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2000年代~'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.311】YAMAHA HD-200 ~合奏指導向けキーボード “ハーモニー・ディレクター”

2019/02/16

 

 

 今回ご紹介するキーボードは(本ブログで取り扱うキーボードの中では)異色のコンセプトですね。ヤマハが2013~14年頃に発売した「HD-200」という機種です。MIDIは装備していません。

 

YAMAHA HD-200

 

 これは移調機能、調律機能、メトロノームなどをメインに据えた鍵盤付き総合機器といった趣きの仕上がり。販売当初の定価は150,000円(税別)でしたが、現在は結構下がってますね。2019年1月現在、現行製品となっています。
 
 
 吹奏楽器の美しいアンサンブルを求める奏者、あるいは限られた時間内でトレーニングする指導者にとって便利な機能を備えている一台といったところですね。とはいえ僕は吹奏楽や合唱の経験もなければ指導者の経験もないので、まずはヤマハさん公式の動画(YouTube)を見てください(逃)
 

 

 いやどうですかこの実直なデモンストレーション映像!。過剰演出的なプロモーション要素はなく、操作の概要がすいすい理解できるじゃないですか。以下は各カテゴリーごとの補足というか僕なりの見解(横やり)です。
 
 
 

■音色部

 全10種類の音色(フルート、オーボエ、クラリネット、サクソフォン、オルガン、トランペット、ホルン、ブラス、ストリング、ピアノ)を内蔵。各音色はボタンが独立しているので一発で変更が可能となっています。それにしても本機のクラリネット音色はもろFM音源ですね! 実に80年代っぽい響きに胸が熱くなりました。まあそもそも、カタログやマニュアルにはちゃんとFM音源(※ピアノとメトロノームはAWM音源)と書かれています。MIDI(GM)には非対応です。
 
 
 なお、音の立ち上がり(→ATTACK)、鍵盤を離した後の余韻(→RELEASE)、音の明るさ(→BRILLIANCE)は横方向のスライダーで調整が可能となっています。
 
 

■ハーモニー部

 移調機能を使って、移調楽器の楽譜をそのままキーボードで演奏ができます。面白いのが「B♭」、「E♭」、「F」など移調楽器(吹奏楽でよく用いられる管楽器)向けに、瞬時にキー(調)を変えられるボタンが備えられている点。もちろんこれ以外でも、半音ごとに移調(トランスポーズ)は可能です。
 
 
 あと、調律がボタン一つで平均律、純正長調、純正短調の切り替えが可能なところは、一般の電子ピアノ/ステージピアノ/シンセサイザーでもそうそう見られない機能ですね。
 
 

■メトロノーム部

 本機の内蔵メトロノームは、任意に指定した8種類の異なるテンポと拍子を瞬時に呼び出せるというもの。専用機ならではのなかなかの機能だと思いますよ。
 
 
 ボタン(→本機の場合一番右の白鍵)を押す(タップする)タイミングによってテンポを設定できるなんて、90年代のDJ向けサンプラーを思い出させてくれます。DJギアとは真逆のような本機なのですが。。
 
 
 

実はポータブル

 49鍵でスピーカー(×1)内蔵、ACの他に電池でも駆動可、本体重量はわずか4.35kg(電池含まず)と、屋外でも取り扱いしやすい作りと言えるでしょう。そういえば学校の吹奏楽部って、季節によっては屋外で練習したりする風景を目撃したこともしばしばありました。。本機の内蔵スピーカー(およびアンプ)にさほどのパワーがあるとは思えませんが、ちょっとした編成だったら屋外でも音が行き渡るのかもしれません。

 

 

 

操作性について

 「ハーモニー操作用」「リズム操作用」のそれぞれに独立したLCDディスプレイを搭載。ハーモニーとリズムの設定を画面切り替えすることなく行うことができるので便利な感じです。また操作パネル上の文字が日本語となっているのも特徴的(※ただし英語表示のモデルもある)
 

YAMAHA HD-200(catalog)
HD-200/ヤマハ(株) 製品カタログより画像引用
 
 
 

つぶやき的な

 本機は、この製品ラインとしてはHD-81→HD-100に続く3代目だそうなのですが、僕はごく最近までヤマハでこのような鍵盤製品のカテゴリーがあったことを全く知りませんでした。長年いろんな鍵盤楽器を通過してきたつもりですが、まるで盲点だった感じ。。
 
 
 このHD-200は一応鍵盤楽器のルックスですが、周りの楽器(あるいは合唱などの歌声)のアシストをするという機能が最重要なのであって、楽器というカテゴリーにすら入らないのかもしれません。鍵盤はガイド演奏用として付いてるだけであって、音源だってまるで30年前のそれです。USB端子だって付いていません。でもこれで十分だと思います。
 
 
 MIDIおよび今どきの音源(GM2)、さらにコンピューター接続などからも完璧に背を向けた、孤高の指導用音楽機器といったところでしょうか。

 

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仕様
■鍵盤:49鍵(タッチレスポンスあり)
■音源および同時発音
 FM音源:8音
 AWM音源:32音(ピアノ、メトロノーム)
■内蔵音色:10音色(フルート、オーボエ、クラリネット、サクソフォン、オルガン、トランペット、ホルン、ブラス、ストリング、ピアノ)
■移調ボタン:Cボタン、B♭ボタン、E♭ボタン、Fボタン
■内蔵スピーカー:12cm(最大定格出力 7.5W)
■外形寸法:855(W)×93.9(H)×262(D)mm
■重量:4.35kg(電池含まず)
■発売当初の定価:150,000円(税別)
■発売年:2013~14年頃

 

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