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その他メーカー 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.357】ENIAC Sound Saurus BH-1000 ~90年代のレアDTM音源モジュール[1994年]

2018/11/28

 

 

 今回紹介する電子楽器は、(有)日本エニアックが90年代半ばに発売した「Sound Saurus BH-1000」というDTM向けGM音源モジュールです。愛称は “サウンドザウルス”。当時の定価は68,000円(税別)

 

ENIAC Sound Saurus BH-1000

 

 主に90年代、各社から様々なDTM音源機がリリースされたわけですが、本機はあまり流通しなかったせいか今日では非常に珍しいレア機と見られる向きがありますね。余談ですが本機が発売されたのは確か1994年秋頃で、ヤマハからXG音源規格が発表されたタイミングと非常に近かったと記憶しています。
 
 
 

はじめに

 日本エニアックは、当時マーク・オブ・ザ・ユニコーンなどの国内ディストリビューターとして、一連のデジタル機器やDTM向けソフトを扱っていたメーカー。本機BH-1000はひとことで言うと、日本エニアック社が販売した鈴木楽器製作所のOEM版です(つまり製造は鈴木楽器)。
 
 
 鈴木楽器といえば長年HAMMONDを取り扱っていることで知られており、かつては「HAMMOND GM-1000」というGM音源機も発売していました。BH-1000の中身(内部仕様)はそのGM-1000と全く同じということになります
 
 
 そのため外観デザインもGM-1000を踏襲したものになっていますが、違いが見られる点といえばカラーリング。LCD周りおよびボリュームノブが鮮やかなライムグリーンになっています。
 
 
 

Sound Saurus BH-1000音源仕様

 同時発音数32音、16パート・マルチティンバーのGM(General MIDI)システム対応のハーフラック音源モジュール。音源方式は「VASE音源【Versatile Advanced Sound Engine】」とのことですが、要するにPCM音源系ですね。内蔵音色は以下のようになっています。.
 

全368音色(以下は内訳)

 GM128音色
 バリエーション138音色
 9ドラムセット102音色

 
 HAMMOND譲り(?)ということもあり、オルガン音色のバリエーションは結構充実していたと回想します。あとピアノ音色も定評がありました。またSUZUKIということもあり、鍵盤ハーモニカの音色名は 「メロディオン」となっていますね。
 
 
 他にもシンセベース、パッドなどのシンセサイザー音や、多数のSFX音も収録しているのが特徴的。これらプリセット音色は、バンクを切り替えることによって素早く選択することができるようになっています。

 

 

 

ヒューマンボイス収録!

 本機の音色の売りとして、階名で歌うヒューマンボイスを搭載している点が挙げられます。これは、各音程にそれぞれ “ド”、“レ”、“ミ”と歌う声がサンプリングされており、楽器で歌を歌わせるというシロモノ。
 
 
 この見覚えのあるライムグリーンと、“音源が歌う”とくれば、『初音ミク』を連想しちゃいますね。。
 


ENIAC Sound Saurus BH-1000/(有)日本エニアック 雑誌広告より画像引用
 
 
 

PCとの連携

 本体リアパネルに装備されているシリアル端子(SERIAL I/F)は1つのみですが、MIDIインターフェイス無しで、セレクター切替により様々なPCとダイレクトでつなげることがでいきます。セレクターは以下。
 

RS422 …Macintoshとの接続に使用
RS232C-1 …PC-9800やPC/AT機との接続に使用(31.25kbps)
RS-232C-2 …PC-9800やPC/AT機との接続に使用(38.4kbps)

 
 RS-232Cは、ボーレイト(→1秒間に伝送できるビット数)の違いにより2種類用意されているということですね。“DTMソフト側が対応している”というのが前提条件となりますが、幅広いPC種にも対応しているといったところです(ただしRSシリアルケーブルは別途購入の必要あり)
 
 
 

つぶやき的な

 1994年といえば既に各社から一通りGM音源モジュールが出揃っており、本機サウンドザウルスは後発というタイミングでのリリースとなりました。よって拡張音色なども充実しており、当時のデファクトスタンダードだった「Roland SC-55」に追従した格好となりました(SC-55との互換についての詳細は不明)。
 
 
 耳慣れないメーカーの変わった機種ということもあってか市場にはあまり浸透しませんでしたが、発音バランスは良くGMデータの再生には悪くないと、一定の評価は得ていたような気がします。
 
 
 
 関連記事(90年代半ば頃の各社GM音源機):
 「Roland SC-55 ~ローランドの初期DTM音源モジュール。リモコンも付いたよ!
 「YAMAHA MU5 ~XG対応直前のヤマハ製GM音源モジュール[1994年]
 「Roland M-GS64 ~1U化したSC-88。でもかなり違う[1995年]
 「KORG X5DR ~ライブでも使えるGM音源モジュール[1995年]
 「AKAI SG01k ~AKAIが出したGM音源・ハーフラックモジュール[1995年頃]
 

仕様
■音源:VASE音源【Versatile Advanced Sound Engine】
■波形メモリー:64MB(PCM)
■最大同時発音数:32音
■パート数:16マルチティンバー
■音色数:368音色(GM128 + バリエーション138 + 9ドラムセット102音色)
■エフェクト:デジタルリバーブ×8、デジタルコーラス×8
■外形寸法:218(W)×44(H)×251(D)mm
■重量:1.5kg
■発売当時の価格:68,000円(税別)
■発売開始年:1994年

 

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