キーボーディスト目線でアニメ「けいおん!」を観て考えた
2019/01/19
以前本ブログで「バンドマン目線でアニメ「けいおん!」を全話観てみた」という記事を書きましたが、今回はキーボーディスト(鍵盤奏者)の目線でちょっと考えてみました。
まずはここでの重要人物、放課後ティータイムのキーボーディストである「琴吹 紬」さんについて(以下ムギ先輩)。
琴吹 紬(ことぶき つむぎ)
半円状の太い眉毛が特徴。性格はおっとりとして温厚。4歳のころからピアノを習っていてコンクールでの受賞歴もあり。大企業の社長令嬢で、各地に別荘を所有する。高級ティーセットとお菓子を部室に持ち込み、自ら振る舞う。キーボード(約17kg)をソフトケースに入れ肩に担いで登校したりと、人並み外れた強い腕力がある。
※出典: 「けいおん!の登場人物」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ふむふむ。ムギ先輩の劇中でのキャラクターは、「おっとりお嬢様」という印象が強いですね。他メンバーよりも意見を全面に出して主張したりという感じではないです。また楽器との関わりについても他メンバーに比べ描写が少ないように感じてしまいました。以下、数少ない鍵盤関連のシーンをいくつか見てみましょう。
第2期#3『ドラマー!』より
律先輩とゲーセンに行き、腕相撲マシンの前でのシーン。
律先輩は負けてしまったのだがムギ先輩は “優勝”し、「律っちゃんのかたき、取りました!」と言っているシーン。
直接鍵盤とは関係ないけれど、重さ約17kgのTriton Extremeを担いでる謎が一応ここで解決されてますね(笑)。そうなんです、キーボーディストは演奏以前に重い鍵盤を運ぶ腕力が必要なのです。
映画『けいおん!』より
ロンドンの回転寿司屋のライブにて。ここでは初代NordLeadをレンタルしているように見えます。なおここで演奏した「カレーのちライス」のオルガン音はNordLeadでは出ません。NordLeadはアナログモデリングシンセなので。。
まあ舞台がヨーロッパということで、“だったらKORGとかよりもNord(→スウェーデン産)の方がしっくり来そうだよね”と制作サイドが判断したのかもしれません。これまで音楽的には非常に凝った描写をしてきただけに、個人的にはここはちょっと残念。
関連記事:「CLAVIA NordLead(初代) ~赤い彗星のごとく現れたアナログモデリング・シンセ[1995年]」
ロンドン後半では、日本から送っておいたおなじみのTriton Extremeを使ってライブをしています。余談ですが、日本からロンドンに重さ20kgの鍵盤を送るとすると(※到着まで1週間以内のプランだと仮定して)、2.5~3.5万円ほどのコストがかかります。往復だとその倍ですよ。さすがお嬢様・・・
まとめ的な
そんな感じで鍵盤的な描写は多くなく、ムギ先輩自身もどちらかというと他キャラの補間的な役割が強いのだろうかと思ってしまいましたが、そんなことはないのです!
実はテレビシリーズでは、軽音部オリジナル楽曲は全てムギ先輩が作曲したという設定になっているのです。
ああ何かお父さんほっとしちゃったわ(笑)。もちろん「作曲」と「鍵盤奏者」はイコールじゃないけど、4歳から弾いていたという設定がここでほのかに生きているような気がします。
そんなわけで、本考察自体も結構楽しくやらせて頂きました。またこのようなバンドもののヒットアニメが生まれるといいなと思っております。
関連記事:
「バンドマン目線でアニメ「けいおん!」を全話観てみた」
「KORG TRITON Extreme 76 ~「けいおん!」ムギ先輩仕様」