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その他メーカー 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.187】STUDIO ELECTRONICS SE-1 ~“図太い”MIDI対応・モノフォニック・アナログシンセモジュール[1993年]

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介するシンセサイザーは、3U音源モジュールであるSTUDIO ELECTRONICS「SE-1」です。発売は1993年。発売当初の日本販売価格は279,000円でした(→後に値下げ)。

 

Studio Electronics SE-1
STUDIO ELECTRONICS SE-1 ※Five Gさんにて撮影
 
 
 
 STUDIO ELECTRONICSといえばMinimoogをラック化(MIDI化)した「MIDI MINI」でも有名ですね。SE-1はMIDI MINIと同じ思想の下作られたと思われるルックスが特徴の、MIDI対応モノフォニック・アナログ・シンセモジュールといった趣きの一台となっています。
 
 
 なお、発売当初のSE-1のツマミは黒くて径の小さいものだったのですが、いつの間にかMinimoogのようなツマミに変更されたようです(目盛りも付いた)。
 
 
 

SE-1の仕様

オシレーターについて

 3VCO仕様となっていて、それぞれに三角波、ノコギリ波、パルス波が選択可能(※ミックスも可)。またフリケンシー(FREQ)、パルス幅(PW)のつまみもそれぞれ付いています。これらが律儀に各VCOごとに配されているので、音作りは思ったよりも難しくないと思います。
 
 またVCO2/3には赤い「SYNC」ボタンが設置されていて、いわゆるオシレーター・シンクができます。
 

STUDIO ELECTRONICS SE-1(OSC BANK)

 

 音の印象としてはやはり芯の太さ(特に低音域)が特徴的ですね。シンセベース、シンセリードにはもってこいといった印象です。
 
 

フィルター/LFO/エンベロープについて

 フィルターは、発振可能な24dBと発振しない12dBの切替可能なVCF(×1)を搭載。パネル上にはFREQUENCYつまみ、RESONANCEつまみ、TRACKINGつまみだけが並んでいて、いたってシンプルな構成となっていますね。
 

STUDIO ELECTRONICS SE-1(FILTER/ENVELOPES)

 

 LFOは3基、エンベロープは4基搭載されていて、これらはVCO、VCF、VCAに自在にアサインすることが可能です(なおエンベロープ1はVCF専用、エンベロープ2はVCA専用)。LFOの波形は、三角波、方形波、ノコギリ波(UP/DOWN)、ノイズ、S&Hの全6種と、なかなかの充実ぶりです。
 
 

音色メモリーについて

 作った音色は99パッチまでメモリー可能。音色名は、アルファベットや数字、記号から付けることができます。ちなみに後期型だと198パッチ(A/Bバンク×99)という話を聞いたことがあるのですが、この辺りはちょっと未確認です。ごめんなさい。
 
 

操作系について

 「PROGRAMMER」セクションがパネル左側に配されており、ここのLCDディスプレイ(およびPATCHナンバーを表示するLED)にて、画面を見ながらパラメーターをエディットできたりもします。なおMIDI MINIにはこういったディスプレイ表示はありませんでした。
 

STUDIO ELECTRONICS SE-1(PROGRAMMER)

 

 LCD画面の表示領域は20文字×4行となっていて、割と多くの情報を表示してくれます。そしてカーソルボタン(上下左右)、Qコントロール・ノブにて様々な項目を変更可能。ただしこのカーソルボタンは四隅に配されているため、上下左右の操作にはちょっと慣れが必要ですね。。
 
 
 なおQコントロール・ノブは、いわゆる演奏モード時(エディットしていない時)には音色の呼び出し(→PATCHの変更)として使うことができます。

 

 

 

個人的おもひで

 この機種は当時僕が務めていた(有)安田商店が一時期日本代理店となっていたこともあり、以前本ブログでも紹介した「Oberheim OB-Mx」と共に、“よく操作した一台”として個人的思い入れが強いです。
 
 
 90年代当時はデジタルのオールインワン・シンセが流行していたのですが、本機はモノフォニック(同時発音数:1)であり、価格も30万円近くするということで、個人的に購入対象に挙がることはありませんでした。
 
 
 とはいえディストーションばりばりの歪みギターに対抗するには、本機のような芯があって太いアナログ・リード音ががぜん存在感を発揮します。デジタルシンセのリード音やベース音だと、音量を上げてもただうるさいだけになりがちなんですよね。。ということに気付いたのはバンドを始めて随分後年のことで、本機の価値を見出したのも結構後のことです。
 
 
 近年では価格も相当下がってますし、MIDI MINIに負けず劣らない図太いハード・アナログ・シンセ(のラック型)を探している人にとって、本機は購入対象に入れてもいいんじゃないか、と思ったりします。
 
 
 
 関連記事:
 「STUDIO ELECTRONICS MIDIMINI (MIDIMOOG) ~前編・開発の経緯など
 「STUDIO ELECTRONICS MIDIMINI (MIDIMOOG) ~後編・ラック&MIDI化…
 

仕様
■最大同時発音数:1音
■オシレーター:VCO(三角波、ノコギリ波、パルス波 選択およびミックス可)×3
■フィルター:12-24dB/oct切替 ローパス・フィルター
■エンベロープ・ジェネレーター:ADSRタイプ×4
■LFO:×3
■ディスプレイ:20文字×4行 LCD
■外形寸法:483(W)×132(H)×227(D)mm
■重量:3.2kg
■発売当初の価格:279,000円(のちに値下げ)
■発売開始年:1993年

 

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