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1990年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.404】YAMAHA CBX-K1XG他 ~XG音源搭載のDTM向けコンパクト・キーボード[1995年]

2019/06/23

 

 

 今回ご紹介するキーボードは、1995年に発売されたYAMAHAの「CBX-K1XG」という機種です。定価は49,800円。DTM向けのいわゆるMIDIキーボード・コントローラーのカテゴリに入るのですが、音源(+スピーカー)を内蔵していることからミニシンセと捉えることもできそうですね。

 

YAMAHA CBX-K1XG

 

 本機の前には「CBX-K1」というモデルがあって、基本的にはそれの機能を継承しつつ、さらにXG音源(→ヤマハが考案した音源の共通フォーマット)を内蔵し、スピーカーまでくっつけっちゃったような感じですね。ではまずはCBX-K1から軽く触れてみましょう。
 
 
 

【はじめに】CBX-K1について

YAMAHA CBX-K1

 
 ベロシティ付き37鍵仕様のミニ鍵盤。発売当初の定価は15,800円であり、CBX-K1XGの数か月前にリリースされました。
 
 
 データ入力に便利なアサイナブル・ホイールを備え、上位機種であるCBX-K2と同様のMIDIマージ機能(→MIDI INに接続した外部MIDI機器とCBX-K1のMIDIメッセージをミックスして出力可能)を備えていました。なお音源は搭載していません。
 
 
 見ての通りの外観ですが、非常にコンパクトな筐体となっていますね。データ入力用と考えたら3オクターブ・ミニ鍵盤でもさほど不便ではないですし、限られた作業デスクのスペースを有効に使うにはうってつけといったところ。このコンパクトさでベロシティ付き、さらに電池駆動も可能というのも心憎い設計です。

 

 

 

そしてCBX-K1XG

 まずは外観から。筐体サイズは上記のCBX-K1と同じですね。ホイール位置などデザインも非常に近い印象です。前述したように、CBX-K1に装備されていたアサイナブル・ホイールやMIDIマージなんかも継承されています。相違点としては、ステレオスピーカーが搭載されているところでしょう。
 
 
 あと、K1にはなかったTO HOST端子を備えていますね。これにより、当時のPCとシリアルケーブル1本でダイレクトにつなげることができます。ただしUSB端子は見当たらないですね、、まだそういう時代じゃなかったのでしょう。。
 
 
 全体的な印象としては、(YAMAHAの製品ラインからすると)ライト層向けのキーボード・「ポータサウンド」っぽい雰囲気を感じます。
 
 
 

音源部

 XGフォーマットによる内蔵の音色メモリーは、737ノーマル・ボイス+22ドラムセットであり、さまざまなジャンルの音楽に一通り対応するといったところ。あと「リバーブ」「コーラス」「バリエーション」の3ブロック構成のエフェクトも搭載していますね。最大同時発音数は32音で、最大16マルチティンバーを実現しています。
 
 
 音源方式はAWM2音源であり、サウンドのクオリティも当時としてはなかなかのものでした。その頃の同社のDTM音源機・「MU50」とほぼ同等のサウンド・エンジンを積んでいると言ってもいいかもしれません。
 
 
 

コントローラーについて

 パネル上には、ホイールやLEDは見られますがボタン類はほとんどありません。代わりに細かな文字がびっしりと書かれていますね。サポートしているコントロール情報はざっくり以下のような感じ。
 

●シーケンサー制御(スタート/ストップ/コンティニュー)
●MIDIクロック送信(オフ/テンポ可変)
●バンク・セレクト送信
●プログラム・チェンジ送信
●GMモード・オン送信
●XGシステム・オン送信
●オール・サウンド・オフ送信
●MIDI送信チャンネル設定
●フィクスト・ベロシティの設定
●オクターブ・シフト設定(±4oct)

●MIDIマージ設定(オン/オフ)
●ローカルオン/オフの設定
●トランスポーズ設定(アップ/ダウン)
●ホイール反転の設定

 などなど。。他にもいっぱいありますが多いので割愛します。おもちゃのような外観(失礼!)ながら、MIDIコントロール鍵盤として一通りの機能は備えているといったところですね。

 なお各種コントロール機能は一部鍵盤にアサインされており、[SHIFT]ボタンを押しながら該当の鍵盤を押すことで設定するスタイルです。
 
 
 

