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1970~80年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.270】Roland Rhodes Model 660 ~これは “ローズ”なのか!?[1989年頃]

2018/11/26

 

 

 今回紹介するキーボードは、ローランドが1989年末~90年初頭頃に発表した「Rhodes Model 660」です。その昔ローランドがRhodesの商標を取得し、“Rhodesブランド”として発表したキーボードの一つですね。以前本ブログでもRhodesブランドであるMK-80およびMK-60を記事にさせて頂きました。
 
 
 関連記事:
 「Roland MK-80(88鍵) ~ローランドが作った“デジタル”Rhodes [1989年]
 「Roland MK-60 ~ローランド・Rhodesの64鍵モデル [1989年]
 
 
 Model 660は上記のMKシリーズとはちょっと違っていて、もはやエレピ(デジピ)という枠を飛び越え、ギター、ストリングス、ブラス、ベースなどの音色も内蔵しちゃった「デジタル・キーボード」といった仕上がりの一台になっています。見た目はよくある61鍵のシンセといった印象ですね。どのような内容だったのでしょう。

 

Roland Rhodes Model 660

 

 

音源部について

 同社のデジタルシンセ「U-20」でも採用されていたRS-PCM音源方式を採用。基本的なエンジンはPCM音源であり、ピアノ、ブラス、ギターなどの現存する生楽器をクリアかつリアルに発音できるという触れ込みでした。ちなみに「RS」とは「Re-Synthesized」(PCMサンプルをエンベロープなどで修正したものを再生できる)という意味らしいです。
 
 
 
MK-80やMK-60では、当時のローランド・デジタルピアノによく採用された「SA(Structured Adaptive Synthesis)方式」が採り入れられていたのですが、Model 660では最初からシンセサイザーの路線で開発が進められていたことが推し量れますね。
 
 6パートのマルチ・ティンバー機能を搭載し、最大同時発音数は30音でした。
 
 
 

内蔵音色について

 プリセット音は全128種類で、本機では「トーン」と呼ばれます。ピアノやオルガンといったベーシックなキーボード系サウンドから、弦や管などの生楽器系サウンド、さらにはD-50などのLA音源ぽいシンセ・サウンドも収録。それら「トーン」を使って音の出し方に関する設定を行ったものが「パッチ」と呼ばれる単位となります。
 
 
 

音色エディットについて

 大まかに、ピッチ(→音程)、ビブラート(→レイト、デプス等)、レベル(→音量、ベロシティセンス、アフタータッチセンス、エンベロープ等)などが変更可能です。出音のニュアンスをちょっと変えたいといった時には、上記のようにある程度のエディットができるという点でさほど不自由なく使えると思います。
 
 
 ただしフィルターは搭載されていないので、一般のシンセサイザーのように “トーンを一から創造する”、“音色を劇的に作り変える”といったことはあまり向いていないと捉えた方がいいでしょう。
 
 
 これら音色は、パネル上にグループ分けされたボタンにより、簡単に鳴らしたいカテゴリーの音色にアクセスすることができます。
 

Roland Rhodes Model 660(advertisement)
Rhodes Model 660, MK-80/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

キー・エフェクト機能について

 本機の演奏モードでは、「ハーモニー」「チェイス」「アルペジオ」という3種類のキー・エフェクトと呼ばれる独特の機能があります。以下簡単に説明してみましょう。

ハーモニー…(左右に鍵盤スプリットをした状態で)Lowerで弾いたコードの構成音を、Upperで弾いた音の下に重ねるという機能。要するに自動的にコード・ハーモニーを付けてくれるというものです。

チェイス…簡単に言えばディレイ効果。なおディレイにて “追いかける音(チェイス音)”の設定が細かくできるのが特徴的で、リピートする数、チェイスするピッチ、速さなども設定可能です。

アルペジオ…いわゆるオート・アルペジオ。UP、DOWN、UP&DOWN、RANDOMの4モードがあり、コードを押さえるとその構成音が分散和音として演奏されます。アフタータッチでアルペジオのスピードを変化させる時の感度を設定することも可能。

 
 なおこれとは別に、3種のデジタル・エフェクト(リバーブ、コーラス、パンニング)を搭載しています。 

 

 

 

カード・スロットについて

 本機には2基のカード・スロットが備えられていて、同社のUシリーズ向けに用意されている豊富な音色ライブラリー「SN-U110シリーズ」がそのまま使用できます。カード1枚につきMax128音色なので、最大で384音色(内蔵ROM128+カード128+カード128)ものサンプリング音色を即呼び出せるといった感じでした。
 
 
 

Model 760について

 Model 660とほぼ同時期(あるいは2~3ヶ月後)に発売された76鍵バージョン。内容としてはほぼModel 660を踏襲した感じとなっています。こちらの定価は185,000円。重量はわずか10.5kgであり、ライブ時でのマスターキーボードとして使いやすい一台といったところでしょうか。
 

Roland Rhodes Model 760(advertisement)
Rhodes Model 760/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

つぶやき的な

 これは何というかもう、“Rhodesブランド”を冠した意味がよく分からなくなっちゃってる一台ですね。。シンセサイザーというカテゴリーとしてもちょっと微妙というか。。強いて言うなら(多少調整ができる)プレイバック・キーボードといったところでしょう。
 
 
 とはいえ “Rhodesブランド”をとりあえず無視すれば、ライブ向けの使いやすい一台と捉えることもできるかもしれません。一通りの音色は備えている上に操作パネルはシンプルで、本体重量も8kg程度。アフタータッチも付いてて、マスターキーボードとしても使いようがある必要十分なMIDI機能も備えていると思います。
 
 

仕様(Model 660)
■鍵盤数:61鍵(ベロシティ、チャンネル・アフタータッチ付)
■音源:RS-PCM方式
■最大同時発音数:30音
■パート数:6
■本体メモリー:パッチ8種、トーン128種
■内蔵エフェクター:コーラス、リバーブ/ディレイ
■外形寸法:978(W)× 281(D)× 84(H)mm
■重量:8.0kg
■発売当時の価格:150,000円(税別)
■発売開始年:1989年末~90年初頭頃

 

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