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E-mu 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.133】E-mu PROTEUS/MPS ~PROTEUSに鍵盤が付いた![1991年]

2018/11/25

 

 

 今回取り上げるキーボードは、E-mu Systemsの「PROTEUS/MPS」というシンセサイザーです。発売は1991年、価格は298,000円でした。同社のPROTEUS製品としては初の鍵盤搭載モデルですね。個性的なボディ・デザインは、当時のMacintoshを手掛けていたデザイナーさんによるものらしいですよ。

 

E-mu PROTEUS/MPS
 
 
 

概要

 基本的には、それまでに発売された1U音源モジュールのPROTEUSシリーズ(Proteus/1、Proteus/2、Proteus/3 World)に5オクターブの鍵盤を付けた機種ということになります。ただし内容的にも若干変更が加えられており、単なる鍵盤付きモデルではない仕上がりになっています。また、マスターキーボードとしての機能も充実しています。
 
 ちなみに、モデル名末尾のMPSとは【Master Performance System】の頭文字を取ったものだそうです。 
 
 
 

基本仕様

 音源部は、同社のPROTEUSのロック/ポップス系サウンドと、PROFORMANCE(小型ピアノ音源モジュール)のピアノサウンドを中心にコンバートされ、プリセットで100音色を備えています。これにRAM100音色、RAMカード(別売・定価15,000円)100音色を加えれば、MAX300音色を同時に扱えます。なお内蔵波形容量は4Mバイトとなっています。
 
 
 

エフェクターについて

 本機のもう一つの特徴が、これまでのPROTEUSにはなかったデジタル・エフェクターが標準搭載されたこと。リバーブ(ルーム、プレート、ホール等)、ディレイ、コーラス、フェイザー、リング・モジュレーター、ファズ(!)などが内蔵されています。
 
 
 このエフェクト・プロセッサは2基搭載されており、個々のプリセットに掛けたり、複数のプリセット(→マルチティンバー使用時など)に同時に掛けたりすることができます。前者はいわゆる音色ごとの個別エフェクトに当たり、後者はマスター的なエフェクトになりますね。
 
 
 なお内蔵エフェクトが充実したせいか、アウトプットは従来のステレオ3系統から、メイン&サブミックスのステレオ2系統になっています。

 

 

 

マスターキーボードとしての機能

 イニシャル/アフタータッチに対応した61鍵標準鍵盤を搭載。スレーブとなる様々なMIDI機器のセッティングを瞬時に行う「QUICKLY機能」や、外部シーケンサーやPCへのコマンド送信、および本体内のマルチティンバーの設定など、MIDIシステムの集中コントロールを行う「PERFORMANCE MAP」を備えています。
 
 
 4つまでのプリセットをキーボードのゾーンとして設定でき、スプリット/レイヤーも可能。さらにそれぞれのゾーンごとにMIDIチャンネルを指定するといったことができます。
 
 
 また、これまでのラック版PROTEUSではなかったデータ・エントリー・ダイヤルが初搭載され、外部MIDI機器も含めた操作性の向上に大きく貢献しています。

 

E-mu PROTEUS(advertisement)
E-mu PROTEUS/(株)カメオインタラクティブ 雑誌広告より画像引用
 
 
 

PROTEUS Master Performance System Plus(8MB)について

 PROTEUS/MPSの音色増強版として翌1992年に発売。内容としては、従来の4MバイトのPOPS&ROCK系サウンドおよびピアノ・サウンドに加え、4Mバイトのオーケストラ・サウンドが追加されています。基本機能および外観上はほぼ同じですね。
 
 
 従来の100ROMプリセット+100ROMの追加ファクトリー・プリセット+100ROMのオーケストラ・プリセットが加わったことにより、プリセットだけで計300音色となっています。さらに、ユーザーがプログラム可能な100RAM、別売りのRAMカードを足せば、計500もの音色を一度に扱うことができます。

なお価格は据え置きの298,000円でした。
 
 
 

個人的つぶやき

 本機が発売された時代は、一般的なデジタル・シンセサイザーといえば「オールインワン・タイプ」が主流となっており、ある程度の価格帯以上ならばシーケンサーも内蔵していて当然、みたいな空気感がなんとなくあったと回想します。
 
 
 本機はシーケンサーは内蔵していませんでしたが、既にMacintoshや単体シーケンサーを持っている人にとって、(当時としては)非常に完成度の高い音源を供給してくれたとも言えます。またコントローラー類(鍵盤など)も使いやすく、本体も軽かったので、シーケンサーを必要としないライブ派の人にとっても重宝したのではないでしょうか。
 
 
 
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仕様(PROTEUS/MPS)
■鍵盤数:61鍵
■最大同時発音数:32音(ステレオ時16音)
■音色データ:4Mバイト(125インストゥルメント)
■マルチ・ティンバー数:16
■プリセット音色数:200音色(ROM100+RAM100) ※RAMカード使用時は+100
■サンプル・データ:4MB(125サンプル)
■外形寸法:1003(W)×87(H)×334(D)mm
■重量:10.6kg
■発売当時の価格:298,000円
■発売開始年:1991年

 

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