵盤エクササイズ教則本。
 
 
 本書にはCDが付属しており、実際の譜面をもとにCDにて演奏例が耳で確認できるというもの。なおこのCD音源ですが、ドラムやベースといったリズムパートも加わった演奏となっています。そして各トラックにはお手本演奏のあとに、キーボード・パートだけを抜いたいわゆる “マイナスワン”も収録されており、実際のリズム(テンポ)に合わせた練習ができるという感じですね。
 
 
 譜面例は一つテーマを決め、おおむね1ページに1つ掲載されており、2ページにわたり演奏上の注意点などもこと細かく書かれています。また、いきなり各エクササイズの完成譜面に到達できないレベルの読者向けに、予備的に比較的簡易な譜面もいくつか添えられていますね。
 
 
 こういったテーマが本書では50以上あり、上記の予備エクササイズを含めると全208譜例にのぼるそうです。
 
 
 

各章ごとの構成

以下のようになっています。各章はさらに細分化されているのですがここでは割愛しますね。

第一章 「礎石の屋敷」 ~ウォーミング・アップ編~
第二章 「艶の屋敷」 ~オルガン・フレーズ編~
第三章 「百般の屋敷」 ~プログレ&クラシック系フレーズ編~
第四章 「華美の屋敷」 ~超絶ギタリスト風フレーズ編~
第五章 「魑魅魍魎の盛宴」 ~総合練習曲~

 
 うーん、、章ごとの名称だけ見るとおどろおどろしい雰囲気しか伝わってこないですな(汗)。まあ表紙からしてかなりインパクトがありますし、そもそも本書の企画が “地獄”なのでまあいいでしょう。

 

 

 

ひととおりさらってみた感想

 さらったといっても部分的になのですが(汗)、僕なりの所感なども書いてみましょう。
 
 まず本全体について。楽器屋などでよく見かける “メカニカルな運指トレーニング教則本”にありがちな、著者の顔が見えてこない画一的な誌面構成とは一線を画す、文明節炸裂の一冊といった印象です。何言ってるの?って感じですか(汗汗)
 
 
 要するに文明さんの個性が強烈に匂い立ってくる一冊ですね。使用楽器に関しても、ウォーミング・アップ編こそ通常のピアノですが、その後はオルガン、クラビ、minimoog、エレキギター音(シンセに入ってるやつ)などなど実に多彩。当然moogやギターはベンド使いのテクニックも入ってくるわけで、プログレ、ハードロックの現場などで即戦力となるフレーズが満載なのです。
 
 
 これは、以前本ブログでも紹介した以下書籍の続編という感じでとらえて活用してもいいと思います。
 
 
 関連記事(過去記事):
  『究極のキーボード練習帳 基礎・定番フレーズ編(小川文明著)
  『究極のキーボード練習帳 アンサンブル強化編(小川文明著)
 
 
 
本書に収められているフレーズはどれも4小節や8小節などのごく短いもの(※総合練習曲を除く)ですが、音符がいっぱい詰まっているため物足りなさ感は意外とないです。各譜面には指番号も振られているため初心者でもとっつきやすいと思います。
 
 
 

おすすめの使い方

 どれもおいしい高速フレーズだらけで、トレーニング本らしからぬ「このまま(CD演奏を)鑑賞してるだけでも楽しい」感じに包まれます(笑)。それにしても高速の8分なり16分フレーズにちょっと3連とかトリルをからめるだけでものすごく上級者ぽく聴こえるのですね。。でも初心者がいきなりこの付属CD通りのテンポで弾こうとしてもちょっと無理があります。。
 
 
 なので速弾きしてみたい衝動はぐっと抑え、最初のうちはテンポを極遅にして、一音一音粒をそろえてはっきり鳴らすようにするとよいと思います(→と自分に言っている)。

 

 

 

かんそうのおまけ

 クラシックピアノの世界ではメカニカルな運指練習の古典本として「ハノン」がありますが、本書を『ハノンをロック向けにアレンジしたエクササイズ本なんでしょ?』という認識はちょっと違います。
 
 
 あくまでも文明さんの視点による、ハードロックやメタルバンドにおけるギタリストから主役の座を奪い取るための実践的キーボードフレーズ集といった印象ですね。もちろん、テンポを落として各指をしっかり鍛えて動くようにするという基礎練習の内容も含んでいるので、あとは各人のやる気と活用次第といったところ。
 
 
 個人的にはこのジャンルの演奏は今まであまり関わったことがないので新鮮でした。現在では古本でしか手に入りませんが、ハードめのバンドに属するライブキーボーディストさんには超絶おすすめです!
 
 
 
 関連記事:
 「『鍵盤上達100の裏ワザ 知ってトクする効果的な練習法&ヒント集』(小川文明著)

 

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