キーボーディスト、脱初心者を目指す

ピアノ、シンセサイザー、オルガンとか鍵盤楽器もろもろ。関係ない記事もたまにあるよ

1970~80年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.438】YAMAHA DX1 ~DX7×2台分、にしてもデカい[1983年]

2019/05/30

 今回紹介するシンセサイザーは、1983年末にヤマハから発売された「DX1」であります。同社の大ベストセラーシンセサイザー・DX7の7ヶ月後に発表された、いわゆる「DX7ファミリー」の中の一機種であり、シリーズ最高級モデルとして君臨しました。

 

YAMAHA DX1

 

 今どきのスリムなキーボード(シンセサイザー)に見慣れていると、本機の重厚感は半端なく感じられますね。定価はこれまた驚きの1,950,000円!。今見ても非常に高価ですが、当時は大卒の初任給も13~14万円だった時代。メーカーもさぞかし気合が入っていたのでしょう。では記述していきますよ。
 
 
 

概要

 デジタルシンセサイザーDXシリーズのフラッグシップ・モデル。心臓とも言える音源部は、6オペレータ・32アルゴリズムのFM音源を2チャンネル搭載。これはすなわちDX7の丸々2台分ということになります。
 
 
 鍵盤部は73鍵、木製ピアノタッチ鍵盤を採用し、ポリフォニック・アフタータッチも装備。他にもボイスメモリーとは別のパフォーマンスメモリーを搭載していたり、DX7には見られないLEDグラフィック・ディスプレイも搭載していたりと、プロ向けと見ることができる非常にぜいたくな仕様となっています。
 
 
 

外観について(主観入り)

 まず、デカいです。。巨大すぎ。横幅もそこそこあるし、奥行きに至っては脅威の64cm!! こんなのプロの広いスタジオならまだしも、自宅のワンルームに置いたら威圧感がすごそう。。重さも51kgですって。
 
 
 ボディカラーは、サイドの木目材を除きブラックで統一。DX7同様アナログっぽいツマミもなく、当時としては最先端のデジタルなデザインといった感じでしょうか。木材で全身を覆った同社の「GS1」(→DX7以前にFM音源を搭載した最高級シンセ)と対照的ですね。
 
 
 

音源部について

 DX7と同等の「6オペレータ・32アルゴリズム」が、本機ではA/Bの2系統搭載されています。最大同時発音は32。
 
 
 なおDX1では各ブロックを制御するために多数のCPUが贅沢に使われており、これにより多くの機能を分散させ機能を高めているそうです。逆にハイコストなのもその辺りに起因するのかなという感じですね。
 
 
 

メモリーについて

 「ボイスメモリー」は32メモリー×2チャンネルの計64。ROMカートリッジと併用すれば最大128音色を扱うことができます。膨大なエディット・パラメーターのデータを丸ごとストアすることも可能。
 
 
 また「パフォーマンスメモリー」という領域も別途持っていて、これはAB両チャンネルのボイス/エフェクト等の組み合わせとかも記憶できるメモリーのこと。こちらも64個までメモリー可。
 
 
 

デジタルEG搭載

 内蔵のEG(エンベロープ・ジェネレーター)は、レベル×4、レイト×4の合計8パラメーターを扱えるものとなっています。パネル中央上部にはEG用の独立LEDグラフィック・ディスプレイが設置され、こちらにバーグラフが表示されます。データは0~99の数値でインプット可能。

 

 

 

スプリット・モードについて

 音色を左右に分割(16音+16音)する「スプリットモード」、2種類の音を重ねる「デュアルモード」(16音×2)を装備。
 
 
 シンセサイザーにおいてスプリット機能自体はさほど目新しい機能ではなかったのですが、本機ではスプリット・ポイントを任意の鍵盤で指定することができました。A/B2系列なので、スプリットモードでは16+16で合計32ポリフォニックとなるわけですね。
 
 
 

鍵盤部について

 73鍵であり、「木製質量反力鍵盤」と銘打たれたピアノタッチ鍵盤部は、同社のGS1(1981年発表。定価265万円)ゆずりともいえる仕様。もちろん鍵を押す速さにより音色・音量を変化できるキー・ベロシティ機能も搭載。
 
 
 鍵盤方面で他の特筆点といえばポリフォニック・アフタータッチに対応している点。これDXシリーズでは本機が唯一らしいですよ(DX7はチャンネル・アフタータッチのみ)。アフタータッチについては別記事で書いているので細かな説明はそちらに譲りますが、(各鍵ごとにかかる)ポリフォニック・アフタータッチといえばコストがかかる非常にぜいたくな仕様だったのですね。
 
 
 関連記事:「シンセサイザーの「アフタータッチ」機能について ~現行シンセの対応表も記してみた
 
 
 FMは特にベロシティで変化させやすい音源とされており、本機でもそのベロシティ・コントロールがプレイのキモとも言えるでしょう。
 
 
 

個人的つぶやき

 73鍵木製鍵盤搭載とはいえ、DX7×2台分の音源構成と捉えれば、定価195万円はあまりにも高額過ぎた印象ですね(ちなみにDX7は248,000円)。。“すごいのは分かるけど、一般人は買えないヤマハの新製品”という、当時の同社のハイエンド製品の傾向が分かりやすく表れた一台といいましょうか(笑)。実際、あまり市場に出回らなかったみたいす。
 
 
 でも前身機種ともいえるGS1(定価230万円オーバー)と比べたらどうでしょう。GS1では一般的に不可だった音色エディット(FM変調)もできるし、価格もそれなりに落ちている。。まあこの辺りは最初からプロ向け機材ということだったのでしょう。
 

YAMAHA GS1

YAMAHA GS1

 
 しかしそれ以上にDX7のコスパ感が最強過ぎたという感じですね。。というわけでDX1は、同様に2系統の音源を持つ廉価機・DX5やDX7IIにバトンを渡していくのでした。
 
 
 
 関連記事(DXシリーズ、FM音源他):
 「YAMAHA CE20 ~DX7登場前年のFM音源搭載キーボード[1982年]
 「YAMAHA TX816 ~DX7が8台分収まっちゃった!?モジュール[1984年]
 「YAMAHA DX21 ~デュアル/スプリット演奏もできるコスパFMシンセ[1985年]
 「YAMAHA DX7II Centennial ~ヤマハ100周年記念・“幻のDX7” [1987年]
 

仕様
■鍵盤:73鍵(木製質量反力鍵盤)
■音源方式:FM音源(6オペレータ・32アルゴリズム)×A/B
■最大同時発音数:32(シングル)、16(デュアル)、16+16(スプリット)
■プリセット音色数:インターナルボイス:32×A/B、パフォーマンス:64
■メモリー:32メモリー×2(内部RAMメモリーバンク)
■外形寸法:1255(W)×225(H)×640(D)mm
■重量:51kg
■発売当時の価格:1,950,000円
■発売年:1987年

 

関連記事および広告

関連記事および広告


-1970~80年代'', YAMAHA, 楽器・機材【Vol.〇〇】