キーボーディスト、脱初心者を目指す

ピアノ、シンセサイザー、オルガンとか鍵盤楽器もろもろ。関係ない記事もたまにあるよ

1990年代 KORG 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.42】KORG X3/X2 ~コルグ・ワークステーションの系譜より[1993~94年]

2018/11/23

 

 

 今回ご紹介するシンセサイザーはKORGのワークステーション・「X3」および「X2」です。デザインはほぼ同じであり、X3は61鍵、X2は76鍵となっています。

 

KORG X2/X3


 
 コルグでは01/Wシリーズ以降よくある “同一内容・同一デザイン・鍵盤数違い”の2機種ですね。とはいえX3が出たのが1993年で、X2はその1年後の1994年発売と、同時発売でありませんでした。知ってました?
 
 
 

コルグ・ワークステーションの正統後継機

 コルグのワークステーションが名機・M1から始まったとすれば、これは「M1→Tシリーズ→01/Wシリーズ」の次に当たります(ちなみにこのX3/X2の次世代機は、TrinityあるいはN364/N264)。音源方式は01/Wの「ウェーブ・シェービング」から新開発の「ai2シンセシス・システム」へと進化を遂げ、同時発音数も32ボイスとなりました。
 
 
 操作パネルはいたってシンプルですが、GM対応プログラム、3.5インチFDD装備、SMF対応16トラック・シーケンサー装備と、当時の “時代の要求”に応える1台となっていたのではないでしょうか。
 

KORG X2/X3(advertisement)
X2,X3/(株)コルグ 雑誌広告より画像引用

 
 
 

実は「i(アイ)」シリーズの姉妹機

 このX3/X2を語る上で欠かせないのが、ほぼ同時期に同社からリリースされた「i(アイ)」シリーズの存在。iシリーズは “インタラクティブ・ミュージック・ワークステーション”と銘打たれており、自動演奏機能を持たせた “インタラクティブ”な音楽制作ができるというものでした。音源方式も、X3と同等のai2シンセシス・システムを導入しており、サウンド・キャラクターも非常に似通っています。
 
 
 そして「i(アイ)シリーズ」から “インタラクティブ機能”を省き、より低コストを実現したのがこのX3/X2という次第。
 
 
 なお iシリーズ(i1/i2/i3等)の詳細は、別記事の「KORG i2/i3 ~“インタラクティブ”な自動伴奏機能付きキーボード」にて紹介しています。“インタラクティブ機能”って何のこっちゃ?て感じですよね(笑)
 
 
 

X3とX2の違い

 X2(76鍵)の方が後発だけあって、ピアノ系のPCM波形が2MB追加されています。またOUTPUTも2系統(R、L/MONO)から4系統(1/L、2/R、3、4)に増えています。その他はほぼ同じですね。付属の取扱説明書(リファレンス編)も「X2/X3」共通でした。
 
 
 余談ですが、LCDの周りにテンキーを配するスタイルは本機種あたりからKORGシンセのインターフェイスとしてすっかり定着し、以降の他社のシンセサイザーにも影響を与えたのではないかと思われます。

 

 

 

個人的つぶやき

 01/Wシリーズの “骨太”なイメージからは一転、非常にライトで落ち着いた感じでまとまったシンセ、というのが個人的印象です。一方で価格は抑えられ、当時のシンセサイザーの普及に一役買ったのではないでしょうか。
 
 
 その頃の各社のワークステーションの主力は、YAMAHAだとW7、RolandだとXP-50あたりですが、それらと比較するとちょっと地味だったという印象は否めません。シーケンサーの使い勝手についても他2社に若干劣るかな。。しかし音の存在感とか全体のバランスとしては悪くなかったと思います。コルグのカラーは十分に出ていると思いますよ。
 
 
 心配いりません! KORGさんは次世代ワークステーションの「TRINITY(トリニティ)」できっちり取り返しますから(笑)
 
 
 
 関連記事(コルグ社ワークステーション):
 「KORG M1 ~【前編】世界中で記録的大ヒットしたワークステーションタイプ…
 「KORG M1 ~【後編】ワークステーションタイプ・シンセの出発点[1988年]」 
 
 
 関連記事(同時代のワークステーション):
 「Roland XP-50 ~マイ・ファーストシンセ回顧録[1995年]
 

仕様
■鍵盤:X2=76鍵
    X3=61鍵(いずれもイニシャル/アフター・タッチ付き)
■音源方式:aiスクエアシンセシス・システム
■最大同時発音数:32音
■音源部:(シングル・モード時)32ボイス、32オシレータ
     (ダブル・モード時) 16ボイス、32オシレータ
■波形メモリー:X2=PCM 8Mバイト、 X3=PCM 6Mバイト
■プログラム数:336(インターナル)
■コンビネーション数:200(インターナル)
■シーケンサー部:10ソング、100パターン、最大32,000イベント、16トラック・マルチ・ティンバー
■外形寸法:X2= 1288.8(W)×106.4(H)×338.3(D)mm
      X3= 1055(W)×96(H)×338.3(D)mm
■重量:X2=13.9kg、 X3=10kg
■発売当時の価格:X2=179,000円、 X3=158,000円
■発売開始年:X3=1993年、 X2=1994年

 

関連記事および広告

関連記事および広告


-1990年代, KORG, 楽器・機材【Vol.〇〇】