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1990年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.229】Roland M-GS64 ~1U化したSC-88。でもかなり違う[1995年]

2018/11/26

 

 

 今回紹介する電子楽器は、ローランドが1995年に発売した「M-GS64」という1U音源モジュールです。以前本ブログでも紹介した「M-OC1、M-SE1、M-VS1、M-DC1」と同時発売されたものの、このM-GS64だけ若干仕様が異なるということで別記事にさせて頂きました。

 

Roland M-GS64

 

 これら5台は「SOUND EXPANSION シリーズ」と銘打たれていて、デザインはほぼ全く同じで操作系も共通といった感じです。安価で即戦力となるということで発売当時はそこそこ注目を集めました。
 
 
 関連記事:「Roland M-OC1/M-SE1/M-VS1/M-DC1 ~音色特化型1Uモジュール群[1995年]
 
 
 なおこのM-GS64だけは価格が65,000円とちょっと上ですね(→他の4モデルは58,000円)。流通量が少なかったせいでレア機と見られなくもない本機ですが、果たしてどのような機種だったのでしょう。
 
 
 

M-GS64仕様

 同時発音数64音、32パート・マルチティンバーの「GMシステム/GSフォーマット完全対応」のシンセ・モジュール。内蔵音色(プリセット・パッチ)は654を誇り、ドラム・セットも24種用意されています。SMF(スタンダートMIDIファイル)形式でのGM/GS演奏データの再現とかに威力を発揮しそうですね。
 
 
 なお音色は256音色(+2ドラムセット)まで記憶可能となっています。エディットしたものをメモリーできるというのは、当時のDTM音源機としてはちょっと珍しかったです。
 
 
 まあ型名からして “GS対応”で “64ボイス”というのは容易に想像できますね。本機の基本スペックは、(当時の)同社のDTM音源標準機とも言える「SC-88」とほぼ同じということになっています。SC-88はいかにもDTM専用の小型筐体ですが、本機はライブ・システムの音源としても組み込みやすい1Uサイズ。こういった仕様から、「DTMはもちろんステージでもいけるよ!」といった印象を受けます。
 
 
 

仕様の補足

 2つのMIDI入力端子(A/B)を搭載し、MIDI-Aで受けたメッセージはグループA(パート1~16)、MIDI-Bで受けたメッセージはグルーブB(パート17~32)に送られるようになっています。この辺りはSC-88とほぼ同じですね。本機は2つの独立した音源を内蔵しているといえるのですが、SC-88のようにPCと直接接続できるシリアル・ポートはM-GS64には搭載していません。
 
 
 エフェクトはリバーブ×8、コーラス×8、ディレイ×10、2バンド・イコライザーを内蔵。本体内の動作モードを選択することにより、グループA,B独立してリバーブ+コーラスを掛けることも可能です。

 

 

 

SCシリーズとの互換性

 音色マップは「マップ1」「マップ2」の2種類。マップ1はほぼSC-88の音色配列であり、マップ2はSC-55の音色配列となっています。
 
 
 

出力端子について

 オーディオのステレオ・アウトを2系統(A/B)装備。なおOUT Bではパートを指定してダイレクト音を出力できるようになっていて、ミキサーなどに立ち上げて外部エフェクターをかますことも可能。これは、2つの独立内蔵音源を2セットのステレオで出力できるということであり、使いようによっては非常に便利な仕様といえるでしょう。
 

Roland SOUND EXPANSION Series(advertisement)
SOUND EXPANSIONシリーズ/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

つぶやき的な

 SC-88(当時の定価89,800円)よりも低コストで手に入れやすかったという点ではよかったかもしれませんが、明らかに仕様の異なる他の姉妹モデル(M-OC1、M-SE1、M-VS1、M-DC1)と設計を共通にしたことはちょっと無理があったかなと思います。スイッチ類やパラメーターの配置・印刷文字も共通。うーん。。
 
 
 まあ確かにこれによってコストダウンを図っているわけであって、多少の使いにくさは目をつぶるべきところかもしれません。GM/GS再生音源と割り切れば、情報量の少ない「7セグメント×3桁」LEDディスプレイもまあいいでしょう。64ボイスでプリセットも多いし、あとは音のクオリティがよければそれでよし!
 
 
 しかし、僕もその昔こいつの音を楽器店で聴いたことがあるのですが、実際「SC-88より劣化しているのでは? 」という音質だったことを記憶しています。存在感がとことん薄く、ライブどころかDTM音源としてもちょっと頼りない印象です。実際あまり売れず、早々に製品ラインナップから消えてますね。。
 
 
 今日取り入れるとしたらどうでしょう。。ジャンク品狙いで、「とりあえず色々な音色の入ってる音源モジュールをとにかく安価で入手したい」という人向けでしょうか。。
 
 

仕様
■最大同時発音数:64ボイス
■パート数:32マルチティンバー
■音色数:プリセット654、ユーザー256
■ドラム音色:プリセット22(SFX×2含む)、ユーザー2
■エフェクト:リバーブ×8、コーラス×8、ディレイ×10、2バンド・イコライザー
■外形寸法:482(W)×44(H)×165(D)mm
■重量:2.65kg
■発売当時の価格:65,000円(税別)
■発売開始年:1995年

 

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