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【書籍】『シンセサイザー・プログラミング~基礎から分かるシンセ・プログラミングのすべて』(リットーミュージック発行)

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介する本は、『シンセサイザー・プログラミング~基礎から分かるシンセ・プログラミングのすべて』(リットーミュージック発行)です。
 
 初版は1998年と今から20年近くも前の本ですが、シンセサイザーの基礎を学ぶための最初の一冊としては、今でも十分通用する内容になっていると言っていいでしょう。本文に沿ったCDも付属しており、本書の理解の手助けに大いに役立ってくれると思います。
 

書籍 シンセサイザー・プログラミング
 
 
 本書は月刊「キーボードマガジン」の別冊誌として発刊されたものです。表紙にケンイシイが採用されていたりと、当時のテクノ・ブームに乗じて、アナログタイプのシンセサイザー全般の知識・音作りの記述が中心となっています。章ごとに見ていきましょう。
 
 
 

第1章 基礎編 シンセサイザーに触れる

 アナログ・シンセの3大要素である「オシレーター」「フィルター」「アンプ」と、エンベロープ・ジェネレーター(EG)、LFOによる音の変化などを説明しています。
 
 ここでは、できる限り多くの機種(アナログ・シンセ)で理解しやすいよう、ベーシックに構成された「仮想シンセ」のパラメーター図が用意されています。特定の機種ということではなく、シンセサイザーのごく一般的な音作りの流れ・イメージをつかむことができるよう書かれています。
 
 
 

第2章 中級編 シンセサイザーを理解する

 この章では、「第1章 基礎編」で学んだ基礎知識をさらに深く掘り下げて説明しています。コントローラーの使い方を始め、より多くの機能の解説や、多少高度な理論を分かりやすく説明しています。
 
 「VCOを究める」、「VCFを究める」、「モジュレーションを究める」、「コントローラーを究める」といった項目からなりますね。図解も丁寧です。
 
 
 

第3章 実践編 音色プログラムを作る

 ここからは実際の音色プログラミングについてさらに突っ込んだ解説をしています。当時の代表的シンセサイザー2機種(CLAVIA DMI Nordlead、Roland JP-8000)のパネル図を掲載し、各パラメーターのセッティングを指示しつつ解説が進んでいきます。ただし基本構成はどのアナログ・シンセでもほとんど同じなので、他のシンセでも応用は十分可能です。
 
 
 関連記事:
 「CLAVIA NordLead(初代) ~赤い彗星のごとく現れたアナログモデリング・シンセ
 「Roland JP-8000 ~「衝撃」走るっ![1996年]
 
 
 パッド系やリード音色といった手弾き用途が主の音色の作り方はもちろん、この時代の音楽の流行を取り入れた「シーケンス・サウンド」や、打ち込み系ドラムサウンドの音作りについてもページ数を割いています。
 
 

エフェクターによる音作り

 シンセサイザーの音作りという面では上記の章まででほぼ全て網羅していますが、他にも「エフェクターによる音作り」という記事もまとめられています。こちらはシンセサイズという概念からすると若干番外編的なものでもあり、解説ページは多くなく図解もありません。まあ確かにエフェクターも徹底的に解説していくと本1冊できてしまうので、さわりだけでも説明してくれているだけでもありがたいと思います。

 

 

 

アルバムレビュー・コーナー

 『ミュージシャンが選ぶ シンセサイザーを学べるアルバム50』という記事が掲載されています。これは様々な音楽ジャンルにおいて、その道のオーソリティー5人がそれぞれ10枚ずつ名盤を紹介してくれるというものです。
 
 
 本書が発売されたのは1998年で、このコーナーで紹介されているアルバムも70~80年代のものも多く、いわば「シンセサイザーをフィーチャーした名・古典アルバム」みたいな感じです。でもただの懐古趣味ではなく、今聴いても新鮮(かつエポックメイキング的)なアルバムが多く、個人的にはこのコーナーもおすすめです。
 
 
 

まとめ的な

 アナログシンセ(アナログ・フィジカル・モデリングシンセ)をこれから購入して音作りを実践したいけど、まずどうすればいいか?という時の導入用の書籍として非常に役に立つと思います。確かに初代NordleadやJP-8000は今となっては古さを感じさせるものですが、前述したようにアナログ・シンセサイザーの基本設計は20年前も30年前もそれほど変わっていません。アナログはもちろん、今どきのデジタルシンセにおいても十分参考になると思いますよ。
 
 
 もちろん本書は既に絶版となっているのですが、これから古本で買われる予定の方はぜひ「CD付き」のものを購入してください。理解度が大幅に違ってきますよ!
 

 

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