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AKAI 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.79】AKAI S2000 ~AKAIとMacの強力タッグ!?サンプラー[1995年]

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介する機材は、AKAIのサンプラー「S2000」です。発売は1995年。同社のサンプラー「S3000(XL)」に迫る基本性能を持ちながら、装備を絞ってお求めやすい価格(125,000円)にしたという感じですね。後述しますが、本機S2000には、実は「つよーい味方」が用意されていたのです。

 

AKAI S2000
 
 
 

S2000の外観は?

 2Uラックの筐体に、小さなLCD窓、3.5'FDD×1、いつくかのボタン類、そして比較的大型なダイヤルが配置されており、フロント・パネルの見た目は思いのほかシンプルですね。個人的にはこのダイヤルのくるくる回す時の感覚が好きでした。
 
 
 リア・パネルも結構シンプルで、外部出力についてはステレオ・アウトのみとなっています(※ただしオプション追加により8パラ・アウトにすることも可能)。あとはMIDI IN/OUT/THRU端子、SCSI端子といういざぎよさ。ちなみにSCSI端子はApple Macintosh(以下Mac)や外付けハードディスクとを接続するための端子です。
 
 
 なお直接S2000とMacとを接続する場合、両端が25ピンというちょっと変わったSCSIケーブルが必要になりますので要注意です。今でもSCSIケーブルは市場に出回っていますが、やや割高ですね。。
 
 
 

メモリーの拡張性

 メモリーは標準で2MB(→基板に直付け)、最大で32MBまで増量できるようになりました。このメモリーがいわゆる「汎用SIMM」であり、これまでのSシリーズ用純正メモリー・ボードを積むことを考えると、グッと安価で手に入りやすくなりました。
 
 
 本機のメモリー増量作業に関しては、僕も楽器屋店員時代にさんざんやらしてもらいました。やはりあらかじめ「32MBで」というお客さんが多かったですね。
 
 
 もしかして本機のSIMMメモリーをまだ探している人がいるとしたら、72ピン、70ns以下で、4MBと16MBのみが使えますのでご参考までに(実際、今でもヤフオク等で出品されることがあります)。ドライバー以外の工具は必要なく、空いている2つのSIMMスロットに挿すだけですよ!

 

 

 

拡張オプション・ボード(純正)

ラインナップは以下のようだったと思います。

■IB-208P(デジタルI/O+8パラ・アウト端子。約5万円)
■EB-16(4系統マルチエフェクト・プロセッサー。約4万円)
■IB-304F(セカンド・フィルター。約5万円)

 

 

Mac用ソフトウェア「M.E.S.A.」が付属!

 冒頭で述べた「つよーい味方」とは一応これのことです(笑)。MESAとは【Modular Editing System by AKAI】の頭文字をつなげたものであり、S2000のプログラム・サンプルのエディットや、音色管理などが、Mac上でグラフィカルに操作できるというものです。実際は、デジタル・オーディオ・データのライブラリー管理ソフトとして使っている人の方が多かったかな。。

 

AKAI S2000(advertisement)
S2000/赤井電機(株) 雑誌広告より画像引用

 
 
 
 なおこのソフト、末尾の「A」でも示唆していますが、AKAIが独自に開発したソフト群なのです。楽器メーカーがこういったものを標準で用意するというのは、当時としては非常に画期的でした。なお「M.E.S.A.」はS2000専用というわけではく、S3000XLシリーズやDD1000にも対応しています。
 
ちなみに、のちにWindows版も出たのですが、Macに比べ動作は不安定だったそうです。
 
 
 一応S2000本体のみでもフィルター、エンベロープ、LFOなどの基本機能の操作は押さえていて、この辺りはS3000譲りといったところでしょう。またS900/S1000/S3000シリーズの豊富なサウンド・ライブラリーも活用することができます。
 
 
 

まとめ的な

 前述したように、S2000本体側でも一応エディットもできるのですが、いかんせん表示文字が少なく(→しかもLCDの照度劣化が早い)、やはり本機は「M.E.S.A.」ありきで当初から開発が進んでいたのでは、と推測できます。
 
 とはいえ初期の「M.E.S.A」は、インターフェイスが使いにくい、モジュールが多くて切り替えに時間がかかるなどの問題点もあったそうですね。。
 
 
 
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仕様
■サンプリング方式:16ビット・リニア・エンコード
■サンプリング周波数:44.1kHz/22.05kHz

■サンプリング・タイム:22秒(モノラル/44.1kHz)、11秒(ステレオ/44.1kHz)、44秒(モノラル/22.05kHz)、22秒(ステレオ/22.05kHz)
■インターナル・メモリー:標準2MB
■同時発音数:32ボイス
■最大サンプル数:255

■最大プログラム数:254
■LFO:2系統
■外形寸法:EIA 2Uサイズ
■発売開始年:1995年

■発売当時の価格:125,000円(税抜)

 

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