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1990年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.185】YAMAHA SY22 ~ベクター・コントローラー搭載シンセ![1990年]

2018/07/01

 今回ご紹介するシンセサイザーはヤマハの「SY22」です。発売は1990年で、定価は110,000円でした。前年にリリースされたSY77の廉価ポジションかと思いきや(→SY77の廉価版は概ねSY55に相当)、ちょっと違うコンセプトのもと発表されたのがこのSY22です。何といっても「ベクター・コントローラー」を備えているのが最大の特徴でした。

 

YAMAHA SY22

 

 関連記事:「YAMAHA SY77 ~2つの音源を持つオールインワン・シンセ[1989年]
 
 
 

概要

 SY77の音源部はRCM音源(AWM2+AFM ※サンプリング波形とFMの掛け合わせ)だったのですが、SY22では「AWM+CWM(2オペのFM音源)」という音源部になっています。
 
 一見似たような音源構成かと思いきや、本体左上に鎮座するジョイスティック(正式にはベクター・コントローラー)によって、「ダイナミック・ベクター・シンセシス」という新しい音作りを提唱。廉価で、SY77にもなかった斬新な仕様は当時注目を集めました。

 

YAMAHA SY22(advertisement)
SY22/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用

 
 
 

SY22の音色(ボイス)構成

 SY22では、最小の音の単位である “エレメント”を組み合わせ、いわゆる「音色」(ヤマハで言うところのボイス)を作っていきます。2エレメントでは、AWM音源によるサンプリング音色とFM音源による音色を1つずつ。4エレメントではそれぞれの音源×2という感じですね。なおエレメントは、AWMとFMを必ず組み合わせる必要があります(→同じ音源方式×2のみというのは不可)
 
 
 AWMの波形データは128種、FMの波形データは256種内蔵しており、シンセ音からSE音まで幅広い音作りに対応します。しかしここでちょっとした疑問。「FMの波形データは〇種類なんて数え方はしない」ですよね? それまでの考えだったら正にそうなのですが、本機の場合は「FM波形がプリセットで搭載されている」といった感じです。
 
 
 なおボイスは本体内に64プリセット、64ユーザー、カードにも64個メモリーすることができます。
 
 
 

音作りについて

 各エレメントには、ピッチ、レベル(音量)、アンプEG、LFOなどが掛けられますがフィルターはありません。とはいえピッチを微妙にずらす(→デチューン)することにより、分厚い音作りも可能になっています。
 
 
 FM音源部分は、DX7などを散々使い倒してきた人にとっては「かなり機能が制限されている」設計となっており、ちょっと物足りなさを覚えるかもしれませんね。。とはいえ機能を絞って、難しいFM音源をさらりと使いこなせる親切設計と言い替えることもできるかもしれません。まあ廉価機ですし。。
 
 
 

ベクター・コントロールについて

 上記のように、本体内の音作りに関しては比較的シンプルなのですが、それを最大限に生かせるのが演奏時の「ベクター・コントロール」と見て間違いないでしょう。本機の神髄と言える部分かもしれません。

YAMAHA SY22-vector-controller

プラネタリウムみたい。。
 
 
 
 SY22ではこのベクターによって、各エレメントの音量(レベル)と音程(ピッチ)をリアルタイムにコントロールすることが可能となっています。このコントローラーはトラックボール風のジョイスティック形状となっており、上下左右にエレメントを割り当てます。こいつをグリグリすることで即興的音色変化が行えるということですね。各エレメントのピッチを変えてコーラス効果を変化させたりとか、パンを変えてパンニング効果を得るなどといった使い方が定番でした。
 
 
 ちなみにこのベクター・コントローラーの動きは、リアルタイムで記憶させることができるという優れものです(→最大50ステップまで。最も粗い設定で1ステップ160msec。つまり8秒間の記録が可能)。またシーケンサーのように後からのエディットも可能です。

 

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その他の機能

 SY22では、ランダムエレメントでYESキーを押すと勝手に音を作ってくれる機能があります。さらにYESキーを押すたびに、エレメントへの波形データの割り当てやベクター・コントロールのデータを、次々とランダムに割り当てていきます。どんな出音になるか予想がつかないため、ちょっとアイディアが欲しい時などに使えたかもしれませんね。
 
 
 

つぶやき的な

 ジョイスティック搭載のベクター・シンセというと、コルグの「WAVESTATION」やシーケンシャルの「PROPHET VS」を思い浮かぶマニアの人もいるかと思います。SY22はそれらよりも(ちょっとだけ)早く発売され、いち早く新機軸のコントローラーを提唱したシンセという意味では革新的と言えるかもしれません。
 
 
 とはいえSY22はやはり廉価機の位置付けということもあり、音色キャラクターは全体的にチープ。おそらく今も昔もチープ。。そして、使えるのか使えないのかよく分からない妙な音色製造機みたいな捉えられ方をされた向きがありますね。。
 
 
 
 関連記事(ヤマハSY/TGシリーズ):
 「YAMAHA SY77 ~2つの音源を持つオールインワン・シンセ[1989年]
 「YAMAHA TG77 ~SY77の音源モジュール版[1990年]
 「YAMAHA TG55 ~新音源AWM2を搭載したモジュール版SY55 [1989年]
 

仕様
■鍵盤:61鍵(イニシャル・タッチ、アフター・タッチ付き)
■音源方式:(AWM+FM)×2系統
■最大同時発音数:16音(1系統時)、8音(2系統時)
■内蔵メモリー:64ボイス/16マルチ(プリセット)、64ボイス/16マルチ(インターナル)
■内蔵音色数:AWM系128音素、FM系256音素

■外形寸法:976(W)×93(H)×285(D)mm
■重量:6.8kg
■価格:110,000円
■発売開始年:1990年

 

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