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1970~80年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.80】YAMAHA PF1500/PF1200 ~80年代後期のヤマハ・デジタル・ピアノ[1988年]

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介するキーボードは、YAMAHAのデジタルピアノ「PF1500」および「PF1200」です。発売は1988年12月頃で、同年のTM NETWORKのツアー『TOUR '88~'89 CAROL ~A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991~』でも小室先生がPF1200を使っていました。

 

YAMAHA PF1500

YAMAHA PF1500

 
 ヤマハが発売している電子ピアノシリーズには、ターゲットによって大まかなシリーズ名(型名)が決まっています。家庭向けだったら「CVPシリーズ」「CLPシリーズ」「YDPシリーズ」など。また脚部を除いて可搬性に優れた「Pシリーズ」「CPシリーズ」「Sシリーズ」などが知られています(→ライブ用としても使える)
 
 上記の型名は昔から変わっていませんね。ではこのPF1500(PF1200)はどういった位置付けだったのでしょう。 
 
 
 

PF1500とPF1200の違い

 鍵盤数は共に88鍵であり、外観上の相違点もあまり見られません。違いは、PF1500だと(3タイプの)デジタル・リバーブが内蔵されているのに対し、PF1200では代わりにステレオ・コーラスが装備されています。当時の価格を見てみましょう。

 PF1500 … 249,000円
 PF1200 … 229,000円

 
 空間系の内蔵エフェクトの変更(リバーブ→コーラス)だけで2万円の差が出ているわけですね。。

 

YAMAHA PF1500/PF1200(advertisement)
PF1500,PF1200/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

音は?

 ヤマハの音源としては今でもおなじみの「AWM音源」を搭載しています。これは【Advanced Wave Memory】の略で、直訳すると “進んだ波形記憶方式”という意味ですが、原理的にはほぼPCM音源のことですね。(当時の同社の主流だった)FM音源よりも、リアルなピアノ音色に近付いたといっていいでしょう。ちなみに本機の半年ほど前に発売されたデジタル・ピアノPF2000は、本機と外観がほぼ同じでFM音源を搭載していました。
 
 関連記事:「YAMAHA PF2000 ~DX7IIコンパチのデジタルピアノ[1988年]
 
 
 ちなみに内蔵音色は、ピアノI、ピアノII、Eピアノ、ハープシコード、ビブラフォンの全5音色です。
 
 
 

鍵盤タッチは?

 AE鍵盤と呼ばれる鍵盤を採用しています。これはアコースティック・ピアノのアクション・フィーリングをリアルに再現したタッチだそうです。

 

 

 

スピーカーは?

 内蔵しています。2ウェイ(16cm+8cm)×2であり、本体だけで音を鳴らすことができます。ちなみに左右奥側に配置された大きな丸いスピーカーは、先発モデルであるPF2000のデザインを踏襲したものですが、当時ヒットしていた同社のEOS(B200)のデザインも意識していたのかもしれません。
 
 
 

つぶやき的な

 まだまだ電子ピアノとしての基本部分が弱く、同時発音数はわずか16音でした。20万円以上の比較的高級なモデルということもあり、欲を言えば音色数ももう少し欲しかったところですね。。とはいえ当時の波形メモリー容量は今とは比較にならないほど少ないものだったので、仕方がなかったのかもしれません。先発機・PF2000のFM音源から、AWM音源への転換という心臓部入れ替え的な大鉈をふるったのですから、それはそれで評価できるかもしれません。
 
 
 なお本機に、別売りの「トーンジェネレーターTQ5」を接続すれば、追加の100音色(FM音源)+8トラック・シーケンサーを使えるようになりました。PF1500/1200は、「家庭用電子ピアノ」以上の拡張性を見据えていた「家庭用電子ピアノ」といったところでしょうか。個人的に思うにはですね。。
 
 関連記事:「YAMAHA TQ5 ~斬新なデザインのトーン・ジェネレータ―[1988年]
 
 
 

余談的な

 なお80年代初~中頃には、同じくヤマハにて「pfシリーズ」というラインナップもありました。こちらは88鍵以外にも76鍵(シンセ・タッチ鍵盤)のモデルもあったりして、「pf」という伝家の宝刀的なネーミングを冠するにはちょっと違和感があるという感じでしたね。音源もFM音源であり、ピアノ音のリアルさという面ではPFシリーズに軍配が上がるといっていいでしょう。
 
 

仕様
■鍵盤数:88(AE鍵盤)
■プリセット音色:5種(ピアノI、ピアノII、Eピアノ、ハープシコード、ビブラフォン)
■最大同時発音数:16
■エフェクト:PF1500→デジタル・リバーブ(ルーム/ステージ/ホール)
       PF1200→ステレオ・コーラス
■外形寸法:1470(W)×231(H)×470(D)mm ※脚部は除く
■重量:38kg
■発売当時の価格:249,000円(PF1500)、229,000円(PF1200)
■発売開始年:1988年

 

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