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1960~80年代 KORG 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.209】KORG DW-8000 ~世界初のプログラマブル・デジタル・ディレイ内蔵シンセ[1985年]

2018/07/01

 今回ご紹介するシンセサイザーは、1985年にコルグから発売された「DW-8000」です。当時の定価は199,000円。“コルグ初のデジタルシンセサイザー”であるDW-6000の翌年に発売され、DW-6000の波形と機能を順当に増やした上位機種といった趣きの一台になってます。もちろんMIDI対応。見た目的にはDW-6000とちょっと似てますね(スイッチの色は違うけど)

 

KORG DW-8000

 

 なお本機・DW-8000では世界初となるデジタル・ディレイを搭載しているのが大きな特徴と言えるでしょう。内蔵波形はスペック的には単純にDW-6000の2倍となっていますし、DW-6000では未装備だった鍵盤の「イニシャル・タッチ」「アフター・タッチ」も見られます。
 
 
 

音源部

 「D.W.G.S.【Digital Waveform Generator System】」音源を搭載。この音源方式はDW-6000でも見られたものであり、以前本ブログで取り上げた「DW-6000」の記事にて詳しく記しておきましたのでご参考までに。
 
 
 本機では、2系統のデジタル・オシレーターにそれぞれ16種類の基本波形を装備しています(DW-6000では8種類)。バイオリン、ピアノ、トランペットなどの様々な音色を倍音加算方式でシミュレートし、256kビットのROM(×4)に記憶。デジタル・シンセ特有のアタック感の強いサウンドは本機の得意とするところですが、DW-8000にはアナログでもおなじみのサイン波、ノコギリ波、矩形波なども含まれており、アナログ・シンセのような温かく厚みのあるアンサンブルも構築可能といった感じです。
 
 
 2つのオシレーターを装備しているので、DW-6000同様に2つの音程をずらしたり(短3度、完全5度など)、ピッチを微妙にずらして重ねて厚みを作る「デチューン」も割と簡単ですね。また同時発音数も6→8に増えています。
 
 
 またパネル右部には、DW-6000と同様に波形【OSC WAVEFORM】が印刷されており、音作りのガイドとなってくれるでしょう(→波形から音色がある程度想像できるほど熟達すれば、ですが)。
 
 
 

フィルター/アンプ/EGについて

 フィルター部はアナログ方式のVCF、アンプ部も同じくVCAを採用。DEG(デジタル・エンベロープ・ジェネレーター)はVCF、VCA専用となる2系統を搭載しています。また概ねLFOに相当する「MG(モジュレーション・ジェネレイター)」も装備。この辺りの構成はDW-6000と同じですね。
 
 
 

イニシャルタッチ/アフタータッチについて

 本機では音量だけでなく、鍵盤を打鍵する強さによってVCFのエンベロープの変化幅もコントロールすることができます(→イニシャルタッチ)。いわゆるベロシティ検知の鍵盤を搭載したコルグ製シンセは本機が初めてですね。
 
 
 また、打鍵後の押し込み(→アフタータッチ)の強弱によって、音量、音色の明るさ、ピッチ・モジュレーションをかけることが可能。左手がベンドレバー(DW-8000の場合ジョイスティック)などでふさがっているケースで、キー押し込みによりビブラート(ピッチ・モジュレーション)をかける時などに重宝しますね。

 

 

 

音色メモリー/アルペジエーターについて

 DW-6000と同様に64個の音色メモリーが可能。なおテープ・シンク端子も装備しており、外部のテープメディアに記憶させることもできます。
 
 
 また、コルグのシンセとしてはPOLY-61以来となるアルペジエーターを搭載。最大64音までのアルペジオ演奏が可能です。なお本機のアルペジエーターはMIDIに対応しており、MIDIクロックで外部MIDI機器とシンクロするといったこともできます。


KORG DW-8000(advertisement)
DW-8000/(株)コルグ 雑誌広告より画像引用
 
 
 

個人的おもいで

 僕がシンセ専門店店員だったその昔、本機も中古品として仕入れ操作に明け暮れました(ヒマだったし)。出音はデジ+アナというか、個人的には「アナログな波形でもちょっとデジタル臭い、コルグらしいといえばらしい音」といった印象。意味不明ですみません(汗)
 
 
 FMエレピのきらびやかさではDX7には劣りますが、DX7では出せないウォームなサウンドは色々と使いどころがあったと思います。でも正直この機種も音色エディットしにくかったなぁ。。
 
 
 

まとめ的な

 デジ+アナのおいしいとこ取り的な、当時の水準としては非常に音作りの幅が広いシンセとして大々的に発表されました。コルグさんとしても、当時隆盛を誇っていた(ヤマハの)FM音源とは別の独自性を模索しようとしてたどり着いたのが「D.W.G.S音源」であり、それをさらに拡張して一応の完成形を見たのがDW-8000だったのかもしれません。生楽器のシミュレーション波形に加え、アナログ的なサイン波、矩形波などをオシレーターに組み込んであるため、従来のアナログシンセでは出せない複雑な音も作れるというのが本機の面白いところですね。
 
 
 とはいえ本機はセールス的にはあまり振るわなかったらしく、同社のDWシリーズはこれにて終わりです。ピアノなどの現存楽器の音はさほどリアルというわけでもなく、DX7のキラキラエレピなどに代表される “その機種ならではのキャラクター”が薄かったというのも原因だったかもしれません。
 
 
 なおD.W.G.S音源は時代のメイン・ストリームとはならなかったものの、のちのPCM方式音源の礎となったという意味で、本機が後世に残した功績も小さくないといったところでしょうか。
 
 
 あ、あと肝心のデジタル・ディレイについて言及するのを忘れていました!(汗)。ディレイおよびオートベンド機能については、本機・DW-8000の2Uラック版であるEX-8000の記事にて詳細を記してあります。下記リンクからどうぞ。
 
 
 
 関連記事(コルグDWシリーズ):
 「KORG DW-6000 ~デジタル音源「D.W.G.S.」を搭載した80年代コルグ・シンセ
 「KORG EX-8000 ~コルグDW-8000の2U音源モジュール版[1985年]
 

仕様
■鍵盤数:61鍵(イニシャルタッチ、アフタータッチ付き)
■最大同時発音数:8音
■プログラムメモリー数:64
■外形寸法:998(W)×101(H)×338(D)mm
■重量:10.9kg
■発売当時の価格:199,000円
■発売開始年:1985年

 

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