1970~80年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】
【Vol.431】Roland SA-09 SATURN ~オルガン+ピアノ=サターン[1980年頃]
2019/03/24
こにちは! 今回ご紹介するシンセサイザーは、1980年頃にローランドから発売された「SA-09」です。“SATURN”の愛称が付けられていたことでも一部では有名ですね。発売当時のメーカー希望小売価格は109,000円。
この時代のローランド・キーボードというと、末尾「09」のいわゆる “09シリーズ”が多くリリースされました。アナログシンセの「SH-09」、オルガンの「VK-09」(※VK-9とは別物)、オルガン+ストリングスの「RS-09」などなど。。いずれも目玉が飛び出るほどの高級機ではなく、一般人でも手の届きやすいお手頃モデルだったという共通点がありますね。
さて今回のSA-09も、「和音が出せる」「複数音色を出せる」といった当時のトレンドを押さえていつつも、10万円ちょっとというアマチュアでも購入しやすい価格で登場したというのがポイントですね。
SA-09概要
電子ピアノと電子オルガンを共に備えたコンパクトなコンボ・キーボード。鍵盤部は、今見ても非常に珍しい44鍵仕様。1VCOのアナログ音源方式のオルガン・シンセサイザーです。
ピアノ系(減衰音)、オルガン系(持続音)の音色はワンタッチで切り替えでき、8’、4’、2’、1’のフィート列ミキシングと、4つのトーン・セレクターの組み合わせにより、幅広い音作りを可能にしました。
音作りについて
手描きの図にて簡単に説明してみましょう。↓
上図では省略してしまいましたが、まずはエンベロープを「パーカッシブ系」(ピアノ等)と「オルガン系」から選択します。
そしてI~IVのトーンセレクター・スイッチからトーン(音色)を選び、それぞれのフィートを調整しミキシングしていきます。オルガンでの音作りに近い感覚と言えるでしょう。まあ音作りの基本はほぼこれだけですけどね(笑)
その後、音の余韻を調節できる「サスティン」レバー、音の立ち上がりを強調する「アクセント」スイッチ、後述するエフェクターでさらに色付けをしていきます。
こうして作った音は、背面のOUTPUT端子からステレオでも出力することが可。ちなみに本機は電子ピアノとしての顔も持っているため、サスティン・ペダルを挿す端子も見られます。一応トランスポーズ機能(→オクターブダウンのみ)も付いているのですが、基本的に44鍵でピアノ曲を弾きこなすのは結構難易度が高い感じではあるのですが。。(汗)
内蔵エフェクターについて
2モードのコーラス・モジュレーター(コーラス/ビブラート)を内蔵し、厚みのあるコーラスサウンドや、回転感のあるビブラートサウンドを得ることができました。ビブラートにはRATEを変更できるツマミが装備されており、リアルタイムで周期調整が可能です。
なおコーラスとビブラートはスイッチによって切り替える方式になっており、両者を同時に掛けることはできません。
他機種との接続について
本機はMIDI規定以前のキーボードですが、GATE OUT端子は装備していました。SA-09からGATE信号を出して他機種(例:同社のSH-2、SH-5、SH-09等)のGATE INで受ければ、ちょっとしたポリフォニック・シンセサイザーのような音作りも可能だったそうです。
また、同社のラック型ボコーダー「SVC-350」のコントローラー鍵盤としても接続・使用可能。
SA-09/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
個人的つぶやき
1VCOでエンベロープもほぼいじれないという簡素なつくりではありますが、「ピアノ」+「オルガン」という異なる音色を装備しており、当時の “複合型キーボード”のトレンドを(一応)押さえたプレイバック・キーボードという感じでしょうか。
異なる音色といったところで、実際のところはエンベロープ(減衰/持続)だけ別に用意して音の源はほぼ同じという、小手先感が見て取れなくもないですが(笑)
そんな感じで決してゴージャスな仕様とは言えない本機ですが、当時この価格帯でマルチ音色(およびポリフォニック)を備えていたということで、特にアマチュアにとってニーズがあったのではと思われます。この時代特有の味わいのあるアナログサウンドは、現代の音楽に混ぜても面白いかもしれないですね。
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仕様
■鍵盤:44鍵
■サウンド・ソース
フィート・ミキシング・ボリウム(8’、4’、2’、1’)
トーン・セレクター(I、II、III、IV)
■エンベロープ:オルガン/パーカッシブ
■外形寸法:676(W)×102(H)×306(D)mm
■重量:6kg
■発売当時の価格:109,000円
■発売開始年:1980年頃