【Vol.37】CLAVIA NordLead(初代) ~赤い彗星のごとく現れたアナログモデリング・シンセ[1995年]
2018/11/23
今回ご紹介するシンセは、CLAVIA DMI AB(以下CLAVIA)の「NordLead」です。発売は1995年。いわゆる初代ノードリードであり、のちのノードシリーズの統一されたデザインの源流ともいえる鍵盤です。
CLAVIA(クラヴィア)はスウェーデンの電子楽器メーカーで、日本においての同社の輸入代理店は、2010年1月30日まではモリダイラ楽器、それ以降はコルグに引き継がれましたが、2016年11月1日よりヤマハが担当することになりました。
発売当時の背景
初代NordLeadは、1995年に世界初の市販アナログモデリング・シンセとしてデビューします。
今でこそ多数のノブを装備しているシンセサイザーは少なくありませんが、当時は、LCDディスプレイとページ切り替えを駆使して音作りを行う「サンプル・プレイバック」方式のシンセサイザーが主流となっていた時代です。
特に国内シンセサイザーメーカーは、シーケンサーやリズムマシンも内包した「オールインワン・タイプ」の開発に主軸を取っており、アナログシンセをデジタルでモデリングするという発想は非常に斬新でした。
本体上に26個ものノブ/スイッチ群を備えたデザインは、往年のアナログ・シンセの再来を思わせるものであり、シンセサイザー業界では耳なじみのないスウェーデンの楽器メーカーから発表された本機は、たちまち注目を集めるようになります。
個性的な外観
現在ではすっかりトレードマークとなっている「赤い」ボディ。それに加え、ボディの右上および左下を欠いたスラント(傾斜)は、多数のノブ/スイッチとのコンビネーションにより、これまでのシンセサイザーにない鮮烈な印象を与えました。
シンセサイズ部分の特徴
NordLeadの音作りのコンセプトは、「アナログ・シンセの動作を、DSPによる高速演算でシミュレートする」という単純明快なもの。Macintoshをプラットフォームとして開発されたと言われ、オシレーターとフィルターはアナログ・シンセ・サウンドの核となる部分でもあるため、特にDSPパワーを割り当てているとのことです。
オシレーターは2基(OSC1,OSC2)あり、どちらもパルス波・ノコギリ波・三角波を持つほか、OSC2の方はノイズを発生させることもできます。両オシレーターをシンクさせたりFM変調をかけることも可能。NordLeadは当時の流行だった「PCM波形」を持たず、独自のアルゴリズムで波形を生成しています。
フィルターはいくつかモードを持っています。定番のローパス・フィルターは12dB/24dBの選択ができますし、24dBのハイパス・フィルターとして使うこともできます。両方を組み合わせてバンドパス・フィルターとしても使えたりもします。
続きは記事後半へ…
とまあNordLeadの開発の経緯および音源部を中心にまとめてみましたが、まだまだ書きたいことがいっぱいあるので、記事を2つに分けることにしました。後半は僕の個人的思い出もふんだんに入れて(笑)展開していますので、よろしかったら読んでみてください。
続き→【Vol.38】CLAVIA NordLead(初代) ~回顧録
仕様
■鍵盤:49鍵(4オクターブ・ベロシティ対応)
■最大同時発音数:4音(※12音に拡張可能)
■音源:バーチャル・アナログ・シンセシス
■音色数:99(40プログラマブル)、8パーカッション
■外形寸法:865(W)×105(H)×265(D)mm
■重量:6.7kg
■発売当時の価格:230,000円
■発売開始年:1995年