【Vol.5】E-mu B-3 ~E-muが作ったジョン・ノヴェロ仕様オルガン[2000年]
2018/11/21
今回の機材は、E-muの1Uラックオルガン音源・B-3です。「B3」ではなくて「B-3」ですね。発売時の価格は99,800円。僕は個人的に2001年頃購入。オルガンではあるけど憧れのE-muブランド、ついにゲットです。
当時は「Vintage Keys」「Proteus/1~3」を始めとして、E-muの1U音源モジュールが多種出回っていました。そして1999年に「Proteus2000」が発表され、その “Proteus2000ファミリー”ともいうべきモジュールシリーズの一つがこの「B-3」です。
このオルガンモジュールは、当時「ナイアシン」というアメリカのセッションバンドがあって、そこでオルガンを弾いていたジョン・ノヴェロさんが、自身のオルガン(改造したHAMMOND B-3やA-100)の音をサンプリングして作ったものらしいです。
音源(音色)
内蔵メモリーは32Mバイトで、全てをオルガン・サウンドに使用しています。Proteus2000と同様の音源方式を採っており、基本的な設計・パラメーターもほぼ全て踏襲されている感じですね。ROM3バンクとRAM4バンクの合計7バンク、この中に896ものプリセットを内蔵しています。なお最大同時発音数は64です。
プリセットのドローバー・セッティングの表示は「888000000」「88065000」など一目で想像できるものもあり、慣れている人にとっては非常に分かりやすいです。さらには最近のシンセではおなじみの「Auditionボタン」(→押すとその音色のフレーズが流れる)も搭載されているので、手軽に音色を確認することができます。この機能は、オルガン音色にマッチしたフレーズをイメージする時にも便利ですね。
E-mu B-3, Xtreme LEAD-1/エンソニックジャパンインコーポレイテッド 雑誌広告より画像引用
レスリー・シミュレーター部
ハモンドオルガンには付き物であるレスリー・スピーカーも、トランジスタタイプの「145」と真空管タイプの「122」の2種類がシミュレートされています。
独自の機能
本機にはフィルター(※1)も搭載されているので、物足りない人にはシンセシスの楽しみも用意されています。これらは当然オリジナルのHAMMOND B-3には搭載されていない機能なのですが、パネル上の4つのノブにて、フィルターのカットオフやエンベロープ・タイムなどを変更でき、独創的なオルガンの音作りも楽しめます。
個人的かんそう
なにぶん1Uなのでリアルタイムな操作性は高くないのですが、オルガン音色専用プレイバックサンプラーと割り切って使えば、音もいいし軽いしで便利に使えること請け合いです。実際、収録音色(ドローバー・セッティング)の種類は非常に多彩で、さらにそれぞれのバリエーション(レスリーあり/なし、キースプリットあり/なし、ステレオ/モノラル等)も豊富に用意されています。
まとめ的な
ハードウェアのオルガンモジュールはそれほど種類も多くないのですが、このB-3はE-muブランドということもあり、現在さらに貴重な(忘れ去られた?)機種になっています。
この子が中古で出回ることは極めてまれだと思いますが、本格的なオルガンの音を(ハード音源で)安く手に入れたい場合、購入の検討をしてもよいと思いますよ。
■関連記事(E-mu 1Uラック)
【初期シリーズ】:
「E-mu Proteus /1 ~イーミュPROTEUSシリーズの初号機[1989年]」
「E-mu Proteus /2 ~オーケストラ音源特化型モジュール[1990年]」
「E-mu Proteus /3 World ~世界中の楽器のサウンドを集めた音源モジュール」
「E-mu PROTEUS/MPS ~PROTEUSに鍵盤が付いた!」 ※本機のみ鍵盤付きモデル
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【中期シリーズ】:
「E-mu MORPHEUS(モフェウス) ~Z-Planeフィルターを初搭載したPCMシンセ…」
「E-mu Orbit/Orbit V2 ~90年代のダンスミュージック特化型音源モジュール」
「E-mu Planet Phatt ~ヒップホップ、ラップ等向けサウンド・モジュール」
【後期シリーズ】:
「E-mu Planet Earth ~世界中の民族楽器を収めた音源モジュール[2000年頃]」
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仕様
■最大同時発音数:64音
■マルチティンバー数:16
■サウンド・メモリー:32MB
■外形寸法:482(W)×44(H)×216(D)mm
■重量:3.1kg
■発売当時の価格:99,800円(税別)
■発売開始年:2000年