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CASIO 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.124】CASIO CZ-101 ~PD音源方式を採用した本格派シンセサイザー[1984年]

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介するシンセサイザーは、1984年にカシオから発売された「CZ-101」です。49鍵のミニ鍵盤採用、中身はデジタル・シンセ、もちろんMIDI対応、定価は89,000円でした。

 

CASIO CZ-101

 
 80年代初頭のCASIOさんといえば、「カシオトーン」に代表されるお手軽なキーボードを多く作っていたという印象が強いのですが、本機CZ-101はそれらに見た目こそ似ていたものの、非常に本格的な(マニアックな?)仕様のシンセサイザーとなっています。カシオの「Z」が付くキーボードの元祖でもあります。
 
 

CASIO CZ-101(advertisement)
CZ-101/カシオ計算機(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

音源方式・「PD音源」について

 CZ-101を語る上で必ず登場するのが「PD音源」という音源方式。これはROMに書き込まれた正弦波(サイン波)もしくは余弦波(コサイン波)を、読み出す位相角を歪ませることで様々な波形を得るというシンセシス方式です。これはカシオ独自の音源方式であり、CZ-101で初めて採用されました。
 
うーん、何だかよく分かりませんね。。
 
 
 

で、PD音源とは?

 PDとは「Phaze Distortion」の略です。このDistortionが意味するところはエレキギターのエフェクターのそれとは直接関係なく、位相角(読み出し速度)を歪ませるということらしいです。波形そのものを歪ませるわけではないので、本機の出音は実際のところ、品のある音色や温かみのある音色に特徴がありました。
 
 
 PD音源とは、上記のような内部処理によって、結果的に様々な倍音を持つ波形を作り出せるということで、要するにFM音源と近い方式と認識しておけばとりあえずよいと思います(もちろんFM音源方式とは違いますが。。)
 
 
 

独特なエンベロープ・ジェネレーター

 位相角の歪みの大きさは内蔵のエンベロープ・ジェネレーターで制御できるようになっています。これにより音色の時間的変化をコントロールできるということらしいです。このエンベロープ・ジェネレーターは最大8ステップの折れ線が設定可能となっています。
 
 
 

アナログ・シンセと同様の構成

 本機は全てデジタル・コントロールなのですが、ブロック構成はアナログシンセとほぼ同じです。よってアナログ感覚で音作りが行えます。
 
 具体的には、DCO【Digital Controlled Oscillator】→DCW【Digital Controlled Waveform】→DCA【Digital Controlled Amplitude】という構成になっています。
 
 
 「DCO」がいわゆるオシレーターであり、「DCW」がアナログシンセでいうところのVCF、「DCA」がVCAという感じですね。それぞれ2系統持っています。
 
 
 なおエンベロープ・ジェネレーターはDCO1/2、DCW1/2、DCA1/2のそれぞれにかけることが可能(→つまりEGは計6個)。上記で記したように、最大8ステップまで細かくエンベロープを設定できるので、音作りの幅はかなり広いと思われます。

 

 

 

音色メモリーについて

 ブラスやパーカッションなどすぐに音を出せる32種類の音色がプリセットされています。そのうち16音色が記憶されているインターナル・メモリーのエリアには、ユーザー音色を記憶させることが可能です。
 
 
 

まとめ的な

 特に音源部については小難しい説明ばかりが続いてしまったのですが、プリセット音色もあるためとりあえず音を出してみることは容易です。音色のクオリティもポータトーンと比較したら格段に高く、実際ライブでもよく使われたそうです。そういえばこれ、ストラップ用のピンも本体に装備されていて、ショルダー・キーボードとしての使用もできますね。
 
 
 

つぶやき的な

 カシオさんはライト路線のカシオトーンばかり作っていたのに、突然変異的に本機のような本格シンセサイザーが生まれてしまったのでしょうか。。いやいや、本機以前には、子音/母音方式という音源方式を採用した「CT-201」などのキーボードを世に出していたのです。
 
 
 関連記事:「CASIO カシオトーン CT-201 ~1980年発売のカシオトーン第1号機
 
 
 そして、それら過去モデルのノウハウをフィードバックし結実したのが、このCZ-101ということなのかもしれません。実際のところ、本機の音作りの難易度はなかなかの高さだと思うのですが、その太くてシンプルなサウンドからレゲエ・ミュージシャンにも愛用されていたそうで、製造が終了してからも人気が高かったらしいですよ。
 
 
 
 関連記事:「CASIO CZ-1000 ~CZ-101の標準鍵盤搭載モデル[1985年]」 
 

仕様
■鍵盤:49鍵(ミニ鍵盤仕様)
■音色メモリー:プリセット32、インターナル16、外部RAM16
■最大同時発音数:8音(1系統の場合。2系統だと4音)
■エフェクト:ピッチベンド、ベンド・レンジ、ビブラートON/OFF、ポルタメント・タイム、ポルタメントON/OFF、ソロ、トーン・ミックス、キー・トランスポーズ
■電源:家庭用電源、乾電池(単1×6本)、カーバッテリー
■外形寸法:676(W)×70(H)×208(D)mm
■重量:3.2kg(乾電池含む)
■発売開始年:1984年
■発売当時の価格:89,000円

 

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