演奏モードについて

 本機には、目玉と言えるXGを始め、当時出回っていた様々な演奏モードを備えています。以下。

①XG
②TG300B
③C/M
④DOC

 
 ざっくり補足すると、「C/M」というのは昔のローランドDTM音源の音色配列、DOCというのは同社の電子ピアノ・クラビノーバの音色配列のこと。この辺りは、以前書いた「YAMAHA TG100 ~ヤマハ最初期のGM対応DTM音源モジュール[1992年]」の記事にて詳しく触れていますので、必要に応じてご参照ください。まあひと言でいえば、それまでのDTMの多彩なソフト資産を継承できるといったところです。
 
 
 関連記事:「YAMAHA TG300 ~XG発表前に発売された本格派DTM音源機[1993年]
 
 
 

派生モデルについて

後年(1999年頃)発売された派生機種。「CBX-K1XGB」と「CBX-K1B」の2機種です。
 

YAMAHA CBX-K1XGB

CBX-K1XGB

YAMAHA CBX-K1B

CBX-K1B

 
 どちらもブルーのスケルトン・ボディを採用しており、電子キーボードとしては非常に珍しいシースルー筐体になっています! まあ当時流行していたスケルトン筐体のiMac(のブルー)に追従した格好で開発されたのでしょう。夏のDTM作業に向いているかもですね。。
 

画像引用元:https://matome.naver.jp/odai/2134079198125039001
 
 
 
 
内容(仕様)は上記のCBX-K1XGBと CBX-K1Bと同じです。ぶっちゃけ、見た目涼しげになっているだけです(笑)。価格も全く同じ。

 

 

 

超つぶやき

 1995年にリリースされた本機・CBX-K1XGですが、実は2003年頃まで販売され続けたロングセラー・モデルでもあります。同社のDTMパッケージ製品『HELLO! MUSIC!』(のK1シリーズの鍵盤)としても同梱されていたので、実際に操作した人も多かったのではないかと。音源+スピーカー内蔵だからすぐに音が鳴るし(→音色選択は若干面倒)、気軽にDTMを始めてみるには十分な一台だったと言えるかもです。
 
 
 なお本機はDTM用途としてはもちろんですが、個人的にはライブ時のショルダーキーボードとして使用してもアリなんじゃないかという印象ですね。乾電池でも駆動するし、ピッチベンドとモジュレーション・ホイールは(ショルダーで使いやすいように)方向を逆に設定することもできます。シーケンサーのスタート/ストップができるのもGOODですね。
 
 
 ええと、ストラップ用のピンはというと・・・うーん残念、本体に付いてないんですよね。。まあ必要に応じて、基板を傷めない程度に各自改造してくだされといったところ。チック・コリア(→同社のCS01をショルダー・キーボードとしてライブ披露した)みたいにミニ鍵盤でステージ前列に出て、客をあおるのも楽しいと思う、きっと(笑)
 
 
 
 関連記事:
 「ミニ鍵盤を考える
 「YAMAHA CS01(/CS01II) ~ブレスコントローラー搭載! ミニ鍵盤の80年代…
 

仕様(CBX-K1XG、CBX-K1XGB)
■鍵盤:37鍵(ベロシティ対応・ミニ鍵盤)
■音源方式:AWM2音源
■音源モード:XG、TG300、C/M、DOC
■最大同時発音数:32音
■パート数:16
■音色メモリー:737ノーマルボイス+22ドラムセット

■演奏モード:XG、TG300B、C/M、DOC
■接続端子:TO HOST(MIDI DIN)、ヘッドフォン(ステレオミニジャック)、アウトプット(L, R/RCAピンジャック)、インプット(ステレオミニジャック)、サステイン、MIDI(IN/OUT)
■電源方式:ACアダプター/単3乾電池×6
■外形寸法:509(W)×55(H)×155(D)mm
■重量:1.4kg(※乾電池除く)
■発売当時の価格:49,800円(税抜)

仕様(CBX-K1、CBX-K1B)
■鍵盤:37鍵(ベロシティ対応・ミニ鍵盤)
■接続端子:MIDI(IN/OUT)
■電源方式:ACアダプター(別売)/単3乾電池×6
■外形寸法:509(W)×55(H)×155(D)mm
■重量:1.3kg(※乾電池除く)
■発売当時の価格:49,800円(税抜)

 

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