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1970~80年代' Roland 【ショルダーキーボード】 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.307】Roland AXIS-1 ~ローランド最初期のMIDIショルダーキーボード[1984年]

2018/11/28

 

 

 今回ご紹介するキーボードは、ローランドが1984年末に発売したMIDIキーボード・コントローラーの「AXIS-1」です。発売時の価格は98,000円。いわゆるショルダーキーボードですね。シルバーとレッドの2色がありました。

 

Roland AXIS-1

 

 このAXIS-1はのちの同社のショルダー・キーボード「AXシリーズ」の言わば元祖であり、当時規定されて間もなかったMIDIにも対応していました。MIDIショルダーとしてはYAMAHA、KORGの2社の後発としてリリースされた本機なのですが、果たしてどのようなものだったのでしょう。
 
 
 

基本スペック

 45鍵の標準スケール鍵盤、イニシャル・タッチおよびアフター・タッチ付き。コントローラー部は3.5kgという、肩から提げて使う軽量MIDIコントローラー(→音源は内蔵していない)。音色チェンジに関しては、0~119までの120通りのプログラム・チェンジ情報を送り出すことができ、もちろんピッチベンダー、モジュレーション・ホイール、キートランスポーズ・ボタンなど、ショルダー・キーボードとしての基本的な装備は一通り揃えています。
 
 
 なお本機はコントローラー部(鍵盤ユニット)電源部(電源ユニット)に分かれているのが特徴的。コントローラー部から電源ユニットには付属の(専用)ケーブルを接続します。
 
 
 

電源ユニットについて

 コントローラーとMIDI音源機器の橋渡しの役割を果たすユニット。この電源ユニットからMIDI音源機へはMIDIケーブルでつなげることになります。また本ユニットには「リモート・スイッチ・ペダル」が付いています。このペダルは標準設定ではホールド機能となっていて、ペダルを踏んでいる間だけ音がホールド(保持)されます
 

Roland AXIS-1 電源ユニット

 
 特にピアノ畑からショルキーに入った人にとっては、ピアノのダンパーペダルみたいな感じで直感的に使えたのではないでしょうか。ホールド機能は普通コントローラー側に付いているのですが、電源ユニットを独立させた代わりについでにペダルもくっつけちゃったのはナイスな設計だと個人的には思います。
 
 
 

左手部のコントローラーについて

 いわゆる棹の先端にはモジュレーションON/OFFスイッチがあって、左手グリップに当たる部分は、ピッチベンダー(ホイール)、モジュレーション・ホイール、マスターボリューム・ホイールが並んでいます。演奏中によく使うであろうピッチベンダーは、押し上げるとアップ、下げるとダウンするというもので、ギターのチョーキングに似た操作感といったところですね。
 
 
 なおピッチベンダーは固定ですが、モジュレーション・ホイール、マスターボリューム・ホイールについては機能を変更することも可能となっています。

 

 

 

MIDIコントロールについて

 ダイナミクス(イニシャル・タッチ)やアフタータッチを始め、当時規定されていた各種MIDI演奏情報のほぼ全てが送信可能。演奏変化に関するコントローラーは左グリップ部周辺に集約されており、鍵盤側のパネル周辺にはボタンはありません。
 
 
 「じゃあMIDIチャンネルやMIDIプログラム・チェンジの情報はどうやって設定する(送信する)のさ?」というと、その際は鍵盤をスイッチとして使うことになります。そう、実は本機の場合鍵盤もスイッチとなります。一例を挙げてみましょう。
 
 
 各MIDIチャンネルの数字(1~16)は鍵盤の下の方から白鍵に順次割り当てられています。MIDIチャンネル・ボタンを押したまま例えば一番下の「ミ」(→E0)を押すと、チャンネル1に設定できるといった感じですね。また、プログラム・チェンジ(→音色切替)に関しても鍵盤をスイッチ代わりにして行います。この辺りは慣れないうちは直感的な操作は難しいですが、慣れれば問題なく使えるといった印象です。
 
 
 本機には傾き角度が付いた見やすいLED(7セグメント×2桁)も搭載されているので、設定内容も確認しつつ行うことができます。またこの “鍵盤スイッチ”は、本体の軽量化・コストダウンにも一役買っているものと思われます。
 
 
 

重量について

 コントローラー部の重量は3.5kgと、これは今見ても非常に軽い部類です。一般的にショルダーキーボードは電池で駆動できるものなのですが、乾電池6~8個って地味に重くなるんですよね。。本機のようにコントローラーと電源ユニットを別々にしたという仕様は見ようによっては不便ですが、演奏中のしやすさを主に置いているプレイヤーにとっては悪くない設計かもです。
 

Roland AXIS-1(advertisement)
AXIS-1/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

個人的かんそう

 AXIS-1の鍵盤は標準スケールの45鍵仕様。まあこれ自体に特別目新しさはないのですが、鍵盤の最低音がE(ミ)となっているのがポイントです(※一般的なショルダー・キーボードではC(ド)が最低音のものが多い)
 
 
 この “E”というのはギターやベースの(一般的なチューニングにおける)開放弦で鳴らせる最低音の音階であり、そういったことからもセッションなどでもEキーが使われることが多いのです。
 
 
 要するに、ロックやポップスの現場ではこの鍵盤最低音がE(ミ)というのが生きてくることも多いわけで(特に両手弾きの場合)、これは当時のローランドさんが狙ってやったのかは不明ですが、隠れたナイス設計だと思います。
 
 
 
 関連記事(ローランドショルダー AXシリーズ):
 「Roland Lucina AX-09 ~シンセ音源内蔵の軽量ショルダーキーボード[2010年]
 「Roland AX-Edge ~2018年9月発売! 待望のローランド・ショルダー・キーボード(キーター)
 

仕様
■鍵盤:45鍵(イニシャル/アフター・タッチ対応)
■コントローラー側ボタン:
 MIDIチャンネル/ファンクション・ボタン
 キートランスポーズ・ボタン
 プログラムチェンジ・ボタン
 コードメモリー・ボタン(※変更可能)
 オクターブアップ・ボタン(※変更可能)
 モジュレーション・ボタン(※変更可能)
■コントローラー側ホイール:
 ピッチベンダー
 マスターボリューム・ホイール(※変更可能)
 モジュレーション・ホイール(※変更可能)
■外形寸法:
 (コントローラー)1075(W)×63(H)×220(D)mm
 (電源ユニット)211(W)×61(H)×141(D)mm
■重量:3.5kg(コントローラー)、1kg(電源ユニット)
■発売当時の価格:698,000円
■発売年:1984年

 

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