【Vol.18】HAMMOND XB-2(その1) ~ファースト・オルガン回顧録[1991年]
2018/11/23
今回は僕が初めて買ったオルガン「HAMMOND XB-2」のお話です。
XB-2といえば90年代(の特に前半)を代表するポータブルハモンドで、増田隆宣さんやレディオヘッドのジョニー・グリーンウッドも使用していました。今でもごくまれにプロミュージシャンが使っているのを見ますね。
僕は90年代当時、雑多なJ-POPのコピバンに参加していて、その時に大黒摩季さんの『ら・ら・ら』をやることになって、オルガン購入にあたり思い切って1年ローンを組んじゃいました。専用ハードケースもついでに買っちゃうぞ!
『ら・ら・ら』は、イントロのうねるようなオルガンが非常に印象的な曲です。この音が出したくて、当時「オルガンならハモンド印だろ!」と決めつけ、試奏はおろか全く音も知らない状態で購入したと思います。だって当時はYouTubeなかったもん。
HAMMOND XB-2/(株)ハモンドスズキ 雑誌広告より画像引用
念願の納入・・・
さあ届きましたよ。ちゃんとドローバー(音色を組み合わせる9本の棒)やパーカッションボタンも付いてていかにも専用機です。これでシンセのオルガン音色とは卒業やね。
ところが、どの音色にしたところで、出てくる音は
「ヴィーーーーーーーーーー」みたいな超平べったい音。
おかしい。摩季はもっと
「フウォン~~フウォン~~フウォン」とうねってるのに。
しっくりしないままスタジオに持って行き鳴らしますが、やっぱり音似てない。結局ライブもその音で臨み、腑に落ちないまま何となく弾いてしまいました。
当時おまけに付いてきたステッカー。もったいなくて貼れませんでした。。
で、レスリーって何?
その後楽器屋に勤めるようになって、詳しいお客さんに聞いたところ、ハモンドオルガンのド迫力な回転感のある音を出すには、「レスリースピーカー」という専用のスピーカーが必要だということが分かりました。
うーん、それって本体よりも高額なんだー。無理してローン追加したところでスタジオにはまず間違いなく運べないしなぁ。。
迷った挙句、せっかく買ったXB-2ですが割と早々と手放してしまいました。やっぱ詳しい人に聞いてから買うんだった~
なおXB-2には、(ライン・アウト出力に対してのみ働く)電子レスリーが内蔵されています。これ当時の僕は知っていたのだろうか。ちなみにビブラートのスイッチをオンにしている時は、このレスリー効果はキャンセルされてしまうみたいで、何か色々無知だったなぁと感じます。
ちなみに本記事の続き的な内容を、「HAMMOND XB-2(その2) ~Ver1.1のお話です」でまとめていますので、そちらもよろしかったらどうぞ。
余談的な
椎名林檎さんのライブDVD『下剋上エクスタシー』でも、キーボーディストの皆川真人さんが弾くXB-2の音を確認できます。レスリーとつなげてもどことなく平べったいのは、やっぱりXB-2の特性なのだろか。
関連記事(ハモンドスズキ オルガンシリーズ):
「HAMMOND XB-5 ~可搬性に優れた90年代の2段鍵盤・ハモンド[1992年]」
「HAMMOND XB-1 ~XB-2の6年後に登場したハモンド直系デジタル・オルガン」
「HAMMOND XM-2 ~お手頃ハモンド[2006年]」
仕様
■鍵盤:61鍵
■同時発音数:ドローバー・合計16音
■ドローバーボイス:B-TYPE、MELLOW、BRITE
■パーカッション:2nd Harmonic、3rd Harmonic
■プリセット:8プリセット、キャンセル、レコード
■オルガンパッチ:128ブロック
■デジタルリバーブ:4モード(ROOM、LIVE、HALL、CHURCH)
■ビブラート:V1、V2、V3、C1、C2、C3
■外形寸法:1160(W)×110(H)×310(D)mm
■重量:13.5kg
■発売当時の価格:180,000円
■発売開始年:1991年