【Vol.36】WILL SYSTEM MAB-303 ~MIDI対応のハーフラックTB-303クローン[1994年頃]
2018/11/23
今回ご紹介するのは、WILL SYSTEMの「MAB-303」というハーフラック音源モジュールです。発売は1994年頃。80年代後半からRoland TB-303がアシッド・ハウス(テクノ)向けベース音源として注目されていた頃、各社から雨後のタケノコのように発売されたTB-303クローンの中の一つです。
これは僕が当時勤めていたシンセサイザー専門店(安田商店)でも扱っていた経緯もあり、個人的にちょっとだけ思い出深い機種となっています。全国から送られてくるユーザー登録はがきのデータとかエクセルに打ち込んでたわ~
見た目も中身も超シンプル
TB-303クローン機としてはおそらく最もコンパクトなハーフラックサイズ。装備されているノブもVOLUMEを除けば5つといたってシンプル。これは実際に僕もフタを開け内部を確認してみたのですが、作りも恐ろしくシンプルだったことを覚えています。これで当時60,000円(定価)もしてたというのだから今考えるとびっくり。ちなみに社内での通称は「マブ」でした。
音はどうなの?
オシレーターはれっきとしたVCO(1VCO)であり、ビヨビヨ具合はなかなかのものだったと記憶しています。TB-303とは若干キャラクターが違うという印象を受けましたが、よりナチュラル?なビンテージ・サウンドになった感じでもあり、全体的に悪くなかったと思います。
なお近年、本家ローランドから「TB-3」「TB-03」といったマシンが発売されましたがそれらはデジタルですね。
MIDI方面は?
MIDI対応なので、本家TB-303では色々と面倒だったシーケンサーとの接続も容易。ただしノブを回した際の変化情報はMIDIコントロールには対応していないので、シーケンサーなどへのツマミいじりのリアルタイム記録はできません。
アナログ・シンセとしてのMAB-303
メモリー機能はなかったけれど、操作がシンプルで音の変化も派手だったので、僕は外部鍵盤につないでシンセ・ベースとして手弾きして遊んでました。元祖にはないLFOも装備しています。
TB-303で人気があったスライド効果も同様に使えるし、TB-303よりも+2オクターブ発音音域が広がったので、シンセ・ベース以外でもアイデア次第で色々な使い方ができるかもしれません。
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仕様
■同時発音数:1(モノフォニック)
■パラメーターノブ:CUTOFF(カットオフ)、Q(※レゾナンス)、ENV MOD(エンベロープ・モジュレーション)、DECAY(ディケイ)、ACCENT(アクセント)、VOLUME/POWER
■外形寸法:220(W)×45(H)×250(D)mm
■重量:1.5kg
■発売当時の価格:60,000円(税抜)
■発売開始年:1994年頃