【Vol.149】BOSS SP-202 ~「Dr.Sample」DJ向けコンパクトサンプラー[1997年]
2018/11/25
今回はBOSSが1997年に発売したサンプラー・「SP-202」をご紹介してみます。発売時の定価は35,000円。通称「Dr.Sample」。当時のいわゆるブレイクビーツ(※1)を作るのに適した、低価格かつ小型なサンプラーとして注目を集めました。
見た目/概要
黒のボディに映える8個のパッド(ライト付)を備え、割り当てたそれぞれのサンプルはそのパッドを押すことで発音します。8パッドは実際×2バンクであり、合計16のサンプルを取り込めます。
つまみ類は、VOLUMEと、エフェクト制御用の「CONTROL」の2つ。なおCONTROLつまみはRECレベル(入力レベル)の調整も兼ねていますね。
なお本機では外部メディアとして「スマートメディア」を採用しており、本体手前側には専用カードスロットが用意されています。純正のスマートメディアだと4MB(S4M-5)、2MB(S2M-5)が用意されていました。
音質クオリティのモードについて
サンプリング周波数によって、「HI-FI」「STANDARD」「LO-FI1」「LO-FI2」の4種類のモードが用意されています。例えば「HI-FIでモノラル」の設定だと、約30秒のサンプリングが可能。ちなみに最も粗いモードの「Lo-Fi2」(→3.91kHz)では、最長4分以上で記憶可能となっています。
サンプリング(の仕方)は超シンプル!
サンプリングをする際は、まずはオーディオ信号をSP-202の入力端子に接続し、SP-202本体の「RECボタン」を押します。その際、数字の書かれたパッドも同時に点滅します(→その際のパッドは、まだメモリーされていない最も若い番号のもの)。この点滅しているパッド番号がサンプルの格納される場所を示しています(もちろん変更も可能)
オーディオ信号は、上記のようにRECボタンを押した瞬間(→1回目)にモニターできるようになり、2回目にRECボタンを押した時にサンプリングがスタートします。そして終了したい時にもう一度RECボタンを押し(→3回目)、サンプリングは終了です。
あとは該当の番号のパッドを押せば、サンプリングされた音が再生されるといった感じです。わずかRECボタン3回押しのカンタンステップ! とはいえこれ、超タイミング命です。まあ僕もSP-303を愛用していて、最初のうちは本体のみでリアルタイム・サンプリングを行っていたのですが、結構な緊張感でした(笑)
録音したサンプルは「LOOP(反復)」/「ONE SHOT(単発)」の指定ができ、用途に応じて選べるようになっています。またREVERSE(サンプル逆再生)の機能もあります。
タイム・ストレッチ機能について
ピッチ(音程)を変えずにテンポだけを変えるという「タイム・ストレッチ機能」を搭載しています。これは本機発売の数年前までは、一部の高級サンプラーだけに搭載されていた機能であり、この価格帯のサンプラーに採用されたというのは驚きでした。
またサンプリングが終わると自動的にBPM(テンポ)を表示してくれる機能もありました。これもDJ用サンプラーとして非常に便利な装備だったのではないでしょうか。
同時発音数について
SP-202の同時発音数は(モノラル通常再生で)4音となっていて、当然ステレオだと2音になります。なおエフェクト使用時には発音数が減るそうなので要注意です。
つぶやき的な
BOSS-Rolandのコンパクト・サンプラー商品群「SPシリーズ」の第1号が本機SP-202なのですが、その後SPシリーズは高機能化と共に大型化してしまい、SP-202やSP-303の頃の手軽さ(コンパクトさ)を惜しむ声はよく聞きますね。
SP-202はこの手の最初期モデルということもあり機能的には弱い部分もあるのですが、この “軽さ”は今見ても非常に魅力的だと思います。機能を削ったコンパクトな(→現場で取り扱いやすい)商品も望まれていると個人的には思うのですけどねぇ。。
関連記事:
「BOSS SP-303 ~ハンディ・ワンショット・サンプラー[2001年]」
「Roland SP-404(/SP-404SX) ~サイズ感・パッドの操作感が秀逸な…」
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※1 ブレイクビーツ …ビート(ドラム演奏)をサンプリングしてフレーズを分解し、曲のビートを組み立て直して作る手法、およびそうして作られた音楽ジャンルのこと。
仕様
■最大同時発音数:4
■サンプリング周波数:31.25kHz(Hi-Fi)、15.63kHz(STANDARD)、7.81kHz(Lo-Fi1)、3.91kHz(Lo-Fi2)
■内蔵エフェクト:PITCH、TIME、DELAY、FILTER1、FILTER2、RING MOD
■外部メモリー:スマートメディア S4M-5(4MB)、S2M-5(2MB)
■外形寸法:145(W)×83(H)×221(D)mm
■オプション:ACアダプター(PSA-100) ※乾電池駆動の場合、単三×6本
■重量:850g(乾電池含む) ※本体のみは約700g
■発売当時の価格:35,000円(税別)
■発売開始年:1997年