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1960~80年代 KORG 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.206】KORG MS-20 壁掛けモデル ~教育用に作られた激珍シンセサイザー

2018/07/01

 先日静岡県にある「浜松市楽器博物館」にてとても変わったシンセサイザーを目にしました。「KORG MS-20」と書かれていたのですが、これはどう見ても一般人(?)の知るところの「MS-20」ではないように見えます。本体厚さは5cmほど、横幅は1m以上あると目測できます。

 

KORG MS-20(学校教育用)

 
 そもそもコルグのMS-20というシンセは1978年発売のモノフォニック・シンセサイザー。当時10万円を切る98,000円という驚きの低価格で世に出たコルグの名機であります。中古市場でも長年安定した価格を付け続け、2000年代にはソフトシンセもリリース、ついに近年ではMS-20 miniとして(ハードとしても)復刻を果たしました。
 
 
 独特の外観は、モーグMinimoogのパネルを起こした時の状態のような、演奏者にパネル正面を向けた設計。これは操作においてはやりやすい反面、Minimoogのようにパネルをたたむことはできなかったので、運搬の際には非常にかさばる大きなハードケースを必要としました。

 

KORG MS-20

KORG MS-20(1978年)

 

そんなMS-20ですが、浜松市楽器博物館で見たそれは一体何だったのでしょう?
 
 
 

壁掛けMS-20、実は。。

 これはいわゆる市販の製品ではなく、シンセサイザー教育用に特別に製作されたものらしいです。製作時期は同じく70年代後半と予想します。MS-20に代表される比較的安価なシンセサイザーが日本でも出回り始めた時期であり、おそらく当時、時代に敏感な「シンセ教室」の運営者向けに開発されたのではないかと。

 

KORG MS-20 education-model

 

 この壁掛けモデルはいわゆる “教師向け”であり、これを黒板に張り付けるなどして生徒に教えていたものと思われます。よく見たら本体上部には壁掛け用のフック穴まで備えられていますね。
 
 
 中身は通常のMS-20とほぼ全く同じ仕様となっているらしく、見る限りパネルの配置もよく似ていますね。パッチング用のジャック穴(パネル右部)もちゃんとあることが確認できます。形状以外に違いが見られる点といえば、鍵盤右部にスピーカーが付いている(ように見える)ことでしょうか。
 
 
 鍵盤部はオリジナルと同様に37鍵。なので鍵盤の横幅は一緒ということになりますね。これで “教育用”の方のスケール感も大体想像して頂けるのではないかと思います。大盤のパネルおよび大型のツマミにより、生徒側からの見やすさなんかも非常に高かったと言えるでしょう。
 
 
 なお生徒向けには個別のMS-20があてがわれるケースもあったみたいです。

 

画像出典:KORG「ELECTRONIC MUSICAL INSTRUMENTS」カタログより
 
 
 

つぶやき

 うーむ、70年代で既にこのようなハイテクな授業が日本のどこかで展開されていたとは想像だにしませんでした。確かにMS-20は「アナログ・シンセサイザーのお手本」とも言うべき、シンセの基本操作が分かりやすいモデルとして昔から有名です。大盤にすることで、パッチングによる信号の流れなどもより分かりやすくなっており、シンセサイザーの音作りの仕組みが理解しやすくなっていると思われます。
 
 
 ちなみに、壁掛けを前提に作られたということで重量はそれほどでもないと予想されますが、万一落下したら半損はほぼ確実ですよね。。
 
 
 そんな貴重な “教育用MS-20”、機会と興味のある方はぜひ浜松市楽器博物館に行って実機を確認してみてください。
 

KORG MS-20(学校教育用)

 

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