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1970~80年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.83】Roland D-20 ~オールインワン・シンセのはしりとなった、シーケンサー内蔵シンセ[1988年]

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介するシンセサイザーは、ローランドの「D-20」です。発売されたのは1988年で、同年に先行発売された「D-10」に、シーケンサー+FDDを装備したモデルとなっています。音源部についてはD-10と同様なので、別記事の「Roland D-10 ~名機D-50譲りのLA音源搭載シンセ」をご参照頂ければ幸いです。本ブログでは、主にD-20のシーケンサー部についてお話をしていきます。

 

Roland D-20
 
 
 
 

シーケンサー搭載!

 メモリー容量は約16,000音、リズム・トラックは最大500小節。9トラックのマルチ・レコーディング(うち1トラックはリズム専用)が可能となっています。
 
 
 当時は同社からも単体シーケンサー「MC-500MKII」などが発売されており、専用のハード・シーケンサーが幅を利かせていた時代でもありました。D-20は(スペックの数字的には)専用機には及ばないまでも、かつての “お飾り”程度の内蔵シーケンサーではなく、丸ごと1曲分の自動演奏もこなす、本格的な「オールインワン・シンセサイザー」を目指していたのでしょう。
 
 
 当時のシンセサイザーとしては珍しく、外部記憶装置としてFDD(なお当時は2DDが主流)が実装されていました。その頃主流だった専用ROM(カード/カートリッジ)は高価でしたし、数百円で手に入る外部記録メディアはお手軽&お手頃だったと思います。
 
 
 これにより、作成したソング・データの他にも、パッチ(128種)、ティンバー(128種)、トーン(64種)などを、1枚のフロッピーディスクにファイリングすることが可能でした。

 

 

 

入力はリアル・タイム方式で!

 9トラックのうち、1~8は本体音源に対応したトラック、もう一つはリズム・トラックで構成されています。
 
 
 まずはリズム・パターンですが、鍵盤に割り当てたリズム・トーンをリアルタイムに叩いて作成していきます。またあらかじめ用意されているプリセット・パターンを使ってリズム・トラックを組んでいくこともできます。
 
 
 そして、作成したリズムに合わせて、1~8の各トラックをリアルタイム入力(演奏)していきます。パンやボリューム、ベロシティ情報もリアルタイムで入力が可能です。また、パンチイン/アウト、オーバーダブ、クオンタイズなどの加工も後から行えます。

 

Roland D-20(advertisement)
D-20/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

価格改定について

 1989年4月1日、それまでの物品税が廃止され消費税が導入されたことにより、販売価格も178,000円→165,000円と改定されました。
 
 
 

個人的かんそう

 実際のところ、D-20のシーケンサーは、トラックによってはテンポが揺れたり発音タイミングがずれる(遅れる)など致命的な問題が報告されることが多かったそうです。内部処理が追い付いていなかったのでしょう。。
 
 
 ただ、本機の音源パートは内蔵シーケンサーによる制御を前提に設計(マッチング)されており、単体シーケンサー+外部音源ではやや専門的になりやすかった操作も、本体内にてやり易いようにと試みたのは評価ポイントだと思います。
 
 
 今日のシンセにも脈々と受け継がれている、「ミュージック・ワークステーション」の “はしり”ともいえる機種ですが、その割には、KORG M1などと比べ人気・知名度は低いですね。。
 
 
 
 関連記事(ローランドLA音源シンセ他):
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 「Roland D-110 ~D-10のラック版(1U音源モジュール)[1988年]
 「Roland E-20/E-10 ~シンセサイザーと自動伴奏の融合[1988年]
 
 「KORG M1 ~【前編】世界中で記録的大ヒットしたワークステーションタイプ…
 「Roland D-70 ~「DLM」機能を搭載した76鍵ライブ・キーボード[1990年]
 

仕様
■鍵盤:61鍵(ベロシティ対応、ただしアフタータッチ非対応)
■音源方式:LA方式(32パーシャル、13ストラクチャー)
■最大同時発音数:32音
■音色メモリー容量:128プログラマブル・パッチ、128プログラマブル・ティンバー、128プリセット・トーン、64プログラマブル・トーン、63プリセット・リズム・トーン、32プリセット・リズム・パターン、32プログラマブル・リズム・パターン、1リズム・トラック
■内蔵エフェクト:デジタル・リバーブ
■シーケンサー:トラック数9(内1トラックはリズム・パート)、約16,000音、リズム・トラック最大500小節
■ディスプレイ:16文字×2行LCD(バック・ライト付)
■外形寸法:1014(W)×106(H)×301(D)mm
■重量:10.1kg
■発売当時の価格:178,000円(のちに165,000円)
■発売年:1988年

 

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