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ACCESS 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.347】ACCESS Virus Indigo ~37鍵仕様のVirus bファミリー[2000年頃]

2018/11/28

 

 

 今回ご紹介するシンセサイザーはACCESSの「Virus Indigo」というモデルです。日本発売は2000年頃、発売時の価格は280,000円(税別)でした。

 

ACCESS Virus Indigo

 

 これは、同社のVirus Aに続く第2世代Virus(ヴァイラス)の中の一機種といった感じであり、同じファミリー・カテゴリーに属する「Virus b」「kb」の37鍵版といった趣きですね。カラーリングはシルバーを基調としておりすっきりした外観となっています。
 
 
 ACCESS社のVirusシリーズといえば内部OSのバージョンアップにより、機能も細かな部分では違いが見られたりするのですが、本記事では一応初期リリース時のOSバージョンを元に展開してあります。ご了承くださいませ。
 
 
 

「Virus Indigo」概要

 Virus bと同等のサウンド・エンジンを積んだ37鍵アナログモデリング・シンセサイザー。当初は限定モデルとして発売されたものの、大きな反響を受けて通常のラインナップに加わったという経緯があります。最大同時発音数は24ボイスで、16マルチティンバーでの演奏が可能。Virus A譲りのウェーブテーブル系サウンドから、伝統的なアナログ・サウンド、はたまた強烈な音色変化を伴う効果音系の音色まで、全512の音色を搭載。
 
 
 セールス的にはヒット商品となり、同社の “Virus”の名前を広く浸透させることに貢献したモデルでもあります。
 
 
 

オシレーター/フィルターについて

 メインオシレーターは×3。およびサブオシレーター×1を加えて、全4オシレーター構成になっています(ただしオシレーター3を使用すると発音数は最大6ボイスまでとなる)。あとノイズジェネレーターもありますね。
 
 
 搭載波形は、この手のシンセでは定番のノコギリ波、矩形波をはじめ、サイン波なども含む全64種のデジタル波形を内蔵しており幅広い音作りに対応。なおこれらデジタル波形はFMの変調用としても使うことができます。
 
 
 フィルターは×2。この2系統のデジタルフィルターには、それぞれローパス、ハイパス、バンドパス、バンドリジェクト(Band reject)が選択可能となっています。本機のフィルター部の特徴の一つに「サチュレーション(飽和)機能」というものがあって、これは音を太くしつつ適度な歪みやデジタルノイズなどを加えてくれるという機能のこと。
 
 
 このサチュエーションと既存のフィルター(1/2)と組み合わせて、4つのアルゴリズムから好みのものを選んで組む(→ルーティングする)ことが可能です。フィルター1+サチュエーション+フィルター2といった感じで直接につないだり、あるいはフィルター1(+サチュエーション)とフィルター2を並列につないだりして、様々なフィルタリングにより音色作りができたという感じですね。
 
 
 この辺りの内部仕様は実はVirus bと同じであり、もしよろしければVirus bの記事も参考にしてみてください。
 
 関連記事:「ACCESS Virus b ~ヴァイラス、セカンドジェネレーション![2000年頃]
 
 
 

筐体デザインについて

 Virus aおよびbで見られた “赤と黒“のやや毒々しいカラーリング”から一転、シルバートップおよびアルミニウム製サイドパネルを採用し、近未来的なデザインに仕上がっています。前述したように中身はVirus bと同じなのですが、見た目的に劇的に変化しているのが面白いですね。ちなみに本機のモデル名である【Indigo インディゴ】とは藍色(あいいろ)のことであり、つまみ周りの配色にも採用されています。
 

ACCESS Virus Indigo

 
 ブルーのバックライトにシルバーの文字が浮かび出るLCDディスプレイは決して面積的には広くはないですが、これまた非常に垢抜けたデザインになっています。個人的にはこのインディゴ・ブルーとは、LCDやLED群のことも指してるのかなとか想像できます。

 

 

 

音色構成について

 音色は、シングル・モードではA/Bバンクにそれぞれ128個、計256のプログラムが記憶可能。ちなみにC/DバンクはROMプログラム領域となっており、各128個ずつプリセット音色が用意されています。つまり全512音色(256RAM+256ROM)。
 
 
 プリセット音色は “ベース”や “パッド”など様々なカテゴリーごとに分かれており、音色カテゴリーごとの呼び出しも簡単にできます。音色自体も非常に多彩で、分厚いアナログ・シンセ音、金属的なデジタル・シンセ音などなど。。作り込みによって斬新な音を創造するポテンシャルも秘めているのですが、とりあえずいろんな音色がすぐに鳴ってくれるという点も助かりますね。
 
 
 

同名のソフトシンセ「Virus Indigo」について

 

 
 これは後年(2002年頃)発売されたTDMプラグイン・ソフトウェア版(※1)。ざっくり言うと、Virus Indigoをプラグイン化したPro Tools |HD & Pro Tools24 MIX向けのソフトといった感じですね(機能も実機に比べていくつか追加されている)。またVirus Indigo実機からのパッチをダウンロードすることも可能でした。
 
 
 

個人的つぶやき

 37鍵の小型ボディながら、当時のハイエンド・バーチャル・アナログシンセといった趣きの一台ですね。洗練されたデザインや操作系、強力かつ独創的なシンセ・エンジンなど、非常によく完成されたシンセだと思います。このクラスのバーチャル・アナログシンセとしては、当時NordLeadシリーズと人気を二分していたんじゃないかな。
 
 
 Indigoは現行モデルの「Virus TI2 POLAR」(同じく37鍵)の祖先といった感じですね。シリーズ全般として決して汎用向けとは言い難いですが、エッジの効きまくったVirusならではのアナログ・サウンドが好きな人にとっては、今でも色褪せない一台といった感じではないでしょうか。
 
 
 
 関連記事:
 「ACCESS Virus A ~バーチャル・アナログ・シンセサイザー「VIRUSシリーズ」…
 「ACCESS Virus b ~ヴァイラス、セカンドジェネレーション![2000年頃]
 

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※1 TDM…Time Division Multiplexingの頭文字を取ったもの。「時分割多重」と訳されることもある。プロ向けDAWシステムとして名高いPro Toolsでかつて使用されていたDSPベースのプラグインのこと。

仕様
■最大同時発音数:24音
■鍵盤数:37鍵(ベロシティ付き)
■オシレーター:3基  ■サブオシレーター:1基  ■ノイズジェネレーター:1基

■マルチモード・フィルター:2基(ローパス、ハイパス、バンドパス、バンド・リジェクト)
■フィルター・ルーティング:4種

■シングルプログラム数:256(ROM)、256(RAM)
■マルチプログラム数:28(ROM)、100(RAM)
■エフェクト:82種類

■外形寸法:466(W)×60(H)×180(D)mm(Virus b)
■重量:10kg
■発売当時の価格:280,000円(税抜)
■発売開始年:2000年頃

 

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