【Vol.422】YAMAHA　pf15／pf12およびpf10　～FM音源搭載の80年代ステージピアノ[1983年]

　今回ご紹介する機材は、ヤマハが1983年末頃に発売したエレクトロニック・ピアノ「pf15」「pf12」および「pf10」です。いわゆる家庭向け電子ピアノの “はしり”みたいな機種ですね。pf15が88鍵、pf12/pf10が76鍵となっています。

pf15, pf12,(pf10)／ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

共通仕様

　pf15/pf12/pf10は基本的な内部仕様はほぼ共通しており、決定的に異なるのは鍵盤部のみといったところです。まずは共通する内部仕様から見てみましょう。
 
 

内蔵音色

以下10種。

　音源方式としては、当時の同社の最先端だったFM音源を搭載。これにより従来のアナログ方式に比べアタックの効いた、（当時としては）リアルなピアノ音などを奏でることができました。同時発音数は16音。
 
 
　余談ですが、pf15/pf12/pf10が発売された1983年といえば、かの有名なシンセサイザーDX7がリリースされた年でもありますね。DX7はFMシンセの代名詞ともいえる銘機なのですが、pf15/pf12/pf10はシンセではないのでプリセットFM音源搭載の電子ピアノといったところです（→音の変調などエディットは行えない）。
 
 
 

キートランスポーズ機能搭載

　パネル上の物理スライダーにより、全てのキーの移調を行えるというもの。シャープやフラットがいっぱいついた譜面でも、一発で弾きやすいハ長に変更することができます。

 
　そういえばこの機構、以前本ブログでも紹介した「KORG　LP-10　～コルグ初の電子ピアノ、移調もできるよ！[1980年]」にもありましたね。。
 
 
 

ステレオコーラス内蔵

　パネル上にあるSTEREO CHURUSボタンを押すだけで簡単にコーラス効果を得ることができました。なおこのコーラスは、外部アウトプットで出力することもできます。
 
 
 

アンプ＆ステレオスピーカー内蔵

　5W出力（12cm）×2のステレオスピーカーを内蔵。前述したステレオコーラスも、本体のスピーカーにて広がりのある効果を得られます。

pf15

　88鍵フルスケール・ピアノタッチ鍵盤を採用。タッチ・レスポンス機能搭載で、タッチ（打鍵の強弱）による音量変化にも対応していました。発売当時の定価は220,000円。
 
 

pf12

pf15の76鍵バージョン。発売当時の定価は189,000円。
 
 

pf10

　上記2機種とは異なり、同社のシンセサイザーによく採用されていたライト鍵盤・FS鍵盤を採用。76鍵であり、上位機種同様タッチ・レスポンスにも対応しています。発売当時の定価は149,000円。
 
 
 

個人的しょかん

　FM音源搭載のピアノ・タイプのキーボードといえばGS1（当時の定価260万円）、GS2（定価100万円）というのが1981年に登場しているのですが、さすがに当時の一般家庭に普及するような価格ではなかったですよね。。
 
 
　今回紹介したヤマハpfシリーズは、当時最先端だったFM音源を比較的手ごろな価格帯で提供した、ステージピアノの草分けとも言える機種といったところでしょうか。FM音源が得意とするエレピ音色やヴァイヴ音色は、ジャズやフュージョンなどライブでも使えたと思います。
 
 
　それにしたって、電子ピアノの型名として最もオイシイと思われる “pf”を商品名として早々と使ってしまい、その後のヤマハさんは結構苦労されたんじゃないかな？というのが個人的な杞憂ポイントです。。まあ現在のCPシリーズやPシリーズの源流の一つみたいな感じにとらえればいいのかなという感じ。
 
 
 
　関連記事（ヤマハPFシリーズ）：
　「YAMAHA　PF1500／PF1200　～80年代後期のヤマハ・デジタル・ピアノ[1988年]」
　「YAMAHA　PF2000　～DX7IIコンパチのデジタルピアノ[1988年]」
 
 

-1970～80年代'', YAMAHA, 楽器・機材【Vol.〇〇】