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1990年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.292】Roland JV-90 ~JV-1000からシーケンサー部を除いた76鍵シンセ[1993年]

2018/11/26

 

 

 今回ご紹介するシンセはローランドから1993年に発売された「JV-90」です。76鍵仕様で当時の定価は169,000円。以前本ブログでも紹介したJV-35の上位モデルに当たるデジタルシンセですね。また同社の当時のフラッグシップモデルであるJV-1000からシーケンサー部を省略したものという見方もできます。

 

Roland JV-90

 

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 「Roland JV-1000 ~二つの心臓を持ったモンスター・シンセ[1993年]
 
 
 JV-1000譲りの優れた音源部を受け継ぎつつ、可搬性の高さと拡張性を兼ね備えていたという点が本機の特徴と言えるでしょう。では詳しく見てみますよ。
 
 
 

音源部について

 内蔵のプリセット音色は、パッチ単位で226音色(パフォーマンスは64音色、リズムセットは4)、書き換え可能なインターナル音色ではパッチ64音色(パフォーマンス16音色、リズムセット1)となっています。音色的には、U-110の系統のPCMシンセっぽい明るくて抜けのよいサウンド・キャラクターといった感じの個人的印象です。
 
 
 なお「パッチ」とは本機における “音色”の最小単位みたいなものであり、7つのパッチ+1つのリズムセットを組み合わせたものは「パフォーマンス」と呼びます。ローランドのデジタルシンセにほぼ共通する音色単位の呼び名ですね。単音で鳴らす時は「パッチ」、レイヤーやスプリット(あるいはマルチティンバー演奏時)で鳴らす時は「パフォーマンス」といった感じで使い分けるのが一般的です。
 
 
 本機の音源部分はJV-1000とほぼ同等のスペックとなっており、後述する様々なオプション・ボードなどを追加することにより、最大で993パッチもの音色を装備することができました。
 
 
 

操作について

 シンセサイザー部は、PCM波形(トーン)からフィルターを通してアンプに流れるという当時主流の音作り方式。JV-80から(あるいはJV-1000でも)採用された8本のスライダーには様々なパラメーターを割り当てることができ、各種エディットや演奏中のリアルタイム・コントロールが高い自由度で行えます。大きめのLCDも見やすくてGOODです。
 

Roland JV-90(PARAMETER SLIDER)

 

 

拡張性について

 本機もJV-35等と同様に【EXPANDABLE SYNTHESIZER】というシリーズ名が付いていて、拡張性の高さをセールス・ポイントしていたことが伺い知れます。JV-90で拡張できるオプション・ボード類を挙げてみましょう。
 

ボイス・エクスパンション・ボード「VE-JV1」(当時の定価35,000円税別)

 一つの独立したシンセサイザー音源ともいえるボードで、JV-80、JV-1000のプリセット・サウンドなどから移植した512音色および、+28ボイス/+8パートを拡張するものです。
 
 

ボイス・エクスパンション・ボード「VE-GS1」(当時の定価30,000円税別)

 (当時ローランドのDTM音源の標準的な規格だった)GSフォーマット音源を226トーン追加し、さらに同時発音数も+28ボイス拡張するボード。これにより、手弾きはもちろんDTM音源としても大幅な「ボイス数」「音色数」が追加できることになります。
 
 

ボイス・エクスパンション・ボードについての補足

 上記のボイス・エクスパンションボード「VE-JV1」/「VE-GS1」は、どちらかいずれかのみを本体に挿すことができます(同時に挿すことは不可)
 
 いずれのボードにしても同時発音数は28→56ボイスに増加しますが、単純にボイス数が倍になるという構造ではなく、本体内にシンセサイザーをもう一台増設するといった感じです。そのためJV-90リアパネルのスイッチを必要に応じて変えたり、本体モードもボイス・エクスパンション向けモードにするなどの操作が必要ですね。また取り付けているボードがVE-JV1かVE-GS1かによっても、本体パネルでの操作内容は変わってきます。
 
 
 

エクスパンション・ボード「SR-JV80シリーズ」

 JV-80を始めとしたJVシリーズ(※一部例外あり)やのちのXPシリーズなどと互換性のある音色拡張ボード「SR-JV80シリーズ」を1枚搭載可能。これは上位モデルならではの装備だと言えるでしょう(本機JV-90と同時発売の廉価モデルJV-50/JV-35にはこのスロットはない)
 
 

サウンド・ライブラリー「SO-PCMシリーズ」
サウンド・ライブラリー「PN-JV80シリーズ」

 こちらはカード・タイプであり、これまでの豊富な音色資産をそっくり継承できるJV系サウンド・ライブラリーといったところです。

 

 

 

本体重量について

 重量は9.9kgとなっていて、これは当時の76鍵シンセとしては結構な軽さでした。同時発売された兄弟機のJV-35/JV-50の電源はACアダプターだったのですがJV-90では電源トランスを本体内に組み込んでおり、それでいてこの軽量さを実現したというのは、頻繁に運搬する人にとってうれしい設計だと思います。
 

Roland JV-90(second hand)

 

 

つぶやき的な

 JV-1000では様々な機能を一台に収めたゴージャス(やりすぎ!?)な仕様だったのですが、『シーケンサーはパソコンでグラフィカルに操作したいからシンセには不要』という人にとっては本機JV-90の方が適していたのでしょう。シーケンサーがない分ボタン類も減ってスッキリしたデザインとなっており、当時の非ワークステーション型シンセとしてよくまとまったモデルになっていると思います。
 
 
 76鍵仕様(→左右で音色をスプリットしたプレイにおいても無理なく弾ける)というのも、特にライブ派キーボーディストにとってはうれしい仕様だったと言えるでしょう。
 
 
 本機のような、(当時のローランドの)上位クラスのシンセサウンドは、同社の後継モデルよりも芯があって、全体的に音が良かったかもと個人的には感じたりします。。
 
 
 
 関連記事(ローランドJVシリーズ):
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仕様
■鍵盤数:76鍵(ベロシティ/チャンネル・アフタータッチ付き)
■最大同時発音数:28音(56音まで拡張可)
■プリセット・メモリー:パッチ226、パフォーマンス64、リズムセット4
■インターナル・メモリー:パッチ64、パフォーマンス16、リズムセット1
■DATAカード:パッチ64、パフォーマンス16、リズムセット1
■内蔵エフェクト:リバーブ8種、コーラス3種
■ディスプレイ:40桁×2行LCD(バックライト付き)
■外形寸法:1200(W)×85(H)×305(D)mm
■重量:9.9kg
■価格:169,000円(税抜)
■発売開始年:1993年

 

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