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Oberheim 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.104】Oberheim OB-Mx ~MIDIアナログ・シンセ・モジュール、そして5Uの威圧感![1994年]

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介するシンセサイザーはOberheim(オーバーハイム)の「OB-Mx」です。発売は1994年。価格は290,000円でした。これ知っている人少ないと思いますが、個人的には非常に思い出深い一台です。

 

Oberheim OB-Mx
 
 
 

時代背景

 90年代の中頃において、既に「ヴィンテージ殿堂入り」みたいな扱いをされていたminimoogやPROPHET-5などは、中古でしか手に入らない(しかも状態のよいものがなかなかない)、貴重なものでした。
 
 そんな時代において、プロ・ユースのヴィンテージ・アナログ・シンセサイザーを現役で製造・販売していたメーカーは、このオーバーハイムを除きほとんどありませんでした。
 
 
 本機・OB-Mxは、当時のデジタル・シンセサイザーでは出せない「太くて温かくてヌケのいい音」を出す本格的アナログ・シンセサイザーとして、過去のアナログ・シンセの名機を彷彿させるモデルとして市場に投入されました。もちろんMIDIフル対応です。
 
 
 

外観

 まず、5Uです。ラックものとしては非常にデカいです。この広いパネルに、数多くのスイッチ・ツマミが所狭しと実装されていて、シンセサイザー初心者を寄せ付けない威圧感すら感じます(笑)。パネルカラーは、いかにもオーバーハイムらしいホワイトとなっていますね。
 
 
 

OB-Mxの基本スペック

 2音(ボイス)ポリフォニックであり、各ボイスごとに「2VCO」+「ノイズ・ジェネレーター」+「2VCF」+「1VCA」+「4EG(ADSR)」+「3LFO」を装備しています。
 
 プログラム数は、シングルで全256(128ROM+128RAM)、マルチで全256(128ROM+128RAM)となっています。
 
 
 

特徴的な2つの独立フィルター

 本機では、minimoog(ミニモーグ)とオーバーハイム「SEM」の2種類のフィルターを完全独立して搭載しています。なお各フィルターにはVCO 1/2/Noiseのインプット・ミキサーが装備されているため、どのオシレーターにどのフィルターをどのくらい通すかを自由に設定可能となっています。

 

 

 

マトリックス・パッチ・モジュレーションについて

 本機の「マトリックス・パッチ・モジュレーション」とは、本体内の各セクションを独立させ、信号の流れを自在に組み替えて(→内部パッチング)、あらゆる音作りを可能にするというものです。当時の広告では『マトリクスで無限の音作り』とも謳われていました。オーバーハイムはこれで特許も取っていますね。
 
 
 

同時発音数について

 標準で2音ポリですが、別売りの2ボイス・カード(当時の価格80,000円)によって、最大12ボイスまで拡張可能となっています。また、各ボイスごとに独立したアウトプットも本体に標準装備しています(→12パラアウト)
 
 
 

個人的つぶやき

 本機で特筆すべきなのはやはりフィルター部ですね。もちろんOSC(オシレータ)はminimoogやSEMのそれではありませんが、フィルター・ワークにおいては「モーグ+オーバーハイム」というキャラクターの異なる音作りが楽しめる、非常に特異な機種という感じです。
 
 
 数多くのボタン・ノブ類もほとんどのパラメーターが独立していて、深い階層に入って各パラメーターを呼び出すよりも直感的で分かりやすいと思います。
 
 
 

個人的おもひで

 本機は、僕が一時期勤務していた(有)安田商店が扱っていたこともあり、実機を徹底的に操作しました。とはいえ当時の僕はアナログシンセの音作りの概念があまり理解できておらず、その巨大なラック・サイズの筐体(および数多くのボタン)からも、「シンセサイザーってこんなに複雑なんだ!」と軽く洗礼を受けたことを覚えています(笑)
 
 
 地元のアマチュア・バンド・フェスティバルに企業として協賛した際、会場のエントランスにちょっとした企業ブースを置かさせて頂いたことがありまして。その際、(僕の裁量で)本機を鎮座させてみたのですが、何の販促にもならなかったですね。。興味を持ってくれる人は皆無で、おそらく楽器だと認識した人もほぼいなかったと思います。。
 
 
 
 関連記事(オーバーハイムOBシリーズ):
 「Oberheim OB-1 ~フォースは君と共にある[1978年頃]
 「Oberheim OB-X ~OBERHEIMサウンドが詰まったアナログ・ポリシンセ[1979年]
 「Oberheim OB-Xa ~ヴァン・ヘイレンの『ジャンプ(Jump)』のシンセ音はこれ
 

仕様
■最大同時発音数:2音(最大12音まで拡張可能)
■プログラム数:シングル・インストゥルメント×256(128ROM+128RAM)
        マルチプログラム×256(128ROM+128RAM)
■マルチティンバー数:6
■フィルター:ミニモーグ、SEM
■外形寸法:483(W)×223(H)×196(D)mm
■重量:8.2kg
■発売当時の価格:290,000円(税抜)
■発売開始年:1994年

 

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