キーボーディスト、脱初心者を目指す

ピアノ、シンセサイザー、オルガンとか鍵盤楽器もろもろ。関係ない記事もたまにあるよ

KAWAI 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.258】KAWAI KP-705/KP-700M/KP-308M ~KAWAIの激レア打弦式エレピ(後編)

2018/11/26

 

 

 以前の本ブログ記事「KAWAI KP-608/KP-308/KP-308S ~KAWAIの激レア打弦式エレピ(前編)」に続いて、今回も河合楽器の打弦式エレクトリックピアノを取り上げてみますよ。
 
 80年代のKAWAIのKPシリーズといえば、当時のYAMAHA CP70/80のように、弦を叩いてそれを電気的に増幅して発音するエレクトリックピアノ・シリーズとなっています
 
 
 今回紹介するのは「KP-705」「KP-700M」「KP-308M」の3機種で、言わば“後期KPシリーズ”といった趣きのモデル群となっています。では個別に見てみますよ。
 
 
 

KP-705

概要

 省スペース、コンパクト設計というKPシリーズの基本コンセプトを踏襲し、アップライト型筐体を採用した普及モデル。発売は1984年末~85年初頭頃。当時の価格はぐっとお手頃な265,000円でした。
 
 
 外観は今日のアップライト・ピアノに近い感じですね。鍵盤数は75鍵で、これは前回の記事でも紹介した「KP-608」と同じ数になっています。ちなみに本機はKP-608のように折り畳みはできません。あとダンパーペダルが横長の板のような形状になっているのが個性的ですね。
 

KAWAI KP-705(advertisement)
KP-705/(株)河合楽器製作所 雑誌広告より画像引用
 
 
 

機能

 3つのトーン・セレクター(ピアノ1/2/3)を装備。なおこのセレクトボタンは2つ以上の同時ONが可能で、全7種類の組み合わせが生み出せます。ピアノ1の音色はメロウな感じ、ピアノ2は若干明るい感じで、ピアノ3に至っては高音部のアタック感が効いたキャラクターとなっているそう。
 
 
 打弦式なのにトーン・セレクター(音色切替器)が付いているという仕様も面白いですね。うーん、どういった仕組みになっているのでしょう。。
 
 
 またステレオ・コーラスのON/OFFスイッチも装備。設定変更(デプスやスピード等)はできませんが、手軽にリッチな雰囲気を加えたい時には有効だと思います。
 

仕様
■鍵盤:75鍵(F1~G7)
■外形寸法:1310(W)×1000(H)×570(D)mm
■重量:85kg
■発売開始時期:1984年末~85年初頭頃
■発売当初の価格:265,000円

 

 

KP-700M

 上記の打鍵式コンパクト・エレピ「KP-705」をベースとし、MIDI機能を追加したのが本機KP-700M。発売は1985年秋頃。価格は330,000円でした。MIDIコントローラーとしても使える設計となっており、まあこれはほぼ同時期に登場したYAMAHA CP60M(→MIDIに対応したアップライト型エレピ)の類似製品といった感じですね。
 

KAWAI KP-700M(advertisement)
KP-700M/(株)河合楽器製作所 雑誌広告より画像引用
 
 
 

MIDI機能について

 鍵域を(任意のポイントで)左右に分け、UPPER/LOWERそれぞれに別々のMIDIチャンネルを設定することが可能。2台のMIDI音源を制御するMIDIマスター・キーボードとしての使用も想定されているようです。モードセレクトにはシングル、デュアル、スプリットといったモードがあり、音源を個別に鳴らしたりユニゾン演奏したりとかもできるそう。
 
 
 また本機には、打弦式エレクトリックピアノとしては珍しい2桁のLEDディスプレイが搭載されています。スプリット・ポイントやMIDIチャンネル、プログラム・ナンバー等のMIDIセッティングを本体内に4つまで記憶できるメモリーも内蔵。
 
 
 もちろんKP-705譲りのトーン・セレクター(ピアノ1/2/3)装備、コーラス・エフェクト内蔵といったところです。
 

仕様
■鍵盤:75鍵(F1~G7)
■外形寸法:1310(W)×1000(H)×570(D)mm
■重量:87kg
■発売開始時期:1985年秋頃
■発売当初の価格:330,000円

 

 

 

KP-308M

 グランドピアノ・アクション機構を搭載した打弦式88鍵モデルであり、先代のKP-308にMIDI機能を付けたもの。見た目はKP-308と大きな違いは見られませんが、上記のKP-700Mと同様にマスター・キーボードとしての機能が充実しているといったところでしょうか。KP-700Mでは4個までだったMIDIセッティング・メモリーも、本機では16個までとなっています。
 
 
 まあこれも見た目といい、YAMAHA CP80Mあたりと非常に似通った製品コンセプトとなっていると言っていいですね。。
 
 
 タッチに定評があるカワイピアノのアクション構造を採用し、ノーマル、ハード、ブリリアントの3種類のピアノ音色を搭載。演奏性の高さだけではなく、複雑なMIDIセッティング変更にも瞬時に対応する操作性も本機の売りでした。
 

仕様
■鍵盤:88鍵(A0~C8)
■外形寸法:1504(W)×1086(H)×943(D)mm
■重量:148kg
■発売当初の価格:850,000円

 

 

つぶやき的な

 というわけで、記事を前後半に分けてKAWAIのKPシリーズの中から6機種を紹介してみたのですがいかがでしたでしょうか。エレピといえばローズ、ウーリッツァー、あるいはYAMAHA CPが余りにも有名なのですが、KAWAIもこれだけのシリーズ展開をしていたというのは驚きですよね。
 
 
 さらに驚きなのが、これまで全くと言っていいほど楽器系(音楽)雑誌に取り上げられていないこと。『キーボードマガジン』(リットーミュージック発行)でも数年に1回はエレピ特集の号があったりするのですが、KPが触れられたことはほぼ皆無ですね。。なので “幻の打弦式エレピ”という切り口で、鍵盤仲間との機材談義のネタに使えるかもしれませんよ(笑)

 

 

関連記事および広告

関連記事および広告


-KAWAI, 楽器・機材【Vol.〇〇】