キーボーディスト、脱初心者を目指す

ピアノ、シンセサイザー、オルガンとか鍵盤楽器もろもろ。関係ない記事もたまにあるよ

E-mu 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.115】E-mu Proteus /1 ~イーミュPROTEUSシリーズの初号機[1989年]

2018/11/25

 

 

 今回はE-mu Systemsの「PROTEUS /1」という音源モジュールを取り上げてみます。発売は1989年で、価格は200,000円(後に120,000円に値下げ)。同社のPROTEUSシリーズの初号機ですね。また、その後数多く発売された “E-muの1Uラック型音源モジュール”の元祖でもあります。なおPROTEUS /1にはいくつか派生モデルも存在するのですが、それらも併せて紹介していきたいと思います。

 

E-mu Proteus /1
 
 
 

概要

 一世を風靡した同社のデジタル・サンプリング・マシン「Emulator III」の技術を、高密度・集積化し1Uの形状に収めたのがProteus /1といった感じです。とても端的に言うと、Emulator IIIをプレイバック仕様にした音源モジュール版ということになります。サンプリングはできず、E IIIとほぼ同等のクオリティを持つ再生専用の16ビット・プレイバック・サンプラーといったところです。
 
 
 関連記事:「E-mu Emulator III(EIII) ~イミュレーター・シリーズの3代目[1988年頃]
 
 
 内蔵音色はロック/ポップス系サウンドがメインで、本機は当初『Band in a Box』と銘打たれていました。バンド演奏に使える(高品位な)音を備えているということをアピールしていたのでしょう。
 
 
 なお発売時期の違いによるものなのか、パネルに表記された機種名が「Proteus/1 16 BIT MULTI TIMBRAL DIGITAL SOUND MODULE」、「Proteus/1 POP/ROCK」と2種類存在しているそうです。
 

E-mu Proteus /1
 
 
 

基本スペック

 波形容量4MB。プリセット数はROMで128音色。なお64-127の64音色はRAMとなっており、それらユーザー・エリアを使用すれば最大で192プリセットを扱うことができます。
 
 
 これらは16マルチ・ティンバーに振り分けられ、6つの独立したアウトプット(ステレオ×3系統)に自由にアサイン可能となっています。なお同時発音数は32となっています。
 
 
 

エディットについて

 「PRIMARY INSTRUMENT」と「SECONDARY INSTRUMENT」というものに内蔵音色を割り当て、それを一つのユーザー・プリセット音色として構成するという考え方です。
 
 
 「PRIMARY」と「SECONDARY」は、パン、チューニング、ボリューム(音量)、キー・レンジなどなど、様々なパラメーターを独立して設定することできるようになっています。また、「PRIMARY」「SECONDARY」をクロス・フェードさせたり(→XFADE)、同様に2つの音色をある値を境に切り替える(→XSWITCH)こともできます。
 
 
 Proteus /1ではフィルターは内蔵していませんが、エンベロープやLFOによるモジュレーションは可能となっていますね。また、一つの音色に対して最大3音色をレイヤーしたり、スプリットしたりという「LINK」機能も搭載しています。

 

 

 

派生モデルについて

Proteus /1 XR

 価格は250,000円(後に170,000円に値下げ)。RAM領域が従来の64音色から256音色に拡張されました。これにより最大で384プリセットを取り扱えます。
 
 

Proteus /1 Plus ORCHESTRAL

 価格は200,000円(後に170,000円に値下げ)。上記の「Proteus /1 XR」をベースに、Proteus /2からセレクトされたソロ・ストリングス、ブラス、オーケストラ・パーカッションなどを加えたものです。合計204インストゥルメント・サンプル(→8MB)、512プリセットを内蔵しています。
 
 なお「Proteus /1 XR」の正規ユーザーは+30,000円で「ORCHESTRAL」にアップグレード可能でした(※ただしProteus /1からはアップデート不可)。
 
 
 

個人的つぶやき

 のちの同社の「Vintage Keys」とかにも言えると思うのですが、E-muの音源モジュール群は、日本産のシンセでは見られない “洋物っぽい”サウンド・キャラクターが漂いますね。そう考えると洋楽曲コピーなどの時にしっくり来るような気がします。
 
 
 それにしても、Proteusの初期1Uモデルは外観も色もほぼ同じだし、上記のような細かな仕様の違いもあるので、記事にしていて非常にややこしかったです。。
 
 
 
■関連記事(E-mu 1Uラック)
 【初期シリーズ】:
 「E-mu Proteus /2 ~オーケストラ音源特化型モジュール[1990年]
 「E-mu Proteus /3 World ~世界中の楽器のサウンドを集めた音源モジュール
 「E-mu PROTEUS/MPS ~PROTEUSに鍵盤が付いた!」  ※本機のみ鍵盤付きモデル
 「E-mu PRO/CUSSION ~90年代初頭のドラム/パーカッション専用音源[1991年]
 
 【中期シリーズ】:
 「E-mu MORPHEUS(モフェウス) ~Z-Planeフィルターを初搭載したPCMシンセ…
 「E-mu Orbit/Orbit V2 ~90年代のダンスミュージック特化型音源モジュール
 「E-mu Planet Phatt ~ヒップホップ、ラップ等向けサウンド・モジュール
 
 【後期シリーズ】:
 「E-mu B-3 ~E-muが作ったジョン・ノヴェロ仕様オルガン[2000年]
 「E-mu Planet Earth ~世界中の民族楽器を収めた音源モジュール[2000年頃]
 

仕様(Proteus/1)
■最大同時発音数:32音
■データ・フォーマット:16ビット・リニア
■マルチ・ティンバー数:16
■内蔵音色数:128音色(ユーザー・エリア使用時~192音、別売音色ROM増設時~384音)
■オーディオ・アウトプット:6(ステレオ×3系統)
■エンベロープ・ジェネレーター:6段階(Decay、Attack、Hold、Decay、Sustain、Release)
■外形寸法:475(W)×43.8(H)×212.5(D)mm
■重量:2.0kg
■発売当時の価格:200,000円  ※のちに120,000円に価格改定
■発売開始年:1989年

 

関連記事および広告

関連記事および広告


-E-mu, 楽器・機材【Vol.〇〇】