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1990年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.272】YAMAHA QY22 ~クイック・コンポーザーQY20がGMフル対応に![1995年]

2018/11/26

 

 

 今回ご紹介する機材はヤマハの「QY22」という音源内蔵ハンディ・シーケンサーです。発売は1995年、当時の定価は59,000円。これは以前本ブログでも紹介した同社の「QY20」(1992年)の後継機種ですね。はっきり言って外観の色味が若干異なる(→メタルグレー)くらいで、見た目としてはQY20とほぼ同じと言ってもいいです。

 

YAMAHA QY22

 

 ボタン類の配置も同じであり、基本的な操作も違いはありません。じゃあQY20と何が違うのかというとずばり「音源」です。以下、QY20との相違点を中心に記述しますので、基本仕様についてはQY20の記事もご参照ください。
 
 
 関連記事:「YAMAHA QY20 ~大型グラフィック液晶採用のポケット・シーケンサー
 
 
 

QY22概要

 (当時の)VHSビデオカセット・サイズに音源およびシーケンサーを内蔵した、一台で手軽に音楽制作を楽しめるマシン(当時メーカーでは “クイック・コンポーザー”と呼んでいた)。先代のベストセラー機・QY20の優れた操作性と高い完成度を受け継ぎつつ、音源部はGMに対応した全128音色+8ドラムセットを内蔵しています。
 
 
 QY20ではただの(といっては語弊がありますが)100音色だったのが、本機QY22ではGM対応の128音色。この “+28音色”の意味は大きくて、90年代半ばの当時としては、作曲向けの音源を搭載したマシン(ワークステーション・シンセや本機のような音源内蔵シーケンサー等)といえば、GMに対応しているというのが必須という時代の空気みたいなものがありました。
 
 
 そんなわけで本機をGM音源として使うこともできるので、当時市販されていたGM音源用曲データなどを鳴らといった使い方もできたわけですね。
 

 なお純正ACアダプタは「PA3」です(※PA3Cではないので注意!)。生産終了となっているPA4でもOKです。
 
 
 

プリセット・パターンについて

 本機では作曲がすぐにできるよう、プリセットの「パターン」が600個用意されています。内訳は、6セクション(イントロ、ノーマル、バリエーション、フィル1、フィル2、エンディング)×100パターン。要するに曲の構成部分ごとにあらかじめ自動伴奏パターンがたくさん用意されているので、簡単に曲の土台を作ることができるといったところです。ちなみに600パターンという数字自体はQY20と同様です。
 
 
 とはいえQY22の600パターンは、QY20からいくつか(約150パターン)変更されているらしく、QY22では当時最先端のアシッドジャズや、ハウス/テクノなどいわゆるダンス系のパターンが採り入れられているそうです。いかにも90年代半ばリリースの音源機ぽいですね(笑)
 
 
 なおプリセットの600パターンとは別に、作ったパターンを本体内に保存しておけるユーザー領域は100パターンまでとなっています。
 
 
 

シーケンサー部について

 シーケンサーは全8トラック(8パート)であり、うち4つがメロディなどのシーケンス・トラック用、残り4つがバッキング・パターン用となっています。
 
 
 上記のプリセット・パターンにてリズムとコード進行(→本機ではコードは25種類搭載)を決めて曲のバッキングを固めていって、その上にメロディラインなどを入力していくといった感じですね。なおコード名指定は本体の鍵盤を使って簡単に指定することができ、m7(11)や7(♭13)などといったテンション系や、sus4、dim、augも一発で入力できます。
 
 
 レコーディングはリアルタイムとステップどちらでも可能であり、入力は一般的なMIDI鍵盤からでもOK。
 

YAMAHA QY22(advertisement)
QY22, QY8, QY300/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

MIDIプログラム・チェンジ(→音色の切替をするためのメッセージ)について

 QY20ではプログラム・チェンジが1~100しか入力できなかったのですが、本機QY22ではGMにフル対応したことにより1~128まで挿入できるよう変更されています。

 

 

 

QY22のインターフェイス

 QY20譲りの見やすい大型グラフィック液晶ディスプレイや、入力がしやすい2オクターブの鍵盤パッドも搭載。この辺りの詳細は「QY20」の記事で記述していますので必要に応じてご参照ください。
 
 
 

個人的かんそう

 個人での作曲活動においてQY22のみで全て完結させるという目的だったら、QY20とさほどの違いはないと言えるでしょう(音色数がちょっと増えたくらい)。ただしGM対応となると話は別で、他のバンドメンバーとの曲データのやり取りなどにおいて互換性を得られるというのは大きなメリットだったと思います。
 
 
 実際QY20は操作性・可搬性に優れ、手軽な作曲ツールとしてヒットしたのですが、GMに対応していないという点でユーザーからの不満も少なくなかったそうです。QY22ではそういった弱点を解消し、他機種との互換性にも優れた「DTM音源」として活用することも可能だったという感じですね。
 
 
 
 関連記事(ヤマハQYシリーズ):
 「YAMAHA QY10 ~ベストセラー・ハンディ作曲マシン[1990年頃]
 「YAMAHA QY20 ~大型グラフィック液晶採用のポケット・シーケンサー[1992年]
 「YAMAHA QY100 ~ギタリスト向けに作られた最後のQY [2000~2014年]
 

仕様
■音源方式:AWM音源
■最大同時発音数:28音
■マルチ・ティンバー数:16(DVA付き)
■プリセット音色:GM128音色+ドラムボイス8キット
■プリセットパターン:100パターン×6セクション(イントロ、ノーマル、バリエーション、フィル1、フィル2、エンディング)
■録音トラック数:計8パート(シーケンストラック4+バッキングトラック4)
■記録容量:20ソング、約28,000音
■入力用ミニ鍵盤数:25 ※コード入力可能
■外形寸法:188(W)×37(H)×104(D)mm
■重量:0.4kg(乾電池除く)
■発売当時の価格:59,000円(税抜)
■発売開始年:1995年

 

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