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1990年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.268】YAMAHA EOS B500 ~【後半】EOSシリーズ中、最も売れたモデル[1990年]

2018/07/01

 前回の記事「YAMAHA EOS B500 ~【前半】“小室プロデュース&浅倉マニュピレート”、EOS黄金期の一台」に引き続き、今回もYAMAHA EOS(イオス) B500について取り上げてみたいと思いますよ。前半の記事では主に音源部について言及してみたのですが、今回はそれ以外について記述してみましょう(そりゃそうだ)

 

YAMAHA EOS B500

 

EOS B500のシーケンサー部について

 ソング・モードに入ることによりシーケンサーの機能を使うことができます。容量は「8ソング、約12,400音」となっており、各ソングは8トラック+1リズムトラックの合計9トラック。さらに、発音数の振り分けをコントロールできる「DVA(ダイナミック・ボイス・アロケーション)」もできるようになっています。
 
 
 なお本機にはディスクメディアのドライブ等は搭載されていないので、作った曲やユーザーボイスは別売りのRAMカードに保存します(→ボイスデータの場合はMCD32、ソングデータおよびリズムパターンの場合はMCD64)。さもなくばMIDIのエクスクルーシブ・メッセージのバルク・ダンプを使って、もう一台のB500へボイスの転送などを行うことも可能といった感じでした。
 
 
 

別売の音色カードについて

 別売りのボイス・カードは、小室氏監修の「TKシリーズ」はもちろん、浅倉氏監修の「DAシリーズ」も数多くリリースされました。“音色を買う”という考え方は、80年代の同社のDXシリーズなどでもあったのですが(→サウンド・カートリッジにより音色を増やす)、本機B500ではさらにその傾向が加速したという印象ですね。
 
 
 これは小室氏(あるいはヤマハ)の戦略だったそうで、実際に初心者が使う状況を想定して、(カードを追加するだけで)手軽に目新しい音色を楽しめるようにとの配慮だったとのことです。まあTMN(小室氏)をきっかけに本シンセに興味を持ったバリバリのシンセ初心者が、一からハイブリッド音源のシンセサイズ(音作り)やシーケンス・パターン作成を行うというのも、非常に困難なのは想像に難くないですね。。
 
 
 最初から膨大な数の音色を内蔵しているよりも、あとから自分好みのものを追加していくことで、他のB500ユーザーと差別化を図れるという意味で、どちら(開発・製造者側/購入者側)にもメリットありと捉えることもできそうです。
 
 
 

操作性について

 素早いデータ入力に対応する「データエントリーダイヤル」を、EOSシリーズとしては初めて採用。この手のダイヤル操作は慣れると非常に便利で、80年代によく見られたスイッチだけのシンセにはもう戻れない!と感じるほど快適です(笑)
 
 
 また全体的なオペレーションも、EOSならではのパラメーターを絞った “イージーエディット”から、数十のパラメーターによる本格的な音作りにも応える “フルエディット”まで、ユーザーのニーズ、レベルに合わせて幅広く対応します。

 

 

 

内蔵エフェクトについて

 デジタル・エフェクトは34種内蔵。リバーブやディレイといった定番のものから、いかにもロックを意識したディストーション系のものまで収められていますね。
 
 
 

内蔵スピーカーについて

 20W×2、2ウェイのスピーカーを搭載。見た目的には先代のB200と余り違いはないように見えますが、周波数帯域の広いAWM(PCM)音源の発音に対応するために、スピーカー・ボックスを独立させパネル素材をアルミ製に変更したそうですよ。
 

YAMAHA EOS B500(advertisement)
EOS B500/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

まとめ的な

 それまでは “EOSのイメージ・キャラクター”にとどまっていた小室哲哉氏が、本機B500にて本格的にシンセサイザーをプロデュースしたということが大きな変化点と言えるでしょう。
 
 
 TMN(小室哲哉)という強力なアイコンを入口として、それまでの「シンセサイザーに興味はあるけど難しそう…」というイメージをぐっと下げ、多くの新規購入者を誘い込みました。TVCFでも流れていたというのも大きいですね。実際本機は歴代のEOSの中で最大のヒットモデルだったそうで、シンセ人口の裾野を広げたという意味で記念碑的な一台と捉えることもできそうです。
 
 
 個人的に感じるところとしては、(上記でも述べましたが)B500を境に「(シンセサイザーの)音色は作るよりも買うもの」というイメージが強くなった気がします。
 
 
 関連記事(ヤマハEOSシリーズ):
 「YAMAHA EOS YS200/YS100 ~EOS初号機、現る![1988年]
 「YAMAHA EOS B200 ~EOSにスピーカーが付いたよ![1988年]
 「YAMAHA EOS B500 ~【前半】“小室プロデュース&浅倉マニュピレート”、…
 「YAMAHA EOS BX ~インターネットとリンクする“ネットワークEOS” [2001年]
 
 
 

個人的おもひで

 本機が登場したのはTM NETWORKがTMNに名義変更したタイミング辺りでしょうか。当時の個人的なTM熱もかなりなものであって(笑)、近所の書店で『K's MAGAZINE3 Tetsuya Komuro with EOS』を購入し、経済的に買えもしないB500を買ったような気になって熟読していたのを思い出します。。
 
 
 関連記事:「【書籍】『K's MAGAZINE3 Tetsuya Komuro with EOS』(ヤマハ音楽振興会発行)
 
 
 上記書籍(ムック)は、「EOS B500の公式ガイドブック」と言ってもいいほどシンセサイザー・B500について分かりやすく書かれていますよ。興味のある方は古本などで確認してみてください。
 
 

仕様
■鍵盤:61鍵(イニシャル/アフタータッチ付き)
■音源方式:DASS音源(AWM+FM)
■最大同時発音数:24音
■音色メモリー容量:100プリセット+100インターナル(+メモリーカード100音色)
■内蔵エフェクト:34種(1系統)
■シーケンサー部:8トラック+1リズムトラック、容量約12,400音
 録音方法:ノーマル(リアルタイム)、ステップ/本体鍵盤および外部MIDI
■スピーカー:20W×2、2ウェイ
■外形寸法:1017(W)×124(H)×364(D)mm
■重量:17kg
■発売当時の価格:168,000円(税抜)
■発売年:1990年12月

 

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