1970~80年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】
【Vol.434】YAMAHA RX21 ~80年代半ばのハイコスパ・PCMリズムマシン[1985年]
2019/05/04
今回ご機材するなつかし機材は、1985年にヤマハから発売されたリズム・マシン「RX21」です。発売時の定価は45,000円。前年に発売された「RX11/RX15」の廉価モデルではありますが、RX11/RX15譲りのサウンドクオリティを引き継いだ、非常にコストパフォーマンスが高かったリズムマシンですね。
そう、当時MIDI対応のリズムマシンとして5万円を切るというのは珍しかったのです。上位機種のRX11/RX15と同様にデジタル音源を搭載した本機、上位機との比較もちょっと挟みつつ記事にしてみたいと思います。
関連記事:「YAMAHA RX11/RX15 ~普及型リズム・マシンのさきがけ[1984年]」
音源部について
音源方式はPCM方式を採用(※当時はまだヤマハならではのAWMの呼称は用いられていなかった)。
ROMは256kビットWAVEチップを2基搭載していました。ちなみにRX11では256kビットROM×6、RX15は256kビットROM×4となっています。
内蔵音色
プリセット音は以下9種類。
●スネア ●タム1-3 ●バスドラム ●ハイハット・オープン/クローズ ●シンバル ●ハンドクラップス
コストカットの影響がモロに現れたのがこの音色メモリーのセクションと言えるでしょうか。非常にシンプルなラインナップではありますが、ベーシックなリズムを仮組みするには十分と捉えることもできそうです。
ちなみにRX11のプリセット数は29音色、RX15では15音色となっています。
パターン入力/編集について
RX21では、リアルタイムライトとステップライトの2種類の入力方法を採用。
パネルには各楽器名が書かれた “インストキー”が配置されており、これをドラマー感覚で叩いて入力するのがリアルタイムライト方式であり、1音符ごとに入力できるのがステップライト方式といったところ。もちろんリアルタイム/ステップ入力法を組み合わせてプログラミングすることもできます。あとからのクオンタイズも可能であり、音符の分解能は1/32、1/16、1/24、1/12の中からセレクト。
編集機能としては、小節ごとのインサート、デリート、リピートなども行えるようになっています。リズムにはアクセントをつけることもできるそうですね(外部MIDI機器でコントロールすればベロシティも付けられる)
なお楽器ごとに独立したレベル設定を行うことはできますが、定位(パンニング)は固定となっています。
メモリーについて
本体内には最大100パターンメモリーを内蔵(40プリセット+56プログラマブル+4サイレント)。この “パターン”を最高512パートまで連結した単位を「ソング」と言い、Max4ソングまでメモリー可能。
ちなみに本体に外部記憶メディアスロット(カードなど)はないので、データは外部カセットに保存するといった感じですね。
RX21Lについて
RX21と同年に発売されたパーカッション音源搭載のリズムマシン。定価は同じく45,000円でした。ボタン配置はデザインなどの見た目はRX21とほぼ同じですね。16種類のパーカッション音色を収録し、50パターン、4ソングを本体内に記憶可能。
まず、パーカッション専用マシンというのも珍しかったですね。ちなみに同時期の他社リズムマシンとして「Roland TR-707/727」というのがあったのですが、それに近い感じと言えるでしょう。
関連記事:「Roland TR-707/TR-727 ~TR-909の後に発売された“フルデジタル”・RhythmComposer [1984~85年]」
RX21/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用
つぶやき的な
余談ですが、本機とほぼ同時期に発売されたシンセにDX21というのがありました(→大ヒットシンセDX7の廉価モデル)。RX21といいDX21といい、ネクストジェネレーションを先取りした意欲的なネーミングと言えるでしょうか。だってこの当時の “21世紀”はまだ16年も先のことですしねー。
そこまで “次世代感”を押し出したのは、当時発表されて間もないMIDIに広く対応しており、なおかつ将来的なMIDI拡張性を示唆していたことにもよるのかも。
たとえば当時のパソコン(例:CX11+YRM-15)を核として、FM音源キーボード(例:DX21)、リズムマシン(例:本機RX21)をMIDIで組み合わせれば、20万円台そこそこでFM+PCM音源搭載のハイクラス・システムが組めたわけですね。
そんなシステムの一翼を担った(かもしれない)RX21、現代ではすっかりハードオフのジャンクコーナーの定番として目にすることができますね。初期PCMサウンド特有の味わいのあるローファイ担当として、シャレで買っても十分な一台と言えるかもです(笑)
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仕様
■音源方式:PCM音源(256kビット WAVE ROM×2チップ)
■音色数:9(スネア、タム1-3、バスドラム、ハイハット・オープン/クローズ、シンバル、ハンドクラップス)
■入力方法:リアルタイムライト/ステップライト
■クオンタイズ:1/16、1/32、1/12、1/24
■メモリー:100パターン、512パート、4ソング
■外形寸法:350(W)×56(H)×203(D)mm
■重量:1.3kg
■価格:45,000円
■発売開始年:1985年